quiet melody ~静けさの中で~

quiet melody ~静けさの中で~

foreword


巨大な大剣を持った人影が、それを垂直に軽々と振ると衝撃波が発生して
炎の龍を蹴散らし、それを放ったものに襲い掛かった。

空中に浮かんでいるそのものは、まるで巨大な影の如き体を動かすと
再び、龍のような火炎を放って衝撃波を相殺した。
間髪を入れずに巨大な影は火の玉を無数生み出すと
大剣を持っている影に向かって凄まじい勢いで撃ち放った。

「っっつ!」

大剣を持った影――――赤黒い髪をしている青年は背中に大剣を納めると
側転を連続で繰り出して、大量の火の玉をかわしていく。
しかし、一発の火の玉が直撃の道筋で青年に向かって飛んでくる。

「甘い!!」

側転の勢いに乗った蹴りによって、火の玉を影に向かって弾き飛ばすと
納めている大剣を取り出して、下段に構えて精神を集中させる。
弾かれた火の玉を腕で弾き飛ばすと、巨大な影は高く飛び上がると
先ほどの数倍強大な炎を眼下の青年に撒き散らした。

「荒ぶる火の精よ、邪悪の意思に染まりしものに裁きの火炎を!
焼き払え!フレイムストーム!!」

青年が剣を大きく上に振り上げると、巨大な火炎が生み出されて
巨大な影に向かって襲い掛かった。

「!?」

巨大な影は青年が炎を放った事に、驚愕した様な動きを見せると
そのまま一瞬、動きを完全に静止させてしまった。
その時間は、瞬きを一回も出来ない程の刹那だったが
その刹那でも戦場では大きな隙となってしまう。
眼前に迫った炎の嵐を急降下をして回避するが・・・・・・

「バーニングスラスト!!」

何時の間にか飛翔していた青年は、自ら放った火炎を剣に纏うと
大上段から影に向かって打ち下ろした。

「・・・・・・――――!!」

縦に真っ二つに切断されてしまった巨大な影は
断末魔の声を上げながら、炎の濁流の中に消えていった。
後に残っていたのは数本の骨と予想されるもののみだ。
青年はそれを拾い上げると、腰の鞄にしまいこんで一言

「任務完了。」

帰還の巻物を読んだのか、閃光が走った刹那、青年の姿は無く
破裂音をさせて燃えている木々が有るのみだった・・・。


It continues in the following chapter.

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