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あんだんて
やっぱり中尉は最強です。(ロイエド)
「それはそれは・・・まったく、嬉しいかぎりだな」
普段の彼がこんな自分の姿を見たら卒倒するだろうな、と考えてロイは
含み笑いした。
今のエドは、ロイの首に腕を廻してぴったりと身体を寄せている。そのロイを
見つめる瞳は涙を湛えたように濡れていて、頬は薄桃色に上気していた。
「大佐、離れちゃヤだ・・・」
「離したりしないさ・・・。君がこうしている限り、ね」
小さく身じろぎしたロイが自分から離れようとしているのでは
ないかと思って、エドは先程よりも強く青年に抱きつく。
ロイはそんな素直なエドの唇を掠めとって、これまでの経緯を
回想し始めた。
* * *
「大佐、このお茶ヘンな匂いがすんだけど。古いんじゃねえ?」
大佐執務室のソファに腰掛け、エドはロイに出されたお茶を前に
うなっていた。
お茶は琥珀に澄んでおり、ゆったりと揺れて飲まれるのを待っている。
「古いとは失礼だな、鋼の。そのお茶は北の方から取り寄せた珍しいものだ。
不思議な匂いがすると感じるのも、慣れていないからだろう」
「ふうん・・・」
「とにかく、飲んでみたまえ」
うん、と頷いてエドがソーサーを手に取ると、ロイは知れないように
ガッツポーズした。
実を言うと、北の方から取り寄せたお茶というのは真っ赤なウソである。
お茶はいつも司令部で使っているものだ。それから不思議な匂いがする
というのは、つまりロイがお茶に酒を入れたのである。正確に言うと、
ブランデーだ。
そして、酒入りの茶を飲み終わったエドはバッと立ち上がってロイに
歩み寄り首に抱きついて・・・今に至るのである。
完全に、酔ってしまったのだ。
「たいさ・・・、キスして」
ふっと我にかえったロイは、そんな の可愛いおねだりに笑みを見せた。
「どんなキスがいい? エドワード」
「・・・んーと、めちゃくちゃきもちがいいやつ」
「了解、お姫様」
エドはキスが好きなのだ。それを知っているロイは、エドの顎を
持ち上げて唇をゆっくりと重ねる。
歯列を割り口腔内に舌を差し込んで、奥に縮こまっていた少年の舌と
自分のとを絡ませる。
「ん・・・、ん、んっ・・・・・・」
半開きの唇からどちらのものとも分からない唾液が零れ、褐色の肌を
伝って顎に流れた。それを指で拭って、ロイはとろんと瞳を潤ませた
エドに訊ねる。
「どうだったかね、私のキスは」
「・・・サイコー・・・」
ほとんど呟くように言ったエドの言葉と同時に。
バタン! と執務室の扉が開いた。
「幼子に何をしてらっしゃるんです? 大佐」
「ちゅ・・・中尉・・・っ」
そこには、愛銃のべレッタを構えるホークアイがいた。
「な・・・何をとはなんのことだね、中尉」
キスが終わった後にホークアイは入って来たのだ。しらばっくれれば
分からないだろう・・・と思ったロイは甘かった。
今、彼の足の上にはエドがいるのだ。しかも、ホークアイが入って来て
いるのに気付いていない。
「大佐~、もう一回、キスして~」
爆弾投下。
ロイが慌てて少年の口を押さえるがすでに遅く、ホークアイの瞳が
急激に温度を下げた。
「勤務時間にそのようなことをなさるということは、もう仕事は
終わってらっしゃるんですね? もちろん」
「う・・・っ」
もちろん、していない。
エドが報告に来るというのを聞いてすぐに酒入りのお茶を作り始め、
怪しまれない嘘の説明を考え、エドが来てからは読者もご存知の通り・・・。
言葉に詰まるロイを見て、エドはやっとホークアイの存在に気付いた。
「あれー? 中尉、なにしてんの~?」
その口調にホークアイは素早く気付き、このオヤジは・・・とロイに
目をやったが、当人は目を泳がせて決して目を合わせようとしなかった。
「ねえ、どうしてここにいるの~?」
上目遣いで訊ねるエドに、ホークアイは仕方無いわね、と呟いて
銃を下ろした。
「大佐がね、仕事をしてくれないのよ。大佐が仕事を終わらせて
くれないと私も帰れないのだけれど」
その言葉に、エドは軽く目を見開いてロイを睨んだ。
「・・・だめじゃん、大佐。ホークアイ中尉に迷惑かけちゃダメ!
今から仕事したら、どれくらい時間かかる?」
「・・・三時間くらい・・・かな」
「三時間!? じゃあ、20時じゃん。付き合いきれないや。オレ、
ホークアイ中尉と一緒に休憩室に行く! ・・・いい? 中尉」
するり、とロイの膝の上から抜け出してホークアイの側に立ったエドは
小首を傾げて了承を求める。ホークアイはもちろんよ、と頷いてロイ
に目をやった。
ロイはぎくりと体を固まらせる。
「大佐、それでは私、エドワード君に色々服を着せて写真を撮ってきますので」
「なにっ!? 中尉、その写真を私にも--・・・」
「差し上げると思いますか? ・・・そうですね、大佐が少しでも早く
仕事を終わらせればその分エドワード君のコスプレ姿を長く見ることが
出来ますよ。まあ、今休憩室にいる人間には思う存分この酔って無防備な
エドワード君を見られますが」
ロイにとって不吉なことをにっこりと笑顔つきで言い、ホークアイは
エドの背を押して執務室を出る。
遠ざかる楽しげな声と足音に、ロイはため息をついてペンを手に取った。
そして--・・・。
「よし、終わった・・・!」
そう宣言してロイは銀時計を手にした。見れば、針は一周半
しかしていない。
ロイはぶ厚い書類を入念にチェックし(間違いがあると彼女に
無能だから・・・と言われてしまうからである)、ミスが無いのを
確認すると勢いよく立ち上がる。
そして、青年は駆け出した。
愛しい少年がコスプレをして待つ、休憩室へ--・・・。
あとがき。
一度書いて消えました。この文章。イシュバラの神からの
罰でしょうか・・・。(笑)
ギャグ・・・の、つもりなのですが、なってなかったら
ゴメンナサイ・・・。やっぱり書き慣れてない種類のものは
大変だなあ・・・と痛感しました。
次は、ハボエドの予定です。
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