CUT IN APASH

CUT IN APASH

トラッキング族


僕が22歳頃の話である。

当時のぼくは、車に興味があり、「とにかく目立つ車」に乗りたかった。
今考えると、よく恥ずかしげもなくあんな車に乗れたもんだと思うが...
当時、目立つ車のハシリだったのが、トラック(商用車)をハデハデに改造して、
車高をぺったんこにした、いわゆる「トラッキン」であった。
(今でもたま~に見かけるが...)

僕の車は「ダットサン720キングキャブ」というやつで、色はキャンディ-レッド
リアゲ-トには裸女のエア-ブラシ、車高はぺったんこという、
なんともにぎやかな車だった。
その頃は、20台ほどのチ-ムを組んで、毎週土曜日に渋谷に集結していたのだ。

今では考えられないが、渋谷の公園通りが下から上までびっしり
「トラッキング族」でうまっていたのである。
(中には、青森から来た奴もいた...)
TVで取り上げられるほどの話題になり、
事実、僕もキョ~レツな照明とTVカメラを前に、
インタビュ-に応じた事もある。

そんなある日の事である。
どういうわけか横田基地から外人の女の子2人を拾って行く事になり、
たまたま空いていた僕の車に乗り込んで来たのである。
1人は白人のかわいいコで、もう1人は黒人のシャイな女の子だった。

ところが...2人が車に乗ってから、な~んかおかしなニオイがする...
ニンニクが腐ったようでもあり、腐ったニンニクがさらに腐ったような...
そう!コレは「ワキガ」のニオイだ!
ん゛~ ...  それにしても...すさまじい...
どうやら、黒人のシャイな女の子がニオイのもとのようである...

僕は、精一杯ガマンしてみたが、ついに耐えられなくなり、
一緒に走っていた仲間を止めて、運転を変わってくれるようお願いしてみた。が、み~んな顔をしかめて「わり~ネ、オレはムリ...」だとか、
「や~、カンベンして!」なんて言うのだ。
そう!この事を知らなかったのは僕だけだったのだ...

僕はこの娘たちと過ごした車中の1時間が、
まるで1年でもあるかのような錯覚を覚えながら、
真冬の寒い夜に「いや~、なんか暑いよね~」などと言って、
車の窓を全開にし、気を紛らわせる為にステレオのボリュ-ムをいっぱいにして、
口だけで呼吸しつづけたのを今でも覚えている...


ダットラ...
ダットラ...
ダットラ...

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