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K/Night
第3章―過去の物語―
息は上がり肩で呼吸を繰り返した。
振り返らなくても『そこ』にいると気配を感じた。血と肉に飢えた何かが追って来ていると感じた。
ただただ走る。それから逃げるために。
自分の手を握る姉の手が酷く冷たかった。
走る。
まだ走る。
その先に何があるのかも解らず走る。
気配は追ってくる。
恐怖が身体を包む。
――― ドサッ ―――
視界が一気に下降した。
固い茶色い地面が目の前にあった。
転んだと気づいた時には数秒かかっていた。
気配はまるで一瞬に移動したかのようにすぐ近くに感じた。
俺は殺される ―――
頭の中で思った。
そうしたら身体から急に力が抜ける。
身体の筋肉が立ち、走るのに諦めた。
地面も姉の手と同じように冷たかった。
「何をしているの!ノイン!!」
姉の『アルマ』がノインに駆け寄る。
手を引っ張り体を起こそうとしたがそれに協力しようとしないノインに阻まれた。
「ノイン!!」
「もう無理だよ、姉さん。」
諦めた声にアルマは愕然とする。
「どうしてそんな事を言うの!まだ助かるから!」
だがノインは首を振る。
そんな事をしている間にも気配はすぐそこにあって、乱れた呼吸ではない荒い呼吸を繰り返しているのが分った。
「っ・・・・エリクと会えなくなってもいいの?!死んだらもう会えないのよ?!」
立たせるために、ノインが彼女と約束したこと思い出させる為に、アルマは叫ぶ。
ビクリとノインの身体が反応した。
「会う為に約束したんでしょ?!なら、男ならそのくらい守りなさいよ!こんな所で死のうなんてするんじゃない!!」
――― ドクンッ
心臓がより大きく動いた。
筋肉が再び動き始める。
生きる為に先程までの思考が戻り始めた。
――― 逃げなくては
身体が起き上がる。
擦り切れた傷が疼くが今はそんな事を気にしている場合ではなかった。
自分の足でしっかりと地面を踏む。
カサリ・・・・と草が音を発てる。
同時に向かい側の草もカサリと音を発てる。
空と同じ闇の色をした魔物が数匹 ――― 暗い森の、視界の奥から出てきた。
鋭い牙を剥き出しにし、その間から涎を滴らせ地面にポタポタと落としていた。
白い目玉はどこを見ているか判らないが、自分達を見ていることは判った。
視線が痛いくらいに身体に突き刺さる。
カサカサカサカサ ―――
4本足が草を踏んで近づいてくる。
それに対して2つの2本足は後ろに下がる。
カサカサカサ・・・・
ガサガサガサ・・・・
後ろに下がるたびに追い詰められていく。
アルマがノインの手を握る。
噴出す汗も無くなった、ただ冷たい手。
恐怖を隠そうと平静な顔を繕っている。けれど永年共に過ごしてきたノインの前では無駄な努力に過ぎない。
血の気の無くなった唇が言葉を吐き出す。
「逃げなさい・・・・。」
「えっ・・・・何言って・・・・。」
言葉は耳から入り耳から出ていき、頭の中に残ることは無く、もう1度その『言葉』を聞こうとアルマを見やる。
アルマは握る手にさらに力を込め、振り返らずにもう1度言葉を口にした。
「逃げなさい。今すぐに。私があいつ等を引き付けている間にここから遠く離れなさい。」
「なっ・・・・んで・・・・そんな事出来るはすないだろっ・・・・俺も戦うっ・・・・一緒に戦うよっ・・・・。」
握られた手をアルマよりも力強く握り首を振る。
しかし、
「ノイン、行きなさい。」
その手を突き放す。
「姉さん・・・・っ!」
アルマの腕にしがみ付き、ノインは抗議しようとした。だが、冷たく鋭い視線が言葉を発するのを禁じる。
「行きなさい。」
ザアッ・・・・風が木々を揺らす。
「ノイン、あなたは生きなくてはならない。エリクの為に、あなた自身の為に。」
魔物がまだ構えてもいないアルマに飛びかかる。
ブシュッという湿った音が耳に付いた。
「ひっ・・・・。」
地面に生える草が赤く染まっていく。
「行きなさい、ノイン。逃げなさい。」
「あっ・・・・ぁっ・・・・。」
無くなったアルマの左腕。
魔物が食いちぎった腕を吐き出すのが視界の隅に見えた。
「ノインッ!!」
ビクリと身体が反応した。
反射的に向かいの者の目を見る。
「・・・・っ・・・・。」
アルマと同じくなった冷たい手を皮膚が裂けるまで握り締めた。
「うあああああああぁぁぁぁぁっっっ!!!」
