北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

2005.06.07
XML
カテゴリ: ビジネス習慣
謝る、謝らないでもめることは日本でも中国でも同じ。最近中国政府が日本に言っているのは「行動で示せ」と言うことですね。
これは中国のビジネスの現場に身を置くと、分かりやすい話になるかもしれません。

よく"中国人は謝らない"と言われますが、特にビジネスの現場では、そのことをひしひしと感じると思います。私が思うに、中国人が謝らないのは謝っても解決しないと思っているからです。人の気持ちという感情的な関係が強いお友達同士とちがって、ビジネスの現場では常に利害関係が生じます。こういう場合、多くの中国人はむしろ理性的な対応をしてしまいます。謝って解決する状況でなければ、説明(つまり言い訳)に走ることになります。例えば、納期に遅れたというシチュエーション。謝ってもその納期を守れたことにはなりません。ですから、その理由を説明しようとするのです。
一方、自分のミスを回復できるような場合もあります。例えば、お金を取りっぱぐれそうな状況になった場合、責任感の強い中国人なら何とか自分自身の力で回復しようと考えます。そして、極端な場合、知り合いからお金を借りてでも穴埋めするでしょう。謝ることは解決にはならないし、解決できれば謝る必要は無い、と言うことです。
じゃんすさんの日記 でも紹介されていましたが、先日お会いしたエッセイストにして実業家でもあり、アメリカ在住で中国通の 坂之上洋子さん も、これに似たエピソードを話されていて、とても共感してしまいました。

日本人は、まず謝ることを重視します。ビジネスの現場において、いまでも謝ることで解決するケースは意外と多いようです。同じ会社内で、ミスをした部下はまず上司に謝ります。極端な話、そのミスを挽回する方策について説明するより、素直に謝ったほうが評価されたりしてしまいます。最近、日本のニュースを見ていると、大企業のトップが報道陣の前で、頭を下げて謝罪するシーンがたいへん多いです。過ちを素直に認めることは日本人の誇るべき美学だと思いますが、その過ちを正すことをしないで済んでしまうとすれば、それは良いこととは思えません。
大事故を起こしてまだ社長でいるのか、と言う批判は間違っているような気もします。事故の原因を追究し、安全対策を整えてこそ経営陣の責任を果たしたことになるのではないか、と私は思います。談合が明らかになったから、謝罪して辞めちゃう、ってのは、いかがなものかとも思います。

"報告"も、"謝意"と同様に日中間で解決しがたい厄介なビジネス上のGAAPだと思います。

中国人にとって、上司への報告は常に何らかのフィードバックがあるものだという意識があります。ネガティブな報告であれば、アドバイスや協力、ポジティブな報告であれば、賞賛や評価....自分自身のプラスに跳ね返ってくるのであれば報告するのです。ですから、特に報告を必要としないのに報告しなければならない"定期的"な報告などは、最も意味をなさない業務と言えます。

日本企業の多くは、未だに"報告"を業務改善のための手段としてではなく、それ自体を目標にしてしまっています。あまり仕事の無い上司に限って、部下から報告が無いと苛立ちます。そして、報告したからと言って、次の展開について有益なアドバイスすら与えなかったりします。口頭報告ならまだ双方向のコミュニケーションが確保できますが、報告書などの書面や、最近は特にメールや社内LANによるフォーマットで一方的にレポートを送りつけるだけになったりしますから、報告する側は報告しっぱなしで、報告を受ける側はほったらかし、と言う事態すら発生しています。

中国の日本企業でも、日本人上司は中国人スタッフに報告を求める場合が多いのですが、アドバイスを必要とするような報告に接しても、具体的な解決策を与えられなかったり、賞賛に値する報告であっても、もちろん口頭でちょっとは褒めるでしょうが、待遇が改善するわけではなかったりしますから、中国人スタッフにとっては無意味な作業として捉えられてしまうことになります。

もちろん、日本のこうしたビジネス習慣を理解し体感し実践できる中国人スタッフも居ますが、案外本心では無駄な作業だと思っていたりするのでは無いでしょうか。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.06.07 16:03:38
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


日経BPトラックバックをありがとうございます  
原奈緒 さん
北京のグッチさん、トラックバック、及びコメントをありがとうございます。グッチさんのブログはいつも楽しみにしています。やはり中国で長くビジネスをしていると、同じような中国人観をもつのですね。昔「日本人は永遠に中国人を理解できない」という題の本がありました。そうかも知れませんが、しかし理解し、解釈する努力は必要ですし、そうしないとビジネスは回っていかないといつも思います。そういう意味でグッチさんは私と同じ取り組みをしているので、とても共感しています。
(2006.02.22 13:34:53)

Re:日経BPトラックバックをありがとうございます(06/07)  
原奈緒さん、コメントありがとうございます。
この国を理解するには長い時間と労力が必要ですね。しっかり理解し解釈してから仕事に取り組まないと、エライ目に出くわしたりします。まだまだ私は努力不足かもしれません.... (2006.02.24 20:10:37)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Profile

ぺきんのぐっち

ぺきんのぐっち

Comments

市松 通りすがりですが・・@ Re:究極の(!?)Buz Marketing in China 権力者の有無に関係なくネット掲示板を動…

Archives

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2025.03
2025.02

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: