器、そのすばらしき器


 そうそう親父もコーヒー好きだったので親父にも入れてやっていました。
 そんな時にコーヒーショップの陳列にメリタのドイツ製のコーヒー碗(カップ&ソーサー)が有るのが目に入りました。
 渋い赤のカップで当時の価格が1客2500円。どうしても欲しくてバイトしたお金で2客買ったのが始まりです。
 今でも私のカップボードに2つともかげもせず並んでいいて、たまにコーヒーをついでは飲んでいます。もっともこのカップで飲む相手は何人か変わってしまいましたが。 (このカップは既に廃番になってしまったと見えメリタや食器類の検索をしても出てきませんでした。)

 自分で自分の欲しいものを手に入れるというのはとても大切な事のように思います。 見る、と 持つ、とでは意味が全然違います。 持つともっと上のものが見えるようになります。 手に入れて使ってみないと、何も分からないのです。
 その日を始まりに私は器を良く眺めるようになります。 最初は同じようなノリタケやたち吉や安い海外の器、だんだん高い高級な器に興味を持つようになりました。

 当時の神戸では、いろいろな器をカウンターの奥にディスプレーし、客のリクエストで好きな器に入れてくれるような店が出来て来ていました。それまでの喫茶店とは違う、コーヒーの味と器で勝負の店です。  そんな店で、毎日バイトの帰り、就職してからは仕事の帰りにそんな店に寄り、毎日違う器でコーヒーを飲む毎日、ウェッジウッド、大倉陶器、ジノリ、ロイヤルコペンハーゲン、ドルトン、ミントン、マイセン、そしてヘレンド、百貨店に行っては高級食器のコーナーを見てその使った器が何という名なのか、いくら位するのか、コーナーでそういった店を見て歩きました。
 よく行った店は 南京町のはたコーヒー店(今は元町4丁目店のみ)、北野のにしむらコーヒー、元町のガルボ、三宮センター街の中谷(つぶれた)、チェーン展開する前のサンチカの青山、そしてモーツアルト、(モーツアルトに関しては後ほど詳しくお話しすることになります)その他三宮から神戸に至るこれはと思う喫茶店にはほとんど全部行ったことが有ると思います。  震災以前までです。それ以後の神戸の街はよく判りません。  神戸の三宮に有ったニュー神戸というレストランが私のバイト先で、ウェイターの真似事をしながら、ボーイの山本という人にテーブルマナーや基本的な食器の並べ方を学び、生ビールの注ぎ方や、レストランのオーダーの通し方などを習ったのもこの頃です。 当時私はまだ高校生で、友達と2人5時から9時までのバイトを6ヶ月に渡って続けました。
 卒業が近づき就職の際レストラン側から誘いを受けたのですが、既に高校の就職が内定しており、断ることが出来なかったのと、レストランに就職というのはぜんぜん考えてもいなかったので、話はお断りしました。

 この時、もしレストランの誘いを受けていたら、私の人生は多分今とは全然違う道を進んでいたかもしれません。 で、その山本さんに連れて行ってもらったのが、喫茶モーツァルトとの出会いでした。

モーツァルトは神戸の山側、北野町の近くでトアロードの近くにありました。
 マンションの1階の小さな店でしたが、そこにはイタリアの高級家具と選りすぐりのカップが並び、しかも実際にそれにコーヒーを入れて飲ませてもらえる、これはすごい事でした。  実際に私がモーツァルトに通いだすのはこれから5・6年後になります。
  続く...

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