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「全能の神に拠り頼む訓練(3)」
甲斐慎一郎
列王記、第一、19章
「旧約と新約の間には根本的な相違があります。新約における宗
教は、各個人の選択によるものであり、その信奉心は聖霊の導きに
よるものです。これに対して旧約における宗教は、律法から出てい
ます。......唯一の神の権威を根本の主意とする旧約においては、偶
像を礼拝することは、犯罪であるだけでなく、イスラエルの王であ
る天の神に対する反逆であり、国民はそのために大きな刑罰を受け
るのです」(A・イーダーシャイム)。
一、民が主の契約を捨てたことを知って絶望し、逃走して死
を願ったエリヤ(1~4節)
イズレエルにある避暑の宮殿にいたイゼベルは、アハブからエリ
ヤがしたすべてのことと、バアルの預言者たちを剣で皆殺しにした
こととを残らず聞くと、烈火のごとく怒り、使者を遣わして二十四
時間以内に必ずエリヤを殺すと脅しました(1、2節)。
するとエリヤは、そこを立ち去り、荒野へはいって行き、深い絶
望に襲われて自分の死を願いました(3、4節)。全力を尽くして
主に仕え、精一杯の働きをし、心を注ぎ出して祈り、その結果、驚
くべき神のみわざが現されたにもかかわらず、翌日に民は主に背い
たのですから、彼の心中の苦しみを推し量ることができる人はだれ
もいないでしょう。
カルメル山の出来事の翌日、イスラエルが再び契約を破ったこと
を知った時(1節)、エリヤは絶望して逃走しました。しかし彼が
逃走したのは、決してイゼベルを恐れたためではありません。深い
失望と落胆のためです。それとともにカルメル山からイズレエルま
でアハブの前を走ったので、その激しい疲労のために失望の色を濃
くしたのでしょう。
二、主の取扱いを受けて立ち直り、主から重大な任務を命じ
られたエリヤ(5~18節)
主は、心身ともに疲労困憊していたエリヤに対して、まず十分な
睡眠と食物を与えられました(5~7節)。こうして彼は、肉体的
な疲労が取れ、元気を回復しました(8節)。
次に主は、エリヤに悩みを打ち明けさせるとともに(9、10節)、
風と地震と火のあとに彼に現れて、かすかな細い声で語られました
(11、12節)。彼は、この神の顕現と御声によって心に大きな変化
を受け、慰めと希望が与えられたのではないでしょうか。
「神の答えは、あなたは神の性格と御旨と行為を見て、敬虔にひ
ざまずいて主をあがめなさい。......またあなたは自分の務めを果た
し、その結果は神に任せなさい。神は後にこれらのことを明らかに
されるからです、ということです」(A・イーダーシャイム)。
主は、エリヤにハザエルとエフーとエリシャに油をそそいで、そ
れぞれアラムの王、イスラエルの王、エリヤに代わる預言者とする
ように仰せられました(15、16節)。これは、主の契約を破ったイス
ラエル人はアラムの王ハザエルに殺され、アハブの家はイスラエル
の王エフーに滅ぼされ、エリシャはエリヤの任務を受け継ぐことを
意味しています。こうしてエリヤは、主から重大な任務を命じられ
て、前進して行かなければならないのです。
また主は、エリヤだけが主に熱心に仕えているのではなく、「恵
みの選びによって残された者」(ローマ11章5節)が七千人もいる
ことを告げて、彼を慰められたのです(18節)。
三、エリシャを見つけ、彼を後継の預言者として認めて任命
したエリヤ(19~21節)
エリヤは、エリシャを見つけると、自分の外套を彼に掛けました
(19節)。これは、後継の預言者として彼を認め、彼を任命したこ
とを教えています。
エリシャは、すべてを捨ててエリヤに従っただけでなく(20節)、
家族の者たちと別れるために一くびきの牛の肉を調理し、彼らに
与えて、それを食べさせました(21節)。
神にすべてをささげて、主に仕えようとする者は、いままで与え
られていたすべてのものを捨てることだけで決して満足してはなり
ません。それとともに以前に持っていたもの、また行っていたこと
を新しい務めのために聖別しなければならないのです。
甲斐慎一郎の著書 → 説教集