* Berry Garden *

放心。


「あの~う・・・?」と、へやの奥に声をかけました。
すると、ややあわてた様子で助産婦さんが出てきました。
「お母さん、ゆちちゃん今小児科に行ってるのよ。」
は?
「心臓の音に、雑音が入ってて・・・。検査してるの。
・・・・ちょっと事務所まできてください。」

心臓に、雑音?それは何?
なんかヤバイの??

会いたくない所で会うはめになった小児科の先生の話はショックで、
ゆう1人で聞くにはきつかったです。
正直、この時にどういう話を聞いたのか、あんまり覚えていません。


通常母体にいる間の胎児は、肺で呼吸はしていません。
羊水の中にいるのだからそりゃそうです。
血液を通して呼吸をしているので、お魚さんのようですね。

お母さんのおなかから出て初めて、口から酸素を吸い込み肺呼吸をします。
このオギャ~!と吸い込む一呼吸で、それまで酸素の運搬に使われていた血管が閉じる仕組みになっています。

そんなわけで、胎児は肺呼吸をしない為、肺へ向かう血流を大動脈へ逃がす働きをする管があるわけです。
この動脈管、ゆちの場合は体の一番太い動脈、大動脈の半分もの太さがあるそうで、血管としてはかなり太くて力のあるもの。

ゆちは、この血管が閉じるスイッチが、入らなかったそうです。


雑音がひどくチアノーゼも出ている。
一刻も早く詳しい検査をしたほうがいいと、心臓治療で有名な清瀬小児病院に搬送します、と、転院が決まりました。

出産時から顔なじみになっていた年配の看護婦さんに、だんなさんの連絡先は?と聞かれても、気が動転していて携帯番号すら答えられません。
とにかく会社へ電話をしてもらい、すぐ来てもらう事に。
そのあいだにも、転院のための救急車の要請、運搬用コット(保育器)の準備などが慌しくされていきます。
でも、ゆうは状況に対応できず、ただ涙を飲み込むので精一杯・・・。
ベビーと一緒に病院まで行ってといわれたものの、私のあまりの状態に、
「だんなさん間に合わないと思うから、・・・・普通はしないんだけど、私が一緒についていくからね、大丈夫だからね!」と・・・。

しばらくして、けたたましいサイレンが病棟の脇に止まりました。
パパの到着を待たず、迎えの救急車が到着。
ところが不手際でコットが車に積んでこなかったとかなんとか・・・。
緊急だったはずなのに、1時間近く出発までかかってしまいました。
そのためパパは間に合ったんですけれど、そんなのってあり???


























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