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バル対策本部 元帥の間
四章 可愛い暴君 FINAL
「大人みたいな事言うな・・・ほんとに小学生か?」
四章 可愛い暴君 FINAL
あれは、俺が中学3年生の頃だった
学校の屋上で、飛び降りようとしている奴を俺は見つけた
そいつは
小学生の時からの、俺の友達だった
あいつは昔から、いじめられたりする奴じゃなかった
特に暗くも無く、明るくも無い
人付き合いも本当に平凡な奴だった
小学校3年生になった俺は
クラス替えであいつと同じクラスになった
「よろしく」
友達が皆他のクラスに行ってしまった俺の不安と寂しさは
あいつのおかげで無くなっていった
親友とまでは行かなかったが
あいつは俺の友達だった
中学生になって、俺はあいつの変化に気付く様になった
クラスが一緒になることは無かったが
時々、一緒に帰宅するほどの仲だった
同じ中学の同級生達は俺達に陰口を叩くようになった
最初は、俺も陰口を言われてる、もしくは俺だけが言われていると思っていた
でも
中学2年生になって、あいつの顔に痣が出来るようになっていた
問い詰めても、「転んだんだ」とか「大丈夫」しか言わなかった
俺も、そんなに深くは問い詰めなかったが・・・
その日から、一緒に帰るたびに
あいつの笑顔はどんどん消えていった
おかしかった・・・何故いつもそんなに悲しく寂しそうな顔をするのか
昔のあいつはこんなんじゃなかった・・・・
今のあいつの目には・・・光がまるで無い
これだけは、確信できた
あいつは、何かに追い詰められてる・・・
だが、追い詰められる理由なんて数え切れないほどだ
人それぞれの事情も有る
あいつに聞いても、決して答えないと思った
あいつは・・・誰にも頼らず、何とかしようとしてる・・・
俺は、あいつに・・・何もしてやれなかった・・・
分からない事が多すぎて、どうしていいか分からなかった・・・
中学3年生の春
始業式の日だった
学校から帰る時、門を出る前にふと学校の方に目をやると
あいつは何故か屋上に居た
そして、屋上の金網を上った・・・
この時点で俺は分かった
あいつのポケットから手紙のような物が落ちた
遺書か?・・・・
飛び降りる!!?
俺は急いで校内へ戻った
何故あんなことをしている!?
何故だ・・・何故死のうとしてる!!!?
俺は頭を混乱させながらも屋上へと走った
屋上に着くと、あいつが笑顔で振り向いた
そして
そのまま落ちていった
あいつが、笑った
久しぶりに見た笑顔、幸福に満ち溢れた笑顔
俺は見てしまった
あいつが死ぬ瞬間、あいつが極楽へ行く瞬間
あいつは最後の幸せの場所へ行った
俺は、・・・それをただ見ている事しかできなかった
何も言えず、俺は少し震えている
俺の人生の中で、起きる事が無かった・・・起きるはずがないと思ってた
一人の少年が笑顔で学校の屋上から飛び降りた
即死だった
俺はあいつの葬式にも行ったが
長居はしたくなかった・・・
俺は・・・あいつがそこまで追い詰められてるなんて
いや・・・分かっていたけど、信じたくなかっただけだ・・・
あいつは、やっぱり誰にも言わなかった
家族でさえも、こんな事になるとは思わなかったらしい
原因はイジメによる自殺
葬式にはあいつのクラスメイト達も来ていたが
クスクス笑ったり、興味すら無い奴も居た
あいつは・・・クラスで・・・学校でずっと一人だったんだ
クラスメイトと言っても、クラス替えした3年生の新しい仲間
悲しむ奴なんて誰一人として居なかった
あいつをイジメていたのは、学校そのものだったから・・・
俺は・・・軽く考えすぎていた
あいつは、きっと誰かに救ってほしかっただろう
でも・・・
手を伸ばせば・・・あいつはその手を取ってくれただろうか?
