★パズル☆第九章~葉端~


高藤さんの車が夏果の家までの坂にとまっていたからだ。
僕は夏果にあわせる顔がなく、
ただただ毎日夏果の家の前を通ることしかできなかった。

携帯に着信があったのは夕方の5時。
まだ日が照り付けていた。
見覚えのない電話番号。鳴り響く着信音。
僕は床にはいつくばって携帯を取り上げた。
「はい・・・。」
「・・・・。あ・・・あの・・・・。。」
聞き覚えのある声だった。
「夏果・・・?」
少しの沈黙が続いた後
「今、葉端(はばた)の神社にいるの。これない?」

自転車に乗って5分。
山の入り口にある葉端神社は
昔よく近所の悪ガキとつるんで遊んだところだった。
夏果とも一緒に行った記憶が少しだけあった。

神社につくとそこには長い長い階段があって
そのちょうど中腹に夏果らしき人がいたのが見えた。
僕は一段一段ゆっくりとのぼっていった。
今夏果に何を言おうか
この胸の高鳴りをどう表現すればいいのか
一段また一段、僕はこの思いを自覚しながら夏果のもとへ歩み寄った。

「ごめんね・・・。急に呼んじゃって。」
「・・・平気だよ。」

沈黙になるのはイヤだった。
心臓がドンドンと強く大きくなり始めるのが僕にはどうしようもなく苦しかった。

「海ちゃん、あたしが倒れたとき病院まで運んでくれたんでしょ?
ありがとう・・・。高藤さんにも連絡してくれて・・・。」

夏果は僕が一番聞きたかったことを一つ一つ話してくれた。

「あたし体弱いからおばあちゃん死んじゃった後すぐにはニューヨークに
戻らなかったの。東京の高藤さんのお家で少しだけお世話になってたの。
高藤さん・・・本当はいとこなんかじゃないの。
お父さんの会社の上司の息子さんで・・・・。その・・・。」

夏果が口篭もった。
大体の予測はついていた。
10近く違う高藤さんと夏果がそんなに仲のいい
それも倒れただけで飛んでくるようないとこには見えなかった。

「婚約者っていうか・・・両親が勝手に決めた言葉だけのものなんだけど・・・。
高藤さんはすっごくよくしてくれてて・・・。」

「夏果・・・・」

「私はね・・・好きな人をつくっていっぱいいっぱい好きになって
幸せになれたらって・・・・・。」

夏果のその言葉には何か弁解しているようにしか聞こえなかった。

「夏果・・・好きだ。」

夏、夜風がキモチイイこの神社の階段で僕は僕の気持ちに嘘はつけなかった。


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