やりきれない怒りに喉が裂けるくらいに叫ぶ。
涙があとからあとから流れ出す。
アルマが頷いたのが判った。そしてもう、何も言うことはないと言うかのように背中を向ける。
奥歯を強くかみ締める。
もう、変えられない。
ノインはその場から駆け出した。
逃げるために、生きる為に。
「グルルルッ・・・・。」
獲物を一匹逃がしたと気づいた魔物が追おうと向いたが、アルマの剣に遮られた。
腕から血を滴らせ、顔には笑みさえ浮かべながらアルマは言い放つ。
「あの子が欲しいのなら、まず私を食い殺してから行くことね。」
太陽の光りが木々の間から差し込んだ。
ようやく朝になったのかと頭の中で思う。それに反して、もう少し早く朝になっていればとも思った。
「姉さん。」
もう事切れた遺体の前にノインは膝をついていた。
無い腕、ありえない方向に曲がっている足、剥がれた皮膚。
それでも顔だけは綺麗なままだった。それは魔物の情けなのかはわからなかった。
「姉さん、ごめんな。」
魔物は朝になった途端、霧の様に消えていった。
助かったノインはそれで戻ってきたのだ。
「ごめん・・・・。」
視界がぼやける。乾いた涙の跡をまた涙が通った。
拭うことも忘れてただただ。
「こんなところに子供?」
背後から男の声がした。気配を感じなかったのに驚いて振り向くと、黒い髪の男が数人の男と一緒に立っていた。
「・・・・?お前もしかして・・・・。」
何か引っかかるものがあるらしく、執拗にノインの顔を覗きこむ男。
ノインはただ、そんな男を見上げる。
「あ~・・・・わかった。さっき会ったダンガンっていう男の息子だ。どうりで見た事のある顔だと思った。」
男の言葉にノインの表情が一変する。
魔物と接触した時、盾となって逃がしてくれた・・・・。
「――――っ・・・父さんを知っているのか?!」
男は何も言わない。
「父さんは・・・・母さんも生きているのか?!」
ノインは男に問い掛けるが、男は何も言わずノインを通りすぎアルマの前に膝を付いた。
「この子はお前の姉か?」
抱え上げられた身体はだらんとされるがままになっていた。
ノインは質問に答えない男に多少の苛立ちを感じながらも頷く。
「そうか、なら両親と一緒に葬ってやろう。」
「・・・・っ!!」
死んだ・・・・死んだんだ・・・・。
ノインの頭に言葉が巡る。
足が立つのを拒みガクガクと震えた。
「おい、お前大丈夫か?」
鮮やかな水色の髪を一つに結わいた男がノインの腕を取る。
ノインはその手から逃げようと、
「大丈夫・・・・。」
と言ったのだが、
「じゃなさそうだな。」
男に完全に見抜かれ軽々と身体を担がれた。
「離っ・・・・。」
「『ギルヴァ』さん、こいつどうします?このままほっとくとのたれ死んじまいますよ?うっわっ・・・・痛いって。暴れんなよ、人の肩の上で。」
「あ~・・・・そうだなあ・・・・。」
担がれ暴れているノインをギルヴァはさして本気で考えていない感じで唸って見せる。しばらくそうして、思いついたように呟いた。
「俺のとこ・・・・来るか?」
「・・・・えっ?」
「だから、俺のとこ来るかって言ったの。お前の父親にも頼むって言われたし。」
「父さんが?」
そう、ギルヴァは頷くと、どうするんだ?という瞳を向ける。
ノインはコクリと唾を飲み下した。
「ギルヴァって言ったっけ・・・・あんたさ、ここ等で名の通った義賊だよな。」
「ふうん・・・・なかなかの観察力だ。で?」
男の肩からノインは降ろしてもらうとギルヴァの前に歩み寄る。
一見何も考えて無さそうだが、強烈な存在感がある。改めてこの男に対する恐怖が押し寄せてきた。だが・・・・。
「なら、強いはずだよな?俺、強くなりたいんだ。姉さんも守れなくて好きな子なんて守れるか。」
「・・・・。」
「俺をあんたのところに置いてくれ。失望はさせないから。戻るところはあるけれど、それは逃げることになるから・・・・。」
ギルヴァはノインを見下ろした。
自分を見上げる紅い瞳。まるで炎のような・・・・。
こいつは大きくなるな・・・・頭の隅で思う。
「・・・・俺の修行は厳しいぜ?」
「それでもかまわない。だから、お願いだから・・・・。」
血の滲んだ手の平をゆっくりと閉じる。汗と血と、砂にまみれた頭を下げる。
「俺をあんたのところに置いてくれ。」
身体が震えているのがわかった。寒さか恐怖か歓喜かわからない震え。
しばらくそうしているとギルヴァが、フッと笑うのを感じた。
