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K/Night
便利屋 in 篠慶学園―後編―
イライラと水生は頭をかく。
「証拠さえあればいいんだけどなぁ。些細なことでもいいからさ。」
本気で困っているらしい水生は頭を押さえる。顔は苦痛で歪んでいる。
「どうした?頭でも痛いのか?」
額に手を当て、尋ねる。熱はない。
「最近酷くてな。ストレスから来るものかもしれないけど・・・・。そう言えばさっき頭に思いっきりボールが当たったっけ。」
「保健室には行って休んだりはしたのか?」
「してない。行っている時間が惜しい。」
そう、断言する水生に竜也はため息をつく。他人の体の心配は嫌というほどするのに、自分の体の心配はしないらしい。
竜也は一瞬考えると何を思ったのか、水生の体を肩に担いだ。
「なっ ――――― !?」
「保健室にいくぞ。」
「えっ?!」
言うなり竜也は図書室を出ると、そのまま廊下を歩き始めた。廊下を歩いている生徒が、竜也と水生を見て何事かと立ち止まっては見ている。
「・・・・っ、竜也、恥ずかしいからやめろって。私は大丈夫だから!」
肩の上で暴れる水生に、竜也は面倒くさそうに言った。
「お前が良くても俺がいやなんだって。それに、竜矢や水城だって水生のこと心配してるんだぞ。」
「~~~~~っ、わかったよ。」
水生はとうとう観念したように肩の上で大人しくなった。それに機嫌を良くした竜也は笑みを浮かべると、保健室に向かった。
「み~な~ぎ~!・・・・・・・あれ?」
その日の昼。いつも通りに竜矢は高校一年A組に行く。だが、そこには水生の姿は無かった。
「あっれ~?水生?水生~?み~なぎ~?み~な~ぎ~?」
ゴミ箱の中、掃除用具入れの中、ロッカーの中、机の中、到底人が入りそうに無い、入れそうに無い場所を手当たり次第探していくが、水生は見つからない。首をかしげていると、水城が声を掛けた。
「あれ、どうした?竜矢。」
「あっ、水城。水生どこに行ったか知らない?」
「水生?ああ、水生なら保健室だよ。」
「保健室?」
聞き返すと水城は頷いた。
「頭が痛いって、竜也がここまで言いに来た。」
「そうなんだ~。じゃあ、お昼一人で食べるのか。寂しいな~。」
愛しのお弁当を腕に抱きながら竜矢は呟く。その後姿はどこか寂しそうだ。
水城は頭をかくと、その後姿に向かって言った。
「・・・一緒に食べるか?昼。」
それを聞いた竜矢の顔がパッと明るくなった。
「本当?!いいの?!」
「ああ。ついでに竜也も誘おうぜ。で、昼食べ終わったら、水生のとこに様子見にいこう。」
「賛成~。」
「よし、じゃあ、ちょっと待ってな。今、弁当箱持ってくるから。」
水城は自分の机に行き、友達に断りを入れると竜矢のところに戻ってきた。
「よっし!じゃあ、レッツ・ゴー!」
何がそんなに楽しいのか、竜矢は手を上げると教室を出て高校二年C組を目指した。
保健室の中。水生は隣のベッドで横になっていた人物が動く気配で目を開けた。
「・・・・いい加減、姿を見せたらどうなんだ?『きりしま ふう』。」
自分の寝ているベッドの周りのカーテンが開く。水生は体を起こし、ベッド脇に立つ人物を見る。
「・・・・・・はじめまして、天生先輩・・・。」
こげ茶色の髪、紅い瞳、『霧島風』がそこに立っていた。
保健室の扉が開く。入ってきたのは竜矢と水城、そして竜也だ
しかし、そこには誰もいない。先生さえもいなかった。三人はその光景に首を傾げる。
「水生、もう具合良くなったのかな?んでもって、教室に帰ったのかな?」
竜矢はのほほんと言った。それに水城が、
「そういうときは、保健室利用カードを見ればわかる!竜矢、竜也、さあ、探そうぜ。」
と、意気込んだものの、すでに竜也が水生のそれを持っていた。水城は肩透かしを食らうが、すぐに体制を立て直すとカードを覗きこむ。もちろん竜矢もだ。そして三人が見た言葉は、『早退』という文字だった。
「早退?水生が?珍しいな。」
「そうだね。」
竜矢と水城は口を揃える。しかし、竜也が持っているもう一枚のカードに気づいた。その視線に気づいた竜也は、これか?というかのようにカードを目線まで上げると静かに言った。
「『霧島風』の保健室利用カードだ。早退しているよ。それも、水生と同じ時間にね。」
「「えっ?」」
「それに、水生は俺達がここに来ることはわかっていたみたいだな。」
そう言うと、水生のカードの裏を二人に見せる。
そこには『放課後になったら来い』という殴り書きがしてあった。
三人は顔を見合わせる。考えていることは同じのようだ。
「どうしよう~。水生がどっかに連れて行かれた~!」
保健室を出た後、一番始めに口を開いたのは竜矢だ。水生が居なくなったことでかなり動揺している。
