天使の羽根

天使の羽根

黄昏


背後に足音と自分を覆う影を察し、僅かに顔を横に向けた。

「ここにいたのかね、鋼の」
「…大佐……」

声と人物を確認しそう呼んだ。
大佐と呼ばれた人物、ロイはエドを見た。
エドはまた顔を埋めた。ロイは何も言う事なく、立ったまま運河を眺めた。
そのまま暫く沈黙が続いた。ロイが視線は運河から逸らさずに尋ねた。

「どうした?」
「…何で…ここに居るの解ったんだよ…」
「さぁ、何故かな」

顔を上げずに聞いてくるエドにロイがそちらを見て答える。

「………」
「弟と喧嘩でもしたのか?」

さらりと言うロイに僅かに腹を立てエドは無言を通した。

「………」
「……旅先で嫌な事が?」
「……」

そんな無言を続けるエドを視線の端で僅かに見ながら、
ロイが躊躇いがちに尋ねるとエドは顔を上げてロイを睨み上げた。

「…君は、前にも此処にこう して座っていた事があったな」

質問が図星だった事を気にもせず、ロイはまた河辺に視線を戻し呟いた。

「…?いつの話だよ?」

エドは記憶を一瞬辿ったが、エドには思い当たらなかった。
先より顔をもう少し上げる。
ロイの横顔が見える位。
するとロイはエドの横に座り僅かに首を傾げ静かに聞いた。

「知りたいかい?」

エドはそう言ったロイがいつものニヒルな微笑とは違って、
とても優しい顔で微かに微笑んでるように見え、
自分の高まった鼓動を悟られまいと合わさった視線を即座に逸らした。

「…別に、知りたくなんか…」

(……何で、何であんな風に笑うんだよ…
で、何でオレが焦んなきゃなんねーんだ……)

そんなエドの心境を知ってか知らずか、ロイは再度視線を河辺に移して
糸を手繰り寄せるように話だした。

「…あれは、まだ、君が東方司令部に初めて来た頃だよ。
やはり君はそうして膝を抱えて此処に座っていた。」
「…何でそ んな事あんたが知ってんだよ…」

(…そんな、そんなの、アルだって知らない事だ)

エドは仏頂面でロイを見る。
ロイは僅かにエドを見て目を閉じて空を仰いだ。

「君は…暫くすると立ち上がって、
左腕で顔を拭い天を仰いだ…。
私が君に見惚れるのは、それは充分だった」
「…んだよ、それ……」

ロイが言い終えると同時にエドの頬に触れていた。
エドはロイの言った事に頭が廻らず言葉が口を通らなかった。

「……ところで、君はここが、好きなのかね?」

そうしたままロイが淡々と聞くと、エドはまるで
催眠が解かれたかのよいに触れられていた手を叩き払って立ち上がった。

「……っ!良いだろっ別にっ!」

それを気にもせずロイはエドを見遣った。
そして背を向けられたエドの背後を見て刹那、
目を見開き、ゆっくりとまた目を閉じて言った。

「別に悪いとは言ってないが。むしろ…、
君が何故此処が好きなのか、今解った気がするよ…」
「……フン、あんたと同じモノが好みだなんてすっげー気分ワリィぜ」
エドはロイに背を向けこ憎たらしくそう言う。
ロイは服の草を払いながら立ち上がった。

「ハハハ、君らしい事を言う」
「…あったりめぇだろ、オレは!あんたなんか大嫌いだぜ!!」

身長差の割にエドは負けじと指を指してそう叫んだ。
だが。ロイには痛くも痒くもなく笑い飛ばした。

「ハッハッハッハ
…………黄昏時…か、
悪い事も嫌な事も洗われるようだな」

しかしその後に静かに言葉を紡げた。
そう言ったロイを少し淋し気だと感じ、エドは突っ掛かるのを止め
自分の右腕の機械鎧の腕を音を鳴らして拳を握った。

「……あぁ、洗われて、そしてまた現実に引き戻される。
逃げるな、立ち向かえと……」

ロイもまた、淋し気に返ってきた応えに愛しさを込めて名を呼ぶ。

「エドワード…」
「……」
「!!」

僅かに苦笑いに似た微笑みを浮かべエドはロイに抱きつい ていた。
ロイは何も言わずその肩を抱いた。二人が見ていたのは……


誰そ、彼は    


<あとがき>
は~~やあっと、書き終わりましたっ(>_<)
またエラク長くなってしまって…読んでくれた方お疲れ様でしたm(__)m
暇がなかったとゆうか、スランプってたとゆうか…
とにかく進みませんでした(T_T)書いてる途中でスランプってしまったので、
続きを書こうと思ったら始めに何を書きたかったのか
忘れてしまって感覚を取り戻すのにまた一苦労して
なんとか無事?に終わって良かったです~
次は切ないのが書きたいなぁ~
ご意見・ご感想お待ちしてます。

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