恋涙 ~ renrui ~

恋涙 ~ renrui ~

タイムカプセル~君の声6



亜希は卒業式に出れる状態ではなかった
けれど亜希は弱った躰で僕と龍の手を掴み懇願した

「龍と蓮と一緒に卒業・・・した・・い」

亜希の最後の願いになるのかと思った僕と龍とそして亜希の両親で
主治医に頭を下げた

「お願いします、これが最後になるかもしないから」

「頼む」

卒業式が終ったら直ぐに病院に戻ることを条件に許可を出した
けれど亜希はもう自力では歩くことはできず車椅子で出ることになり
亜希の病気のことは自然とクラスメイト達にも知れ渡り皆が涙した
皆が亜希の卒業式を成功させようと心に強く誓った

卒業式当日、病院の車で亜希は学校に登校した。皆は普段どおり
接していた僕も龍も安心した。

「3年A組代表。春日亜希」

卒業証書を受けとるのを亜希にしようと言ったのはクラスメイトの一人で
皆がその意見に賛同した。しかし亜希は立つことが出来ない、僕と龍二人
の肩を支えに壇上に上がる

「卒業証書、春日亜希殿。以下同文、平成12年3月18日、卒業おめでとう」

校長の言葉に嬉しそうに微笑む亜希の姿に僕達は自然と胸が熱くなった

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