quiet melody ~静けさの中で~

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Chapter 3


闇の世界の中において、最強の闇の神獣種だったが
“赤い悪魔”によって瘴気を注入されたために暴走させられてしまった。
その中でもっとも脅威だった一体、まあ自分の意思だったようだが
そいつの通称が暗黒鬼神ビビットブラックって言うんだ。」

イルムが説明をし終えると、この場に沈黙が流れたが
その雰囲気に耐え切れなくなくなったセリスが
ふと、腰の鞄から紙を取り出すと、テーブルの上に置いた。

「関連性は不明だけど、アルパス第一地下監獄の奴らが
外をうろついていたらしくって、それの調査依頼よ。」

一斉に紙に目をやる、クリムゾンインパルスのメンバー。

「集合時刻は今日の夜中だからね。
スコールは今帰ってきたところだから良いんだけど
残りはもう一つの依頼を私とやってもらうからね。」

まるで、それ自体が光り輝いている様な金糸雀の髪を
手串で梳きながら、悪戯っぽい声でそう言った。


「雷神トールよ、罪深き俗物達に裁きの鉄槌を!!
受けてみよ、ライトニングスプライトォォォォォー!!」

ライトニングスプライトとは、魔力で雷のハンマーを召喚して
それを媒介にして、雷の嵐を巻き起こすという
風属性魔法における、究極魔法の一つである。
逃げ遅れた比較的速度の遅いクローラーとオーガが
雷の嵐に巻き込まれて、吹き飛んでいった。

「ケルビー、It shifts to the 4th form!!
スウェルファー、It shifts to the 4th form!!」

魔神形態の二体が、それぞれ炎と水に包み込まれて
眩い光が辺りに満ちた瞬間、神々しい咆哮が響いた。
天空に飛翔した炎の翼竜は、その口から巨大な火球を放った。
まるで、メテオシャワーの如きファイアーボルトによって
クリーパーが跡形も無く消し飛び、余波によってイリュージョンも虚空に消え去る。

「えらく、ヤバいのも混じってるじゃねえか!!」

デビルガードらしき悪魔が放ってきた嵐を横に飛んで避けると
拳に圧縮した炎エネルギーで、烈風撃を撃ち放った。
命中はしたが、軽傷だったのだろうか炎を発生させて
再び巨大なフレイムストームを放とうとする。

「おっと、油断しすぎだよ。」

横から殺到した凄まじい数の矢が一気に爆裂し
吹き飛ばされた悪魔は、崖の中に消え去った。


「ほう・・・中々やるようだな。」

戦場から遠く離れた木の上にひとりの少女が佇んでいる。
まるで作られた人形のような愛らしい顔立ちをしており
水晶の如き輝きを放つ銀髪、ルビーの様な色をしている
やや釣り上がっている眼、透き通るような白い柔肌が
黒い外套の間から、チラチラと見え隠れする。

「本調子で無いとはいえ、我が製造したモノを倒すとはな。」

少女が指を鳴らすと、傍らに二体の暗黒騎士が現れ
少女を守護するように、巨大なクレイモアとランスを構えた。

「宴はこれからだぞ?もっと踊ってくれ、下衆たちよ。」

無邪気さの中に、妖艶さを含ませた微笑を浮かべると
次の瞬間には、少女と黒騎士は居なくなっていた。
辺りには少女の楽しそうな笑い声が響いていた。

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