染み入れ、我が涙ーなみだ石の伝説ー飛鳥京香●山田企画事務所

染み入れ、我が涙ーなみだ石の伝説ー飛鳥京香●山田企画事務所

「なみだ石の伝説」第2回


「なみだ石の伝説」第2回

「なみだ石の伝説」
(飛鳥京香・山田企画事務所・1975年作品)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/ 

第2回

 正直にいうと実は、「なみだ石」を一つ持っているのだ。

 東京へでてからの僕は人づきあいの悪い人間だった。
特異な風貌、まるで禁欲的な僧侶にみえた。
なみはずれた長身、それにどことなく体から発する毅然たる態度。

 こんな僕でも恋はする。

 その彼女に出会ったのは、去年の十二月。仕事の関係で知り合った。
 彼女の眼をみた僕ははっととする。
同じ種類の入間だ。
 僕は彼女に必死で話しかけ、最後には彼女が同じ頭屋村の出だとわかった。幼ない頃、村を出た僕
が知らないはずだった。
彼女と知り合い、それ以後倹は彼女にひかれていた。
ずっと昔から彼女を愛しているように思えた。それから                」
の僕の行動は、あらゆることを投げすて、彼女に会うこと、
それがわびしかった生活をなぐさめる生きる力。

 けれども、彼女にはどこか近づきがたいところがあった。
外見は20才くらいにみえるのだが。
僕と話をすると、僕がたちうちでき左いほどの知識をもっていた。
まるで何百年もいきているように感じられた。

 「あなたと同じようが寂しい眼をしている人々、この世の中
そう地球といってもいいわ、でやさし過ぎて生きてはいけない人々
をさがし、そんな人達を幸福にみちびいてあげるのが私なの」
 ある時、彼女は私の眼をじっとのぞきこみながらいった。

 「でも残念ながら、あなたは私達の仲間にはなれない」
「仲間だって」
「そう仲間よ。一緒に長い旅にてる仲間」

「旅?」
「私達、旅立つ日が近づいている」
 彼女はさびしそく言う。
「二度と、、、
「会えなくなる」
「そんな」
「悲しい?。そう、、これをあげる」
 彼女が僕にわたしてくれたのは、ちっぽけな石。
「これは何」
 僕は立ちあがった彼女を見上げながらたずねた。
「なみだ石」

 彼女は去っていった。
「なみだ石」
 僕はつぶやく。

きらきら光るそのなみだ石をじっとながめる。
彼女のあとは追いかけなかった。
 なみだ石、

聞いたことがある。その時はっきり思いだせなかった。

そうだ、ときずいた僕はさっそく下宿にとんでかえる
。もり一度、涙岩伝説の事を読みかえす。
 そして、決心した。
涙岩をみよう。
ふるさとへ帰ろう、、と。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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