「・・・・おい、メイゼル。」
「はい?なんですか、ギルヴァさん。」
呼ばれた男―――先程の水色の髪の男が前に出る。
「そいつを・・・・えっとノインってダンガンから聞いたんだが、それで合ってるか?で、ノインを連れてきてやってくれ。体力的にも精神的にも疲れているはずだからな。まず、この子と両親を埋葬してやろう。ノイン、手伝いくらいは出来るだろう?その後、仲間全員に紹介してやっから。」
「えっ・・・・じゃあ・・・・。」
顔を上げる。ギルヴァは微笑んでいた。ダンガンと同じように。凄く優しい笑みを。
「お前は今から俺達の仲間だ。それじゃ、行くぞ。」
背を向けたギルヴァの姿が目に映る。それはとても大きな背中だった。
「それから俺はギルヴァの下でいろいろなことを学んだ。戦い方や森の歩き方、地形や、後はあくどい商売をしている人間の顔とか・・・・。だけど2年前、ギルヴァは病に侵されて数ヶ月後に亡くなってしまった。それから俺が頭になって今までやってきたんだ。初めは反対する奴とかいたけど、慕ってくれる人達がいたからなんとかここまでこれた・・・・。」
ひとしきり話し終わったノインは手を組んでそれから黙り込んでしまった。
空には太陽が沈み、代わりに月が昇っている。
村の広間は村人でごったがえし、ノインが戻ってきたと宴が催されていた。
笑う声、話す声、歌う声、音楽が流れているこの広間で、唯一エリク、ノイン、カイン、シャナ、テーベ―、ソウルの座っている机には重い沈黙が流れていた。
「・・・・何か飲み物を取ってくる。」
沈黙を破る様にエリクが椅子から立ちあがると、私もとシャナも跡をついていく。
「じゃ、俺何か食べ物を持ってくるな。」
「俺も行くよ。テーベ―。」
まだテーブルには食べ物が残っているのにもかかわらず、テーベ―とソウルが席を立つ。
後に残されたカインとノインは目を合わせもせず、ただ黙っていたのだが、
「エリクがお世話になっていたようだね。」
カインの言葉にノインは目線を動かす。
「こちらこそ、エリクがお世話になったようで。」
額に密かに青筋を立て微笑むノインに苦笑する。
「何を思っているのか知らないけれど、俺はエリクと何の関係もないよ?」
「それが・・・・?」
あぁ、怒っている、怒っている。
あからさまに不機嫌な声にからかいたくなる気持ちをぐっと押さえる。
「本当に君はエリクが好きなんだね。」
「ぅえっ?!いぃっ・・・・いきなり何をっ!!」
表情がころころと変わる。
図星か?とカインが聞くとうるさいと返事が返ってきた。
「フッ・・・・俺は如何やらノインに嫌われた様だね。暫く席を外すよ。エリクが戻って来たらゆっくり話をしたら良い。」
グラスを持って、カインは人の塊の中に入っていった。残るは当然のごとく1人。百夜は何処に行ったのか、姿を見なかった。
「・・・・飲み物・・・・。」
目の前にグラスが置かれると同時に声が上から降ってくる。顔を上げると、
「・・・・エリク。」
ぱっと見では分らないが表情が暗い想い人が横に立っていた。
「横、座れば?」
何時までも座らないエリクに席を勧める。少し躊躇っている様だが、結局はノインの横の椅子に腰を下ろした。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
長い沈黙。
他の人は戻って来ていない。多分、カインが止めているのだろう。
「・・・・辛かった?」
始めに口を開いたのはエリクだった。ノインの顔を見れないのか、顔は机を見ている。
「・・・・うん。」
「・・・・泣いても良いんだよ?」
ビクリと肩が震えた。思わずエリクの顔を凝視する。気づいたのか、エリクも顔を上げた。
「――――っ・・・・。」
手が伸びる。無意識の内に零していた涙を指が掬う。
「エリ―――ッ・・・・!」
衝動的に抱きしめる。青銀の髪の中に指を埋めて引き寄せて。肩に顔を埋めて。
「・・・・・・・・。」
エリクは何も言わない。
彼女もまた、涙を流す。
「・・・・どうか、安らかに・・・・。」
闇色の天を仰いで呟く。
大切な者の、愛する家族為に。
「ノイン・・・・。」
静かに声を殺して泣く、そのノインの背中に腕を回し、
「・・・・ノイン。」
泣きながら、繰り返し名前を呼び続けた。
相手が泣き止むまで。
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