あめりの小部屋

精神看護学実習



私の行ってた看護学校の付属病院には精神科の病棟はなかったので、精神単科の病院へと実習に行っていました。

看護学校に入学する前までは精神の病気の人…と言ってもイマイチぴんとこなかったし、よく分からなかったのが現実でした。

でも、学校の精神看護の先生(Ns)が面白い先生だったのと、精神疾患の講義に来ていたDr.の話が妙にリアルで興味深かったのもあってちょっぴり精神の実習が楽しみでした。

2年後期から始まった付属病院での臨地実習もようやく折り返し地点の夏休み前最後の実習!!これさえ終われば夏休みが待っている!いつもと違う病院で実習するのも何か新鮮な気分です。


さてさて、この精神看護学実習ではいつもの実習メンバーと違うメンバーで各病棟に振り分けられます。いつもと違うメンバーでまたちょっぴり楽しみでした。

この実習先の病院は結構大きな病院だったので、病棟がたくさんありました。

開放病棟・半開放病棟・閉鎖病棟・社会復帰病棟など。

この中でも更に老年系、女子のみ、男子のみ、急性期、慢性期、回復期などに分かれていて、それぞれの病棟に3~4人ず学生がつ振り分けられていきます。

ちなみに私達が行くことになったのは救急病棟でした。

「救急!?え、そんな激しそうな病棟に??いーんですか、先生?」と3人で不安げに聞いてみましたが・・・

「あーら大丈夫よぉ。まっ、でも他の病棟よりは色々と激しいかもねっ……フフッ(笑)」と不適な笑みを浮かべ、私達を更に不安にさせるような言葉を残して先生は去っていかれました…


「激しいって何が。。。」と不安におののくメンバー3人。

病棟が決まるまではちょっと楽しみだったのに、一気に不安増強。


そうして実習当日を迎え…。

先生に連れられ、いざ救急病棟へ。病棟に辿り着くまでに所要時間15分…(--;

病院の中でも一番奥の奥にあるので歩く歩く…。森のようなうっそうとした木々の中を抜けて、うねうねと曲がりくねった渡り廊下を歩いてやっとこ到着!迷わずに帰れるだろうか…という一抹の不安を覚えつつ。

2階建て?3階建て?の建物の全部の窓枠には格子がついてて、玄関にはもちろん鍵がかかっていて、ドアには全面にすりガラス?シートみたいなのが貼ってありました。そしてインターホンがドアの横に。

「病棟に入る時はインターホンを押して、中のスタッフの人にあけてもらってね」

「あとでナースステーションのドアの鍵は学生用に貸し出してくれるみたいだから。くれぐれもなくさないようにね~。」と先生。

ピンポーンとインターホンを押して「○△看護学校の実習生です。」と言うと、しばらくしてガチャガチャッと鍵を開けてくださいました。ドアが開いてびっくりしたのですが中は2重ドアになっていたんですよー。

そして2重ドアの向こうには病棟が!

でも、病棟っていうか医療施設ぽくない感じでした。決してきれいとは言えない(どっちかっていうと古くて汚い)施設なんだけれども、何か暖かさのある感じでした。それでナースステーションの鍵も開けてもらって、ナースステーションに。

うーん、ナースステーションっていうか、詰め所って感じ。(よく分からないけど)えらい狭くて人と人がすれ違えないんですが…。何か足元に患者さんのものとおぼしきカバンや服、ダンボールの荷物があったり、薬箱って言うのかな…患者さん別に薬が分別してあるケースとか、監視カメラのモニターのテレビが何台もあったり、ナースステーション前にライターがぶら下がってたり、詰め所の中に患者さん用のストックのタバコがいっぱいあったりして、普段の病院では見ないものがいっぱいでした。

病棟と保護室を見学させていただき、かなりびっくり。

保護室は・・・うーん衝撃でした。まずドアが分厚い。そして鉄製で重そう。上に小さいのぞき窓と下にご飯などを出し入れする四角い小窓があって。

床は何ていうか冷たい感じのタイルみたいな床で・・・。そこに敷布団を直接敷いているのがびっくりでした。後で聞いて納得したんですけどベッドとか椅子とかは自傷行為の原因になったり、危険な事もあるので安全第一の為なんだそうです。部屋には何もなくてトイレがあるのみ。そのトイレも自分では流せない仕組みなっていて、外からしか流せない…。

窓には鉄格子、窓の表面には何か爪のようなものでひっかいたような痕跡あり。そして部屋の天井のすみには監視カメラ。何か、初めてみる世界だぁーと少し怖くなりました。

病室は保護室ほど厳重な感じではなく、ベッドと床頭台がある普通の病室でした。

ただ、ベッドとベッドをしきるカーテンはおろかカーテンレールすらもありませんでした。

何でカーテンがないんだろう、と思い質問してみた所、やはりカーテンやカーテンレールなどがあると自傷行為(首吊りなど…)の引き金になりやすいから、との事。

ここの病棟は救急病棟だから、まだ症状が急性期の人が多い。つまりプライバシーの保護よりも自傷行為を予防することが大事なんですよ、と教えていただきました。

環境一つとっても実に細かい点まで気を配っているんだな~と、とても勉強になりました。


さて、受け持ち患者さんが決まりました。

統合失調症の方です。

ただ、指導者さんより「ここは急性期の方が多いので、学生さん1人で病室に行ったりはしないでくださいね。ホールで話をするのは大丈夫です。」と。

なるほど~と皆で納得。。。

しかし、待てどくらせど私の受け持ちの方はホールに現れず・・・。

急性期の病棟なので、患者さんに学生が受け持ちますよ、とは言っていないので無理もありませんが。。。他のメンバーの患者さんも誰一人としてホールには現れず・・・。

ボーっとしているのも何なので・・・他の患者さんと話をしていました。

患者さんは学生なれしているのか、皆さん気さくに話してくれました。

今までやっていた仕事のこと、家族のことなどなど。

話をしている分には、妄想があったりとか幻聴が聞こえているようには全く見えなかったんですが、あとでカルテを見させていただくと、その聞かせていただいた話自体が妄想だったりして驚きでした。

実習は2週間なのですが、救急病棟という特性もあってか、1人の受け持ちさんだけへの関わりというよりも多くの方と関わることができて、精神疾患への考え方とか対象者への接し方とか、とても勉強になりました。

患者さんと一緒にトランプしたり、オセロしたり、将棋やったり、卓球やったり・・・と普段の実習内容とは大きく違いましたが、これも立派な作業療法というか精神療法の1つなんですね。

「こころに何らかの病を抱えていて、非常にナーバスな状態にある患者さん。でも少しずつでも 外の世界に戻っていく準備をしなくちゃいけない。トランプやオセロもただそれを楽しむとい うことだけじゃなくて、正しいルールでどうやったらそのゲームで勝てるか、という戦法を考 えることや、勝って嬉しい!負けて悔しい!という普通の感情を取り戻すこころのリハビリで もあるんですよ。」

と、そこの病棟の看護師さんから教えていただけました。

すごい!なるほど!!と納得しました。

今でもこの言葉は心に残っていたのでここにのせてみました。

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