事情を知らない俺の手を・・・
あいつが死んで数週間、数ヶ月と経ったが
未だに罪悪感は俺に圧し掛かってくる
友達だったのに、何も知らなかった
そして、俺は気を紛らわすために、そして楽しむために
「このゲームを始めたんだ・・・」
「この事は忘れられないし、忘れたくない」
「ならせめて、紛らわせるだけでもって思ったんだが」
「ここに来てから、今度は自分が死と隣り合わせ」
何も・・・変わってない気がする
安らぐ場所が・・・・無い
「よー分かった。もう何も言わんでええよ」
「もうそんなん思い出さんでええ、何のためにここに来たのか分からんやろ?」
「悲しい過去は掘り返さんほうがええ!」
そう言って、緋花は笑った
俺は・・・慰められてるのか?
ははは・・・・
「大人みたいな事言うな・・・ほんとに小学生か?」
「気を使わなくても良い・・・大丈夫だから」
ここに来た理由は単純で良い
【楽しむ】というただ誰もが想う単純でとても深い
今はそうじゃなくても・・・いつか・・・かならず・・・・
「守れるなら、まだ守れるなら・・・守ってやればいいと思う」
「癒李が大切なら、救ってあげればいい」
「お前が、癒李の最後の支えかも知れないからな」
緋花は立ち上がって、満面の笑みでこう言った
「そんなん当たり前やろ!」
破壊者の名を持つ悪魔アバドン
PC名緋花
武器の名はブラックスター
守りたい人がこの世界で生きている
だから緋花も、ここに居る
白い部屋
ここで悪食を監視する一人の男が居た
何百というモニターをジっと見つめながら
その一つ一つを見逃さず監視する
「ふぅ・・・悪食も遂に覚醒完了っと」
「この広い世界を一人で管理って・・・無茶させるよなぁ」
「こちとらまだ始末書も書かねぇといけないんだけどな・・・」
愚痴を漏らしながらモニターを見つめる
彼は旋風
悪食と一度接触した事があるPCだ
「なら、私が変わってやろうか?」
この白い部屋にINしてきたPCに旋風は気付いたが
誰なのかを確信すると、振り向きもせずモニターを見つめた
【そのPC】は構わず話を続ける
「お前も始末書をさっさと提出しないと、上から何を言われるか分かるだろう?」
「今回の不祥事は軽い物と見て取れるが、我らにとってはとても不味い事だ」
「悪食は、もうお前がGMである事に感付いて居るかも知れんな」
「・・・・わーってますよ」
「今は仕事もありますし、あなたの担当してるとこも人手が少ないのでは?」
旋風はダルそうに【そのPC】の方へ振り返った
態度からして旋風は、【そのPC】毛嫌いしていたが
【そのPC】はそのまま話を続けた
「フン、ここの人手が少なすぎるのだ」
「部下共はお前を除いて駆除に当たっているようだが」
「責任者はどうした?最近は社にも顔を出して無いようだが?」
「責任者ね・・・・」と曇った表情で語る旋風
旋風は何かを隠している
【そのPC】はすぐに感付いたが、特に気にする様子も無く
ニヤリと笑い、こう言った
「まぁ良い・・・私もこうやって手助けに来てやったのだ」
「お前は始末書でも何でも仕上げてくると良い」
「その間、私がここの管理をしておいてやる・・・」
旋風は【そのPC】が何か企んでいる事に気付いた
「あっそ・・・じゃ、お言葉に甘えさせて貰いますよっ」とぶっきらぼうに言った後
ログアウトする前に一言こう言った
「あ、壊しちゃダメですからね、あの子」
旋風がログアウトし、モニターの前に立つPC
モニターに写る悪食と緋花を見ながら
不気味に笑いながらこう言った
「心配要らんよ・・・私は興味があるだけだ」
四章 可愛い暴君 FINAL 完
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