バル対策本部  元帥の間

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序章 堕ちた心と腐った信念 第二話




今となっては


確かめる事さえできない




序章 堕ちた心と腐った信念 第二話 



過去の事を思い出すと

何故涙が出てくるんだ



何故あんなに懐かしいんだ

何故こんなに悲しいんだ

何故こんなに寂しいんだ

何故こんなに苦しいんだ




今の俺は・・・・・・

力。そう、力だ

弱い自分が嫌で

情けない自分が嫌で

迷惑をかける自分が嫌で

強くなれば、強い力を得れば

もう誰かに頼る事も無いと思ったんだ


でも違った



今の自分がそれを物語っている

なんだこの無様な姿は

何人も殺めたこの手はなんだ?

こんな自分を誰が受け入れてくれるんだ?



情を無くし、ただ力を追い求め

人との関係を経ってまで力に溺れ

気づいたときには




もう遅かった


いや


遅すぎた




寂しさを紛らわす為にPKをし

寂しさを忘れたいが為に外道な事をしてきた

悪魔と呼ばれて、でも俺は止めなかった

悲しみと後悔に押し潰されないよう

せめてまた、この世界でやっていけるように・・・

でも、もう疲れた

図々しい言葉を並べて自分に自信を付ける・・・


ここで落ちるとするか

毎日こんな日々・・・俺は

どうしてここに居るんだ

居場所はもう、ここにしかないのか・・・


頬を伝った涙

罪深さ故の後悔の日々

鏡に写る自分はどんなに醜いのだろう

他人のせいにしたくない

踏み外したのは明らかに自分だから


また明日も同じような日々が延々と続く

変化の無い苦痛の日々

紛らわせるためにここに居る

紛らわせているのか・・・



翌朝



またいつものようにPKだ

毎回毎回同じ事の繰り返し

進歩なんてない

プラスにもならないしマイナスにもならない



悪食がログインしたと同時に

6人のPCが寄ってきた

身形はいかにもレベルの低い

舐められてると察し、悪食は苛立った


「こいつ?」


「うん、そう」


「レベ高杉」


「でも人気度低いw-だww」


INしたばかりの悪食を囲む6人のPC達

周りを囲む者達を睨む悪食



なんの用なのかはさっぱりわからないが

うざいな、寄って集って

ちょっかい入れられるほど安っぽい人相してるか?


連中はコソコソと何かを話している

「こいつをKILLすればいいの?」


「そうっぽいね」


「KILLしたら5M貰える」


「美味しい拡声器流れてきたもんだよw」



そういうことか

まぁ恨まれるのはもう慣れた

こうやって狙われるのももう見慣れたもんさ

まぁいい


悪食はからかった口調でこう言った


「恨み代行人か?いや、代行人気取りかな?

 まぁどうでもいいけど・・・

 殺しに来たんだろ?お前ら・・・じゃ、遊ぼうw」


そう言い終え、悪食は荒っぽく歯翼月牙を取り出した


殺さない程度に・・・

ただの遊びだ

ただの・・・遊びなんだ

間違っていないさ



連中は武器を握り締めた

欲に駆られた汚い眼

汚れた者達を見つめ

澄まし顔の悪食



本気なんだか・・・どうなんだか・・・

欲のために集まる烏合の衆なんて

脆いよ、ちょっと崩せば

あとは、なんてことはない


「欲の力なんて、どこまで通用するか

 試してみようか・・・

 何分持つか・・・こりゃぁ、楽しみだw」


不適な笑みは・・・あいつに似てきたな



序章 堕ちた心と腐った信念 第二話 完


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