「でもさ、放課後になったら来いって事は、水生は特に焦ってないってことなんじゃないか?霧島風は水生に危害を加える気はないってわかったんじゃないかな。」
そう言ったのは水城だ。
「そうだな。焦っている様子は感じられないから特に気にしなくてもいいだろう。でも、なぜ行き先が書いていないんだろう。」
後から来た保健室の先生に許可を得て持ち出したカードを見ながら言ったのは竜也だ。
「そうだな。どうして行き先を書かなかったんだ?」
「書かなかったってことは、俺達が水生の行き先がわかるって事だよね。」
「でも、どうやって?」
三人は考え込む。答えは一向に浮かばない。そんなとき、蒼麻の声が耳に入った。
「お~い。竜矢達。」
「「「蒼麻っ!!」」」
駆け寄ってきた蒼麻は三人の前に立つとポケットから手のひらサイズの機械を取り出し、竜矢に渡した。
「はい、これ。水生からさっき電話があってな、これを竜矢に渡してくれと言われて探してたんだ。」
「何?これ。」
「おいおい、振るなって。」
手に渡された良くわからない機械を振ると、慌てて蒼麻は竜矢の手から機械をとった。壊されちゃ堪らんといった感じだ。
「これは『追跡機』。これで水生の居場所がわかるんだよ。」
「水生の居場所が?!」
「そう、水生はつい昨日完成したばかりの発信機を持っている。その発信機が出した電波をこの追跡機がキャッチして、相手の居場所を知るんだよ。」
「「「へぇ・・・・。」」」
竜矢達はまじまじとその機械を見つめる。電源をオンにすると、なるほど、小さな光の点が画面に映し出された。
「直径三キロメートルの範囲なら追跡できるようになってる・・・・ってどこに行く?」
追跡機を持って歩き始めていた竜矢に蒼麻は声を掛ける。
「どこって、水生のところ・・・・。」
「水生からの紙に放課後って書いてあっただろ。これはそれまで没収。」
「え~?!」
追跡機を取り上げられ、不満な声を上げる竜矢に蒼麻は片目を瞑ってみせた。
「放課後にはちゃんと渡してやるからそれまでちゃんと授業を受けることだな。」
言って蒼麻は手をひらひら振りながら三人の前を後にした。残された三人はというと・・・・。
「放課後かぁ。長いよ~。」
「よし、放課後になったらすぐに集まって水生のとこに行こう。」
落ち込む竜矢。意気込む水城。そして竜也は・・・・。
「あっ、俺、今日掃除・・・。」
ぼそりと呟いた言葉はもちろん二人に聞こえ、
「「そんなのサボれ!」」
と睨まれ、はい、と答えるしかなかったのは言うまでも無い。
「どうやらここみたいだな。」
追跡機の画面から目を離し、建物を見た竜也が呟く。
そこはマンションだった。まだ新しい、きれいなそれに、本当にここに水生と霧島達がいるのかと疑いたくなった。だが、ポストを調べると確かに『霧島』という人物が住んでいることはわかった。
竜矢達はエレベーターに乗ると、目的の場所、『霧島』と書かれた表札の玄関の前に立った。
「・・・鳴らすぞ?」
竜也が言うと、竜矢と水城が頷く。意を決して竜也がインターホンを鳴らすと少年の声が聞こえた。
〈はい。〉
「あ、上杉と申しますけど・・・。」
〈ああ、先輩達ですね。ちょっと待ってください。〉
そう言って切れ、すぐに玄関が開いた。
「どうぞ、入ってください。先輩達。」
玄関に現れた人物、霧島風は笑って言った。
「どうぞ。座ってください。いま天生先輩を呼んできますから。」
通された場所はリビングだった。風は三人を座らせるとどこかに行った。
「「「・・・・・・・・。」」」
三人は無言のままだった。その内、風が水生を連れて戻ってきた。
「よっ、三人とも。」
「水生!」
いたって普段通りの水生に竜矢は会えた喜びで抱き付こうとした。しかし、水生の後ろに隠れるように立っている人物に気づき、足を止めた。
「あれ、この子・・・。」
竜矢に気づかれますます水生の後ろに隠れてしまった人物に、水生は手を差し伸べ前に出してやった。
「ほら、がんばってみな。」
「えっ・・・あっ・・あの・・・。」
恥ずかしいのか顔を真っ赤にさせ、少年は必死に口を動かす。
「ぼっ、僕・・・・『霧島神〈きりしま じん〉』って言います。あのっ・・・
よろしくお願いしますっ・・・・。」
「よし、よくがんばったな。」
水生は神に向かって笑顔を向け、頭を撫でた。
竜矢達は何が起こったのかわからなかった。一体、何をしたいのか。
「えっ・・・と、水生?何があったの?」
訳がわからなくて、竜矢は水生に問う。
「それは・・・。」
「それは俺から話します。上杉先輩。」
今まで何も言わなかった風が前に進み出た。
「・・・・風・・。」
「大丈夫だよ。神。」
風は笑って見せると話し始めた。
話はこうだった。
