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これも前に一度読んだことがあります。
きっと、 読んだのを忘れてまた買っちゃった
んでしょうが
こちらには感想を書いていないようなのできっと1年以上前に
読んだのだと思われます。
鷺沢さんの小説はどれも "寂しさ"
が漂うものが多いですが
これもそのひとつ。
勝利は、子供の頃家庭に恵まれず親戚を転々としたため
極度に人から嫌われることを恐れるあまりに
自分というものをなくしてしまい、結局大人になって
どの女性にもいい顔をして3人とつきあうハメになり、
その中の2人はばれた後離れていくけれど
一番付き合いの長い1人は"貴方を信じることにした"と言って
結局もとさや、というお話。
読んでて思うのは、こういう一面ってみんな持っているんじゃないかな?
ということ。
(あ、 自分大好きパリス・ヒルトン
にはないかも)
愛情たっぷりに育てられたって、兄弟が多ければ
もっと自分に目をかけてほしくて人の顔色をうかがうようになるかもしれない。
モチロン個性にもよるのだろうけれど。
程度が程ほどなら普通だけれど、いや、むしろこういう一面が無い人間ってのも
まったく人の気持ちを気にかけないってのもそれまた問題だと思うけれど
極端になると勝利みたいな
自分すらも愛せない人間になってしまうんですね・・。
ってことは、人間幼少期に愛情をかけられないと自分も愛せない
"自分"をもたない人間になってしまうかもしれないってことですね。
それはなんとなくわかるような。
解説の水上洋子さんの文章もとても興味深かったです。
"君の言っていることはよくわかるけれど、自分がどうしたいかわからないんだ"
という実際にいたらしい八方美人のオトコ。
こういう人って、女性にとって気配りしてくれるし (必要以上に)
やさしくしてくれるし (必要以上に)
付き合うには
なかなかいい人に思うかもしれないけれど
実際には自分だけにじゃなくて 人類全てに気を使ってるだけ
ということを
早く見破ってさっさと手を切ったほうが幸せになれると思います。
だって、別れるときに"付き合ってるときは楽しかった"という彼女に
” そりゃ、そうだろう。
彼女が楽しめるように気を使ったのだから。
でも、自分は3人の女性といたときの いずれも楽しくなかった
”
って思う男と一緒にいて内容のない”楽しさ”に気がついてしまったら
やりきれないと思うもの。
相手に合わせてばかりいるようになってしまったのは
彼のせいではないかもしれないけれど、それってもう直らないものだと思うし
(小説中にも歩けれど、もはや 条件反射
のように自分の意思に反して
相手の望むことを言ってしまうのだから。)
そもそも、自分も他人も愛せない空っぽの人間と一緒にいたって
幸せになれるわけが無い。
それでも別れられない!という小説中の圭子のような人は
まずカレが他人(自分含む)にばかりあわせることを辞めさせて
自分を取り戻すところから付き合わなくちゃいけないでしょうね。
そんな彼を(自分に気を使わなくなった彼を)まだ好きでいられるかどうかはまた別問題で。
ご苦労なことです・・。
この小説は自分の空っぽさを元カノの一人に指摘され、
自分の本当の誕生日を打ち明けようとするところで
終わっていますが、やっぱり 幸せになれたとは思わない
んだよなぁ、
この二人。
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