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中国の日系企業では、日本人幹部が"決定した"計画を中国の現地スタッフが実行していくケースが多いようです。会社内部の打ち合わせには、中国の現地スタッフも参加する場合も多いでしょう。でも、現地スタッフの参加態度は様々です。積極的に意見を述べるスタッフもいるでしょうし、日本人幹部同士で決定していくプロセスをじっと聞いているだけのスタッフもいるでしょう。或いは議題について結論がもたらされてから、その決定事項について反対意見を述べる輩もいたりします。現地スタッフの社内会議への参加態度は、自分たちの意見がどれくらい尊重されるかで決まるでしょう。打ち合わせのプロセスで有効な発言をしたとしても、そうした意見が活かされず、最終的には日本人幹部の意見が通るような環境でしたら、現地スタッフは発言しても無駄だと思うようになり、日本人幹部同士のやりとりをじっと聞いているだけになってしまうでしょう。結論が出てから、現地スタッフからネガティブな意見が相次いだりするのは、その会議で決定した計画を現地スタッフが中心となって実行していかなければならないような場合です。自分たちが実行していかなければならないという当事者意識に立ち戻ったとき、より具体的な課題が浮かびあがってくることが多いのです。理想的なのは、計画のプロセスに現地スタッフの実施責任者を確実にインボルブして(参加させて)、議論を尽くし、実施責任者が納得できる計画を決定する、ということだと思います。でも、こうした理想は"絵に描いた餅"で、現地スタッフを計画のプロセスに参加させてしまうと、収拾がつかなくなる云々の理由から、日本人幹部中心で計画を決定しまう場合が多いようです。実施にあたる現地スタッフは、その計画の実現性をコミットメント(約束)しているわけでは無いので、何となく無責任になってしまう場合が多いですし、その計画がどんな意味を持ち、どんな効果をもたらす、といった背景を知らされていない場合も多々ありますから、計画の実施はなかなかうまく進まなかったりします。さらに悲惨なのは、日本企業同士が中国で取引関係にある場合です。取引きの骨子については、日本人幹部同士が"勝手に"議論して決めてしまう場合が圧倒的に多くなります。例えばウチは広告関係の会社なのですが、日系企業のクライアントさんの多くは日本人幹部の方がウチの会社の日本人スタッフとの打ち合わせを希望されます。もちろん双方から現地スタッフが参加する場合も多いのですが、最終的にはクライアントさんの日本人幹部の方が判断して決定しまう場合が多くあります。広告戦略だとかメディアの選定だとか、ウチの会社は現地スタッフが現地とクライアントの事情に合わせて計画したモノではありますが、最終的にはクライアントさんのご意向に逆らえませんから、当初のご提案から幾ばくかの変更を余儀なくされ、"最終決定"と言うことになります。そして、「あとはウチのローカル・スタッフの○○さんをアサインしますから、そちらのスタッフの方とやり取りしていただいて構いませんよ。」などという話になったりするのです。それで、いざクライアントさんの現地スタッフが登場すると、その会社の日本人幹部の方が最終決定された計画について、その日本人幹部の方が最終決定した意図が伝えられておらず、ウチの会社の提案そのものだと思ったりするものですから、いろいろ"不満"が爆発します。そしてその"不満"はウチの現地スタッフに向けられるのです。「なぜこんな広告表現の提案をしたのか」とか「なぜこんなメディアを選んだのか」とか...でも、ウチの会社もウチの現地スタッフも、もともとそんな提案はしていないのです。むしろ、クライアントさんの現地スタッフがおっしゃる方向を日本人幹部の方にも強くお勧めしたりしていたのですが、その日本人幹部の方が別な方向で決定してしまったのです...。「ウチの会社としても、あなたと同意見でした。でも、あなたの日本人の上司が別な方向で指示されたのですから、仕方がありません。」なんて、言うわけにもいきませんし、クライアントさんとウチの会社の現地スタッフ同士は、こうしてギクシャクした関係に陥ったりしてしまうのです。そして、クライアントさんの現地スタッフは、自分が納得しない計画を実施管理することになり、モチベーションも大幅低下、と言うわけです。優秀な中国人ほど、自分で納得しないと有効に機能しないと思います。日本人幹部が決めてしまったことでも、しっかり説明して納得してもらうことにより、きちんと対応してくれる現地スタッフもいます。しかし、計画のプロセスにその計画を実行する現地スタッフ幹部をインボルブして(参加させて)、進めていくのが良いと思います。さらに最も理想的なのは、戦略的な部分は日本人幹部も関与するにせよ、戦術的な部分は計画から実施、レビューまで、信頼のおける現地スタッフに任せてしまうことだと思います。
