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■ 私だけのカミサマ ■



あの日の事覚えてる?
私、突然屋上に呼び出された
貴方はフェンスの向こうで両手を広げて
笑顔で私に言ったね

もし 僕が、
ここから飛びおりても死ななかったら
それってすごくラッキーじゃない?
そんなラッキーな奴と一緒にいたら
きっと君にも良い事あるかもしれないよ

そして貴方は倒れた
すごくゆっくり
貴方の茶色くて細い髪が
太陽の下 キラキラ光ってて
とても綺麗だった
あの時私
心臓が止まるかと思った
だって下にマットが敷いてあるなんて知らないもの
でもマットがあっても
危ない事には変わりないよね
だって少しそれたら

あの時すごく怖かったって
貴方捻挫した足さすりながら笑ってた
あの高さから落ちて捻挫だけですんだんだもの
貴方は貴方の言った通り
ラッキーな人だよね
だから今回も大丈夫だって
私信じてる
貴方の乗った飛行機
バラバラになって
ぷかぷか海にういてたけど
きっと貴方は生きてる
だって貴方が死んだなんて
私信じられないもの
私は貴方の帰りを待ってるの
だから早く帰ってきてね
私の幸運のカミサマ







■ 人の気も知らないで ■



履き慣れたパンプス
=(イコール)私みたいにお決まりな
チェックの柄の黒のストッキング
歩く度にスリットがずれるスーツ
オーダーメイドで買ったのに
それだけ私が痩せたって事かもしれない
最近化粧をしても顔になじまない
目の下には2重に隈ができてるし
それだけ疲れてるって事かもしれない
本当最悪
気がついたらスリットが真ん前にきてるのって
すごく恥ずかしいんだから
スティックコンシーラーぬりたくって隈消すの
すごく時間かかるんだから
それも全部あなたのせいよ?
恋人に楽させてあげたいのは分かるけど
それがなんで私にまわってくるわけ?
私雑用じゃないんだけど?
それとも何?
それだけ私の力を信頼してるって事?
え?
独りぼっちで残業するのが嫌?
じゃあ彼女と仲良く残業しなさいよ
夜道を帰らせたくない?
何ソレ
私ならいーってわけ
ってちょっと!!
言ってるそばから仕事増やさないでよ
あーあーあーあー
これじゃ今日も残業じゃない
はぁ…
もう良いわよ
わかったわよ
貴方に付き合える物好きなんて
私くらいしかいないんだから
いくらでも付き合ってあげるわよ
まったく…








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