サクラ




「何の花が一番好き?」と聞かれたことがある。
少し考えて、私は
「サクラ」と答えると
彼は、困った顔をした。
どうやら私に花をくれようとしたらしい。
「サクラねえ。。。」とまだ困っている彼をみて
笑う私は幸せだった。

そして、サクラは決して自分だけのものにならない事に気づく。

春になると
花見をしよう、と言い出す友人がいる。
そして私達は集合するのだ。
昔は毎日のように遊んでいた仲間達。

時が過ぎて今は
一年に一度くらいしか会わない関係。
相変わらずバカみたいな私達!
美しいばかりのサクラの下で
私達は大騒ぎする。

その日限定の楽しさ。
明日からはまた、それぞれの生活がある。

笑うみんなの輪の中で
ちょっと気まずい人もいて
時々目が合って
うまく笑えたかは分からないけど
ぬるい缶ビールを飲む。
酒に酔った目で、サクラを見上げて、
散っていく悲しさを思う。

優れた美人。
あなたの季節がきたね。
誰のものにもなれない綺麗なあなた。
誰かに恋をしてるの?
かなわない恋?
永遠の片思い?
花が咲いて、散って。
また咲いて、散って。
一年後またここで会おう。他人みたいな顔をして。


冒頭の彼の話に戻るけれど。
しばらくしてから彼は私に、
鉢植えのサクラソウをくれた。
照れた顔の彼をみて笑う私は幸せだった。

そういうサクラだってある。


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