2005.06.30
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昨年末のNIKEに続き、今度はマクドナルドの登場です。中国人を"侮辱"する内容のテレビCMと"認定"され、オンエア中止になってしまいました(asahi.com)。この「取り立て篇(30秒)」の冒頭の5秒に、割引期間を延長して欲しい顧客が、マクドナルドの店長に"跪いて"懇願するシーンがあり、これが問題になったとのことです((大公網=人民日報より転載記事)。どうも北京でオンエアされる前に中止になったので、私自身このCMは見ていません。中国人が”跪いて"いるシーンが、中国人を侮辱している、ということになったようです。実は北京でオンエアされていた、中国のインスタントラーメンのCMで、中国人が"跪く"シーンを強調していたものがありました。低価格の袋麺のCMで「(値段が)高くない」という意味の中国語と「跪かない」と言う中国語の発音が同じなので、皇帝の前で「跪く、跪かない」と言うやり取りを「(値段が)高い、高くない」と言う意味に転化させていく、いわばダジャレCMなのですが、しっかり中国人が"跪く"シーンが描かれていたのです。もちろん、こちらのCMは何ら違和感無く受け入れられていました。この二つの事例の大きな違いは、広告主が中国企業であるか無いかです。どちらのCMも、"跪いた"ほうも、"跪かれた"ほうも中国人なのですが、マクドナルドの店長さんは、星条旗を背負っていた、というわけです。ちなみに、マクドナルドのCMは所定機関への"広告審査"を受けていなかった、と言う点でも批難を浴びました。以前も書きましたが、中国では広告表現は当局の許可を受けるのが"原則"です。しかし、どの機関の許可かと言うとハッキリしていません。"原則"としては監督官庁である広告を実施する地域の「工商行政管理局」なのですが、地域によって対応がバラバラです。ですから通常商品のテレビCMなどは、オンエアするテレビ局の"審査"で代用する場合が多いのです。テレビ局も"国家機関"ですし"検閲"機能を有していますから、いろいろチェックしますし、そこのチェックが通れば"広告審査"をクリアした、と一般には思い込んでしまいます。こうした問題に発展しなければ、テレビ局のチェックでOKだったはずです。今回の"不祥事"では欧米系の大手広告エージェンシーが晒し者になってしまいましたが、医薬品や健康食品など当局の管理が厳しい商品を別にすれば、テレビ局のチェックで"広告審査"を代用することは多くの広告主が黙認しています。"記者発表会"やプロモーション・イベントなどの場合も"原則的には"当局の"許可"が必要だ、と言うことは覚えておいてほうが賢明です。たいていの場合は許可無しで大丈夫であっても、何かあった際に、"晒し者"にされるリスクを覚悟すべきでしょう。ことろで、P&Gのヘアケア・ブランドである"PANTENE"も、その成分表示に疑惑が持ち上がりテレビCMのオンエアを取りやめたそうです。最近では、ケンタッキーのチキンに認可されていない着色剤が使用されていたとか、ネスレの粉ミルク、ハーゲンダッツのアイス、ジョンソンのベビーローションなど、日本ブランドでは無い外国ブランドがバッシングを受けています。ただ私は、これら外国ブランドは中国で十分浸透しているからこそバッシングの対象になり得たのだと思います。ファストフード、食品、トイレタリー商品など、日常生活に欠かせないカテゴリーで欧米ブランドが浸透している証拠と言えるでしょう。アサヒビールや吉野家やトヨタや東芝やJALなどの日本ブランドがバッシングを受けた状況とは、別な視点で捉えるべきでしょう。日本企業の皆さんは、バッシングが欧米企業に向かっているから、一安心、などと考えないほうがよろしいかと思います。"反日運動"は一休みの状況ではありますが、7月~8月、さらに9月にかけて、中国の反日スケジュールは目白押しです。日本の企業はその活動に細心の注意を払うべきですし、中国在住の日本人の皆さんも中国国内の報道は常にチェックしておいたほうが賢明だと思います。
2005.06.24
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本ブログをご覧になっている皆さまに耳寄り(!?)の情報です。2001年6月以降、下がり続けていた上海株が底値脱出、いよいよ上昇基調に向かう、という観測です。本日、既にその兆しが始まっています((SOHUチャート)。近いうちに、株式市場で運用が制限されていた企業基金が規制を緩和され流入するとの情報。更に、不動産投資熱の沈静化による余剰資金が株式市場に流れ込んできます。底値を脱して、上昇機運に転じるという材料が目白押しです。目標は、年末まで20%といったところでしょうか。2,000ptを突破せずとも、1,400-1,500は意外と早いかもしれません。これから中国株を始めようとされている方は、まさにいまがチャンスです。なお、本ブログは、この情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。もちろんご自身の判断で"株を炒めて"ください。
