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その18 ~ 擬似精霊1 ~



やがて…。魔法陣が破裂したかと思われた。

少なくとも蒼星石にはそう思えた。

激しく明滅する魔法陣がその輝きを増し、一つの大きな光となったあと一瞬で光を失ったからだ。

「何っ!?」

「なんです?」

遠くから見ていた翠星石には花火が一瞬光ったようにしか見えなかった。

偶然なのか、立場が違えど双子の人形たちは同時に驚きを感じた。


光を失った後に残ったものは庭師の鋏とそれを掴む手だけだった。



だがやがて肘の部分に当たるところから変化を始める。

それは徐々に赤黒い肉の塊がそこから膨らんでいった。


蒼星石は見るに耐えられないおぞましさを感じながらそれを見つめている。

翠星石からはそれがよく見えない。まるで鋏が宙に浮かんでいると思った。

レンピカは横目に見ながら「遅い…。」と漏らした。


それでもこれを成長と見るならば驚くべき速さで大きくなっているのは間違いない。

レンピカが実体化するのと違い、こちらは腕から増殖しているのである。

生命樹の枝が伸びるのに匹敵するぐらいの成長力など普通の生物にはありえないからだ。


それは人型にレンピカほどの大きさになるとそれを包むように再び魔法陣が発生した。

今度は光を放ちながら最初から文字に包まれた状態である。

そして同じように光を失うと残ったものは………レンピカと同じような少女であった。




なぜなら頭に当たる部分には袋のようなものがすっぽりとかぶせられている。

そして袋からはみ出た形で腰まで伸びた長い金色の髪がある。

鋏を持つ左腕だけが異様に大きく、それが余計にアンバランスに印象付ける。

体にまとっているのは服とは呼べないような濃紺の布を粗雑に巻き付けてあるだけだ。

腰のところにある茶色い帯だけで留めているらしい。



また右足首のところに黄色の紐を巻きつけてリボンのようにしている。


「大丈夫か、これ?」


蒼星石は思わず本音を漏らした。

それを聞き取れたのかどうか、鎌を振り回し攻撃の手を休めずにすかさずレンピカが答える。


「シスター。これは私の身体の一部、擬似精霊のピーチェでございます。
 擬似精霊ゆえに見た目はよろしくないかもしれませんが、力は私(わたくし)と同等でしょう。
 ですのでご安心下さい。戦うことには何の支障もございません。
 ほら、ピーチェ。シスターにご挨拶なさい。」


ピーチェは頭を軽く下げたようなそぶりを見せたかと思うとすぐさま蒼星石に背を向け飛び出していった。


「なんだあれ。どこが大丈夫なんだか…。」


蒼星石は苦々しく吐き捨てるように言った。


                          …つづく。





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最終更新日  2006/10/25 03:26:27 AM
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