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当たり前だけど、朝になってもかぼちゃんは動かなかった。 当たり前だけど。 昼過ぎに 少し先に池が見渡せる森の中に入り、 かぼちゃんを埋めた。 かぼちゃん用に用意したカリカリも一緒に埋めた。 スコップを買った店にハロウィン用の 小さなかぼちゃが売っていたのでそれを墓標にした。 眠るように倒れていたかぼちゃんを起こし 2日間命を延ばしたことはよかったのだろうか。 住み慣れた家に帰れたのならよかっただろうけど 私の家ははじめて来た家だ。 この2日間でかぼちゃんに楽しみはあっただろうか。 考え始めたらいくつでも後悔が出てきそうだ。 あの元気になった一瞬の日に もっとカリカリあげればよかったな、と思った。 かぼちゃんのいた部屋のものをいっせいに洗濯した。 一緒に寝た時、かぼちゃんは特有の臭いがした。 もう少し元気になったらお風呂に入ろうな、 目の膿も綺麗にしような、と思ってたのを思い出した。 今はその臭さの方が愛おしい。 顎がずれた為はみ出していた八重歯のような牙、 潰れた目....そういった最初ぎょっとした所の方が かえって愛しくて懐かしく思い出されるもんなんだなあ。 次生まれ変わるときはうちに生まれてきて欲しい。 そしてまた一緒に寝て欲しい。 それがだめなら、 来年のハロウィンにでもひょっこり遊びにきて欲しい。 今までハロウィンは特に何もしてなかったが かぼちゃんの目印になるように小さなかぼちゃをまた買おう、と思った。
2006/11/02
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明け方はやく、なにか動いたのか急に目が覚めた。 一瞬事態が飲み込めなかったが、かぼちゃんがいない。 見ると顔の横に丸まっていた。 あれ、やっぱ寝心地よくなかったのかな、と思ったら かぼちゃんが寝ていた辺り一面に私の胸元におねしょが。 気持ち悪いから移動したんだな~。全くこの子はたくましい。 また色んな所にオシッコするといけないので ケージに入れてみた。今度は一応毛布で丸くなった。 そして私も2度寝した。 昼に買い物に出た。 トイレですぐ寝てしまうから、 小さめのトレーを買ってトイレにしよう。 そして寝やすいふかふかのクッションを買おう。 間接接触はそれ程危険ではないが、 かぼちゃんは塞がっていない傷口が多いので その血が私の服についてそれを別部屋でシロップ達がなめるといけない。 しかし部屋を移動する毎に服を着替えるのは.... そこで思いついたのがスモッグ。 そーだ、かぼちゃん部屋に入る時専用のスモックを着ればいいんだあ。 スーパーで店員に聞いたが、スモック?という顔。 結局アジア雑貨のチュニックにした。ゆとりがあるし安いしぴったり。 その他、かぼちゃん用のお手拭きやタオルを買って帰る。 帰ると、かぼちゃんはまたトイレで丸まっていた。 見ると小指程の便が出ていた。 昨日より大きい、よかったな便も出せるようになったか、 と思ってかぼちゃんをなでてみる。 するとなんかおかしい。ぐったりしている。 見ると肛門からまだ便が繋がったまま倒れている。 便をひっぱてひっこ抜く。 これが詰まって苦しかったのか? しかし便を抜いてもぐったりしたままだ。 抱き上げると、小さな声で「にゃあ」と言うものの 首がぐんにゃりしている。首をあげられない。 一瞬にして、明らかに状態が変わっているのがわかった。 拾ったときよりも悪い。 何度も呼んだ。 頭にてのひらをのせた。 はじめて会った日は、顔をあげてくれた。 今は、顔をあげようとすると 重力に引きずられるようにずるりとさがる。 かぼちゃんは絞り出すような声で、にゃあ...と微かに鳴く。 動かしていいのだろうか? まずは、暖めればいいのか? できるだけ強く動かさないようにして 胸元にかぼちゃんを抱いて、布団にくるまった。 これ以上動かしてもいいものかわからず、 私も身動きできないようになった。 時折にゃあと鳴くかぼちゃん。 しかし一向によくなる気配がない。 意を決して電話口に行き獣医さんに電話した。 もう少し落ち着いてから連れて行けばいいのか、 今すぐ連れていけばいいのか、 今連れて行くまでできる応急処置はないのか聞いた。 しかし事態は想像以上に悪いようだった。 診ていないのでわかりませんが、と言葉があり。 覚悟をするような事を言われた。 病院について、かぼちゃんを診察台に乗せた。 かぼちゃんは首がちぐれそうなくらい 首をつっぱって伸ばし、そしてぐにゃりと横へ傾いた。 目や手足、胸などを触診し、獣医さんの渋い表情が続いた。 獣医さんが静かに説明をはじめた。 もうあと数時間とのこと。 最初に、首を潰れた目の方向に傾けましたね、 あれは、脳に膿がいってしまった子によくみられる行動です、 と説明された。 獣医さんは、とても慎重に言葉を選び、話してくれた。 正直、よくもったと思います、 発見の日に逝ってもおかしくなかったのですから、などなど。 ありがたかった。優しい言葉だった。 でも、もうだめってことなんだな。 体にその空気が染みこんでいくのがわかった。 かぼちゃんを抱いて夜の道路を車で走る。 家に着き、ゆたんぽをつくり添い寝する。 目がぼんやりとし始めているが、時々焦点が合う。 かぼちゃんは時折にゃあ、と鳴いた。 しばらくして、苦しそうな嗚咽がはじまった。 はくものがないので、透明な液が何度も出る。 お願い、嗚咽をとめてあげて、と願ったけど 嗚咽が止まる時が何を意味するかもわかった。 ゆっくりと命が消えていくのだけども やはりその瞬間は突然で。 嗚咽がやみ、小さな吐息がきこえた。 呼びかけて頭に手をのせると、小さく反応した。 もう一度呼び、頭にてをのせると 今度は反応がなかった。 20時少し前、かぼちゃんは逝った。 段々と固くなっていくかぼちゃんを感じながら もう一度昨日と同じように抱きながら寝た。
2006/11/01
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