2005.06.08
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謝る、謝らないでもめることは日本でも中国でも同じ。最近中国政府が日本に言っているのは「行動で示せ」と言うことですね。これは中国のビジネスの現場に身を置くと、分かりやすい話になるかもしれません。よく"中国人は謝らない"と言われますが、特にビジネスの現場では、そのことをひしひしと感じると思います。私が思うに、中国人が謝らないのは謝っても解決しないと思っているからです。人の気持ちという感情的な関係が強いお友達同士とちがって、ビジネスの現場では常に利害関係が生じます。こういう場合、多くの中国人はむしろ理性的な対応をしてしまいます。謝って解決する状況でなければ、説明(つまり言い訳)に走ることになります。例えば、納期に遅れたというシチュエーション。謝ってもその納期を守れたことにはなりません。ですから、その理由を説明しようとするのです。一方、自分のミスを回復できるような場合もあります。例えば、お金を取りっぱぐれそうな状況になった場合、責任感の強い中国人なら何とか自分自身の力で回復しようと考えます。そして、極端な場合、知り合いからお金を借りてでも穴埋めするでしょう。謝ることは解決にはならないし、解決できれば謝る必要は無い、と言うことです。じゃんすさんの日記でも紹介されていましたが、先日お会いしたエッセイストにして実業家でもあり、アメリカ在住で中国通の坂之上洋子さんも、これに似たエピソードを話されていて、とても共感してしまいました。日本人は、まず謝ることを重視します。ビジネスの現場において、いまでも謝ることで解決するケースは意外と多いようです。同じ会社内で、ミスをした部下はまず上司に謝ります。極端な話、そのミスを挽回する方策について説明するより、素直に謝ったほうが評価されたりしてしまいます。最近、日本のニュースを見ていると、大企業のトップが報道陣の前で、頭を下げて謝罪するシーンがたいへん多いです。過ちを素直に認めることは日本人の誇るべき美学だと思いますが、その過ちを正すことをしないで済んでしまうとすれば、それは良いこととは思えません。大事故を起こしてまだ社長でいるのか、と言う批判は間違っているような気もします。事故の原因を追究し、安全対策を整えてこそ経営陣の責任を果たしたことになるのではないか、と私は思います。談合が明らかになったから、謝罪して辞めちゃう、ってのは、いかがなものかとも思います。"報告"も、"謝意"と同様に日中間で解決しがたい厄介なビジネス上のGAAPだと思います。中国人は報告しない、と言われます。日本の会社が基本とする報告・連絡・相談(報連相)が苦手なのです。特に、日本人を上司に持つ中国人スタッフで、報告を心から理解している人は稀だと思います。中国人にとって、上司への報告は常に何らかのフィードバックがあるものだという意識があります。ネガティブな報告であれば、アドバイスや協力、ポジティブな報告であれば、賞賛や評価....自分自身のプラスに跳ね返ってくるのであれば報告するのです。ですから、特に報告を必要としないのに報告しなければならない"定期的"な報告などは、最も意味をなさない業務と言えます。日本企業の多くは、未だに"報告"を業務改善のための手段としてではなく、それ自体を目標にしてしまっています。あまり仕事の無い上司に限って、部下から報告が無いと苛立ちます。そして、報告したからと言って、次の展開について有益なアドバイスすら与えなかったりします。口頭報告ならまだ双方向のコミュニケーションが確保できますが、報告書などの書面や、最近は特にメールや社内LANによるフォーマットで一方的にレポートを送りつけるだけになったりしますから、報告する側は報告しっぱなしで、報告を受ける側はほったらかし、と言う事態すら発生しています。中国の日本企業でも、日本人上司は中国人スタッフに報告を求める場合が多いのですが、アドバイスを必要とするような報告に接しても、具体的な解決策を与えられなかったり、賞賛に値する報告であっても、もちろん口頭でちょっとは褒めるでしょうが、待遇が改善するわけではなかったりしますから、中国人スタッフにとっては無意味な作業として捉えられてしまうことになります。もちろん、日本のこうしたビジネス習慣を理解し体感し実践できる中国人スタッフも居ますが、案外本心では無駄な作業だと思っていたりするのでは無いでしょうか。
2005.06.07
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