恋涙 ~ renrui ~

恋涙 ~ renrui ~

前世の追憶壱(夜兎×梓×緑青×桔梗×雪)



たどり着いた場所は水面に美しい月が浮かぶ湖

相手の顔は月光に照らされよくは見えないけれど少し低めの声で

私の長い黒髪を一房手に取り口付けを落とす

『幾千の時を越えようと必ず貴方に巡り逢います』

呟くと同時に私とその人の身体は湖の冷たい水の中へと消えて行く

いつもそこで目が覚める


目覚ましの音で目を開けると窓から眩しいほどの光に目を細める

ベットから降りカーテンに手をかけ朝日を取り込む

身支度をすませ軽めの朝食を頬張り会社出社する為家を出る

何時も通りの朝

このときまではそうだった・・・。



バス停に走って向かう途中、私は慌てていた為人にぶつかった

背丈が高くすらっとしたスーツに身を包んだ20代位の男性

私は尻餅をつき立ち上がろうとした瞬間彼の手がスッと伸び

『大丈夫ですか?立てます?』

彼は笑顔で私に問う

彼の問いに答えながら伸びた手にそっと手を置いた瞬間

私は不思議な感覚に襲われた・・・懐かしいような

胸が苦しくなるようなそんな感覚

彼は私の手を引き立ち上がらせると私の様子に不思議そうな顔を

する

私は彼のそんな様子に気付き我に返るとお礼を言い

慌ててその場を立ち去る


私の心には離れがたい気持ちがこみ上げていた

それがなぜなのかわからずに

私と彼の物語はここから始まった・・・。



banner0.jpg 二話

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