時々鬱々日記

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チチエセ(3)さくらんぼ


>>                    >> 
>>  先日,米沢の「さくらんぼ」が届いた。
>>  「さくらんぼ」は、狭い箱の中で窮屈そうだったが、桜色のほっぺたを
>> ピカピカと光らせて、やさしく私に微笑みかけてくれた。
>>  それを見ていると,姿と言い色合いと言い「さくらんぼ」というよりも
>> 「桜桃=おうとう」というほうが、なんとなくぴったりしているなと思った
。
>>  少しだけ,お隣りの老夫婦におすそわけをし、残り全部を女房と2人で
>> 3日に亘り、おいしい、おいしい、といいながら満喫した。
>>  控えめな甘さにくるまれ,桜のほのかな香りが口の中に広がり、はるか
>> なる米沢の風と香りを沢山伝えてくれた。
>>  「さくらんぼ」を食べながら,こんな話を思いだした。
>>  もう20年以上も前の話だが、神戸育ちの長男が仙台の大学に進学し
>> 貧乏下宿にいた頃の話である。
>>  金策をし,ほんばの最高級「さくらんぼ」佐藤錦を手に入れ、弟の北海道
>> 修学旅行の、神戸からの夜汽車に差し入れにいった。
>>  しかし、時間を間違ってしまい,苦労して手に入れた「さくらんぼ」を渡す
>> ことが出来なかったことを大変残念がっていたことである。
>>  なんとしても「さくらんぼ」の味を弟に知ってもらいたかったからであっ
た。
>>  私の生まれ故郷が、米沢であることを,彼らは知らなかったと思うが、
>> この話を聞いていて、なにか「さくらんぼ」を通じて親子の因縁があるの
>> かなと感じた記憶がある。
>>  私は,米沢で生まれた後,2歳で水戸へ、そして終戦直後大阪へ引越し
>> 今は神戸に住んで43年になるが,生まれ故郷の米沢には一度も訪れた
>> ことがない。
>>  小さかったので,米沢の記憶は全く無いが、小学生のころ、亡き母から
>> 米沢のことを良く聞かされたものだ。
>>  玄関の入り口をふさいでしまう身の丈を超える雪や、鷹山の
>> 「なせばなる,なさねばならぬ何事も・・・・・・」という修身訓話などとと
もに
>> 「さくらんぼ」が本当に美味しかったことなどである。
>>  「さくらんぼ」を送ってくれた4つ年上の姉からも、庭にあった桜の木に
>> 兄が登って「さくらんぼ」食べていたと言う話を聞いて、うらやましい思い
>> をしたものだ。
>>  そんなわけで,米沢と言うところになんとなく憧れと、郷愁を持っていた
>> 私の心に、この「さくらんぼ」は故郷の思いをたっぷりもって来てくれた。
>>  昨今はいろんな産地特産品が、旬の果物をそのまま宅配してくるので
>> なにか有り難味が少なくなった気がする。
>>  しかしこの「さくらんぼ」には、その一粒一粒にいろいろな思い出がこめ
>> られた素晴らしい贈り物であった。
>>  姉は、ふるさとの思い出をこの「さくらんぼ」に託し送ってくれたのだろ
うが
>> こんな米沢を送ってくれた姉に、私は密かに感謝した。
>>  
>>    平成15年7月11日



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