020976

ごった煮

5

■　雨　■

雨　好き
だけど嫌い
じめじめしてるから
頭がズキズキ重くなるから
だから雨が嫌い
だけど好き
頭痛いけど
また降らないかなぁって
待ってるの

■　怖い　■

いつか自分はキレてしまうかもしれない
最近すれちがう人に　目に入る人に
見えない銃で狙いをつける
右手に持った鈍く光るナイフで切りつける夢を見る
血まみれになる夢を見る
目が開いているときに見る夢
足元はフワフワしていて頭は痛いし冷たい
冷たい頭で考える
もし　一人殺したら親も殺そう　弟も　親戚も皆
きっとその人達は生きていたら
一生ヒトゴロシの親戚として辛い目にあうだろうから
殺してしまおう
そして後は好きなだけ殺そう
タイムリミットは一日だ
きっと次の日には捕まってしまうから
でも自殺はしない
自殺は嫌い
何人殺したら死刑になる？
何人殺したら楽になれる？
何人殺したらこの胸のもやもやは消える？
何人殺したら
何人

自分はいつかキレてしまうかもしれない
外を歩くと目に入る　数百人の人を見る度に
大きくなる胸のもやもや

いつか　キレてしまうかもしれない

■　光　■

目が覚めるとそこは真っ白で
目が痛くて何も無くて　ただただ白いだけで
そこが光の中だって事に気付くまで
ずいぶんかかった
地上から光を見上げていた時は
あんなにも温かかった光は
あんなにも欲していた光は
実はこんなにも恐ろしかったなんて思いもしなかった
光は怖かったんだ
人間は光を欲する事は許されても
手にする事は許されないんだ
だからイカロスは羽を奪われて海に堕ちた
だから私は光を手にする夢を見て怯えている

■　跡　■

はじめてその場所に立った時
目に入ったのは
とけた財布に埋もれた５０円玉と１円玉
青く変色した５０円玉に爪をたてる
カリ・・・　っていう感触だけで
何も他の事は語ってはくれなかった
そこで車が燃えたことも
その中にいた５０円玉の持ち主の事も
その人の心も
何も教えてはくれなかった
撒いた酒の匂いを
右から左に風がさらっていく
盆の風は暖かくて寂しい

■　想い　■

大正時代を生きてみたかった
不安定で魅力的な
憧れの大正時代
こんなにも大正時代に心ひかれるのは
前世が大正時代を生きていたからなのだろうか
それとも前世もまた憧れていたのだろうか
どちらにしろ
今度の私は大正時代に魅せられている

■　時計　■

時計は嫌いだ
私を音で縛り付ける
心を焦らす針の音
カチッ　カチッ　カチッ　カチッ
でも何故か
その音がすごく心地いい時がある
規則的に耳に響いてくる針の音が
普段はわずらわしいだけの
嫌な音のはずなのに

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