入学当日のことだ。風と神は教室にいた。その時は友達も出来て楽しかった。だが、H・Rのときだった。担任に二人の髪のことを言われたのがきっかけだった。担任は異常に風儀に厳しかった。地毛だった二人は初めは特に担任の話を気にもしなかったが、毎日ねちねちと小言を言われ、担任に会うことを嫌い、学校に来なくなった。特に神の方は精神的ストレスがたまり、登校拒否状態に陥っていた。そんな神を元気付け、担任に会うのは嫌だったが、授業を受けるために風が神を連れて学校に来たときだった。誰もが二人を無視していた。担任に吹き込まれたからだろう。それから、気の強い風とは違い、気の弱い神はいじめられるようになった。それに切れた風が神を守るために生徒に暴力をしたということだった。
「天生先輩にあんなことをしたのは謝ります。俺、あの時気が立っていて、神に近づく奴全員がいじめた奴だと思い込んでいて・・・。」
「気にするな。あんなことがあったんだ。勘違いしたのもしょうがないよ。」
「先輩・・・。」
頭を撫でられた風は顔を歪ませた。泣くのをこらえているようだ。
「それにしても、その担任むかつくよな~。」
今まで黙って話を聞いていた竜矢は苛立ちにも怒りにも似た調子の声で言った。
「そうだよな。風と神が染めたって言うんなら、竜矢と竜也はどうなんだよ。」
「俺達の方が染めたように見えるよな。地毛だが。」
口々に言う三人は、顔を見合わせると笑った。水生も気づいて笑う。
「竜矢、水生。俺と水城からの依頼だ。その担任、再起不能になるまでぶっ潰してこい。」
「「O・K。その依頼引き受けた。」」
言われるまでも無い。そう言うかのように二人はそれぞれ笑みを浮かべ、即答する。
「先輩・・・・・。」
神が呟く。
「・・・・ありがとうございます。」
風が頭を下げる。二人とも泣いていた。
―――――― 次の日の朝 ―――――
「先生。ちょっといいですか?」
水生と竜矢に声を掛けられ、中学一年B組の担任は振り返った。
「なんだ?」
「霧島君達のことでちょっとお話しが。」
竜矢は言うとすぐ隣の空き教室に担任を引っ張った。
「何するんだ!お前達は!」
「別に、今から脅すだけですよ。」
軽く言われた水生の言葉に担任は顔を引きつらせる。
「脅すってなにを・・・。」
「これですよ。」
言って水生が見せたのは担任と女性が並んで歩いている写真。
「先生の浮気現場の写真です。」
「なっ・・・!なっ・・・・!!」
「奥さんに見られたくなかったら、もう、することはわかっていますよね?先生。」
写真を口にあて、意地の悪い笑みを浮かべる。担任は顔面蒼白にして口を何度も開閉させた。
「あっ・・・・天生、上杉!こんな事してもいいと思っているのか?!」
「別に?まあ、先生がこのことを誰かに言っても信用しないと思いますけど。」
水生は笑う。まるで悪魔みたいに。
「私は成績はいいですから。」
「・・・・・・!・・・・・・・・!!」
竜矢は思う。水生だけは絶対敵にまわさないようにしようと・・・。
「あの、先輩。一体どこに連れていくんですか?」
「付いて来たらのお楽しみだよ。」
水生に連れられ風と神は廊下を歩いていた。何をこれからするのか、全くわからなかった。
三人は中学一年B組の前で止まると、扉を開いた。
教室内がざわめく。水生は風と神の背中を勇気を出せというかのように優しく叩く。それに励まされたのか、二人は教室に入っていった。途端に生徒が二人を取り囲む。そして、何かを必死に話していた。風と神が嬉しそうに笑ったのが見て取れた。
(もう、大丈夫だろう。)
水生はそっと扉から離れると隠れて見守っていた竜矢の傍に行く。
「うまくいったようだな。」
「ああ。」
竜矢と水生は顔を見合わせると、満足そうに笑った。
「「依頼、終了!!」」
暖かい、午後。今日は珍しく五人で屋上で昼食を取っていた。
「それからどうなったんだ?水生。」
「ああ、大丈夫だって風が昨日言いにきたよ。神も元気になったそうだ。」
「そうか、よかったな。」
竜也と水城も心配していたらしい。二人は安堵の息をついた。
「風と神な、退学にも謹慎処分にもなんなかったんだ。これも蒼麻のおかげだな。」
「俺は、俺が出来ることをしたまでだよ。竜矢。」
照れているのか少し蒼麻の顔は紅い。
竜矢が空を仰ぎ見る。気持ち良いくらいの晴れた日だ。
「本当に良かったよ。元気そうで。」
水生の言葉に全員が頷く。
「それはそうと、水生、竜矢。」
「げっ・・・。」
蒼麻の良くない笑顔に竜矢と水生は顔を引きつらせる。さっきまで気分が良かったのに・・・・・一体なんだ?
「次の依頼なんだが・・・。」
「うっわ。勘弁してくれよ。」
「少しくらい平和に暮らしたいよ~・・・。」
その様子に竜也と水城が笑う。
青い空、白い雲。何気ない、楽しい会話。
いつも通りの日常がまたやってくる。
END
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