一人芝居


急に世界が静かになってきて、雨とエンジンの音しか聞こえない。

別れたあと、自分はもう気にしないと思った。たまには一人でファミレスに行って、静かにお茶を頼んで、そしてゆっくりと涙が流れた。泣き終わったらもうすべてが終わると思った。傷口にかさぶたができたら、もう回復の兆しと思った。あなたをそんなに好きじゃないと思った。

人は理性に騙せれ、だけど、感情はかすかに傷口を開いていく。

あなたが行ってから、私の普段の生活はあまりかわりがない、みんなも全然気付いてないから。でも、明らかに空白が増えた。ボケ老人のように、喋ってる途中、急に言いたい事を忘れたり、仕事の内容も思い出せなかったりする。あなたはなにも持っていかなかったけど、私は一部の歳月が流れてしまった。私は記憶を失い、振り返れない、心から喜んで自分を迷子にさせられる。あなたの存在を認めたくない、自分は氷柱になる。
哀れな事実、それはあなたの生活が変わりないこと。その事実に嫉妬し、私もなんの変わりもないふりをした。それはいちばんの報復手段だと思った。だけど、あなたは気付かなかったーーー気づくわけないじゃない?あなたはホントに気にしてないから。私は入念に練った芝居で、唯一の観客はまさか自分自身。

車は前に進む。トンネルに入った途端、雨の音が止んだ。車のライトはガラスを照らして、すべては無言のまま、私は感覚を失った。
あなたの声はもう聞くことができないんだ。
思わずうなだれる。認める、まだ気になってること。認める、私はもう再起不能。そして願った。トンネルをぬけて、泣いた後は、ホントにあなたを忘れられる。

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