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ブランド!ブランド!ブランド!
ブランド!ブランド!ブランド! 理屈を超えた強さをいかに築くか
ダリル・トラヴィス 著
感想:
ブランディングは現在マーケティングのトレンドのひとつとなっている。他のトレンド同様、流行っているからといって、それを取り入れれば必ずうまくいくというわけではなく、むしろ、中途半端な理解でキャンペーン的に行えば、コストばかりがかかって成果も出せず、結局、社員のモチベーションを下げることにしかならないが、それでもトレンドになるのにはやはりそれなりの理由も、成功事例もある。この場合、失敗するのはブランドと聞いて単に広告やPRによって大々的にブランドイメージを作り上げることだけに夢中になった場合で、逆に成功する企業はブランドを自社もしくは自社ブランドのアイデンティティ、特にどんな価値を顧客に提供するかという意味での差別的なアイデンティティとして、全社的な取り組みを行なっている。前者が自社の内側からの視点でブランドを確立しているのだとすれば、後者は顧客の視点に立ち、ブランドをそのイメージとしてのみならず、顧客に価値をもたらすエクイティティ(資産)として捉えているのだ。
さて、本書はアメリカでブランド専門のコンサルティング会社のCEOを努める著者が、「ブランドとは何か」について、「感じること」、「右脳」をキーワードとして、記した本である。文体はビジネススクールの教授が書くようなアカデミックで堅苦しい印象のそれではなく、時にはジョークを交えた比較的読みやすい文体で書かれている。ブランドの本質やブランド構築の意味や要素などについて、様々な事例をひきながら、「感覚的に」わかりやすいよう論じている。いわゆるハウツー本ではないので、これを読んだらすぐにブランド構築がはじめられるといった類いの本ではない。だが、逆にいえば、ハウツーの言うがまま、やってみたら大失敗なんてこともないというわけで、では、この本の価値はいったいどこにあるのかといえば、ようはこの本を読んでブランディングに関する本質的な部分を感じ取れたら、それにしたがって自らの感覚、考えで行動すればいいというわけ。ブランド=アイデンティティであり、それは外から認知されたアイデンティティであるのだから、そもそもハウツーを読んで実行しただけの画一的なもので成功がつかめるわけがない。何よりアイデンティティに必要なのは他とは違った価値を認知してもらうこと。それには当然、自分自身と自分と他者との関係について見つめ直すことが必須。この本は、そうしたブランディングにおける核となる部分をきちんと論述してるとこがいいとこです。
点数:
おすすめ度
★★★☆☆
わかりやすさ
★★★★★
役立ち度
★★★★☆
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