SHINOBI.帝国-おむらいすの里

第十四話


森全体がめちゃくちゃになり、雪は解け、地表がむき出しになっていた。

「ひどい・・・。」

コートニーは唖然としていた。
久しぶりに帰ってみたら、森は灰と化していたのだ。
コートニーは地面に座り込み、泣き出した。

「遅かったか・・・。」

ヴァルボーグは思わず木に拳を打ち付けた。
森にはだれもいない。血痕さえ残っていない。
風の音しか聞こえない。

「派手にやられたな・・・。」

ピーカプは気に手を当てながら言った。
とりあえず、この悲惨な光景を写真に収めた。
ピコラは寒さに耐えながら、証拠品を拾った。
すると、小さな布きれを拾った。

「これは闇文明のマーク・・・。」

ピコラはそれをみんなに見せた。
やはり、闇文明の仕業だった。

「今さら悔やんでもしょうがない。問題はこの後どうするかだ。」

ヴァルボーグはピコラの布きれを受け取ると、考え始めた。

「軍長、そんなに軽くこの事件を受け止めていいのかよ?
コートニーの身にもなれよ。」

ピーカプが言った。しかしヴァルボーグは怒鳴って

「だから今さら悔やんでもしょうがないといっただろう!
コートニーの気持ちは痛いほどわかる!私だって昔何人もの
戦友を失ってきたさ!でもなぁ、もう終わったことなんだ!
死んだ奴らは戻ってこない!ただ、それだけだ・・・。」

ヴァルボーグは布きれを破り捨て、森の奥へと進んで行った。

「軍長・・・。」

ピーカプはヴァルボーグの背中を見つめて少し黙った。

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