強風に形をかえる雲を眺めながら考えている。
大切にしたいって気持ちより欲望のほうが勝っても
それは愛だと呼べるのだろうか。
この頃、暇さえあれば浮かんでくる天使の顔を浮かべながら
俺はたばこをもみけした。
もともと営業体質だったのか
この仕事につく前から心の中ではいつも
"ソレ以上ハヤバイ"
"OK.ススメ"
と瞬時に判断がくだる。
悩んだことなんてあんまりなかったし、
そんな気持ちもよくわからなかった。
TVの画面では天使が出ているCMが
俺を追い詰めるようにしょっちゅう流れている。
彼は自分では
「俺って芸能人なのかな?」
などといっていた。
自分がどれだけ世間に露出しているのかよくわかっていない。
ただ、なかなか会えないと俺に愚痴だけをこぼして。
切ないのは辛いのは
「俺の方だっつーの。」
画面を見ながらつぶやいた。
だいたいどーしろっての?
一般人が芸能人にそうやすやすと
会いになんて行けるわけないだろう。
日々弱っていく天使のことは
彼のマネージャーである都市田から聞いていた。
ついでにまた、俺がいるほうが天使の調子がいいからと
仕事の依頼まであった。
(本業にさしつかえるのでお断りした。)
最後に会ったのはいつだっただろう。
またあの細い体で一人でがんばっているんだろうか。
たしかに、きめの細かい白い肌をこの手でたしかめたのに。
あるいは泣き顔をあんなにまじかに見ていたのに。
今はそばにいない現実。
たえきれなくなって上着を手に取り彼の元へ向かう。
冷静な判断なんてとてもできるような状態ではないと思った。
都市田に連絡をいれるとすぐに天使の居場所は教えてくれる。
今は仕事場の近くにかりている
ウィークリーマンションにいるそうだったので、
教えられた部屋のチャイムを押して天使の登場を待つ。
「はい。」
とドアを開けてくれた天使の顔になつかしさを感じた。
喜んで迎えてくれると思っていた彼の表情は次第にこわばっていき
やがて
「・・瀬戸さん。」
とやや緊張したような声でいってから、伏し目がちに俺の方を見た。
「あれ?喜んでくれねーの?」
わざとおどけてみせた。
心の中では不安でたまらない。
もう天使は俺のことなんて忘れてしまったのだろうか。
「なんで、今更・・。」
泣きそうな顔でつぶやいたのが聞こえた。
今更ってどういうことだろう、
俺が次の言葉を発する前にと、部屋の中へ
逃げて行く天使を追いかけて
はらいのけようと懸命に動く腕を無理につかんだ。
心の中で響く判断
"今シナイト心ハ離レバナレ"
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