
「空洞地球」
ルーディ・ラッカー /黒丸尚 1991年08 早川書房 文庫 458p 原書THE HOLLOW WARTH 1990
No.898 ★★☆☆☆
図 書館のインターネット利用はなかなか便利で、自宅から検索してリクエストし、他の図書館からも転送してもらい、到着もネットで確認できる。調子にのってついつい借りすぎてしまうのが難点といえば難点だ。この「空洞地球」も<再読>しようと思って、リクエストしていたのだが、図書館の窓口まで行って、あちゃー、しまったと思った。
なんと同じタイトルではあったが、全く別の本だった。SFや小説はちょっと苦手で後回ししたいというのが本音。この本を楽しみながら読めるほど、私には読書能力がないようだが、ちらちらとめくっているうちに、いくつかのことに気がついた。どうやらこのSFは、昔のほかの作家の作品を下書きとして利用しているのだ。
エ ドガー・アラン・ポーがその作家だ。19世紀前半に活躍したポーについて、翻訳者が解説を書いている。
ここで地球空洞説が登場する。「ピム」が書かれた19世紀前半のアメリカは、いまでいう科学と擬似科学の区分もはっきりしていず、催眠術や骨相学、動物磁気説などがまことしやかに語れられていた時空間だった。地球空洞説は当時流行の擬似科学的言説のひとつであり、「ピム」の結末にしても、示談のトレンドに鋭敏な向きは、すんなり最新科学理論の応用として受け流した可能性がある。ようするに、いくら小説中には明らかにされていなくても、ピムたちは南極の真っ白な深淵から空洞地球に突入し、いわば地球の中心を通って帰還したとする読み方が、当時はごくごく自然だったと思われる。
むろん、地球空洞説そのものは、当時に取らしても決して新しくない。古くはアリストテレスが地球内部の空洞に地獄を想定したし、ダンテも宇宙の中心が空洞であり、その外部には同心円状の地獄が連鎖しているものと構想した。17世紀に入ると、ドイツ人カトリック司祭で第一級の科学者アタナシウス・キルヒャーが地底世界の地形を思いめぐらし、地球内部は無数の洞窟やトンネルでいっぱであり、その内部には竜たが住むものと推断する。この着想が、じっさいポウの生きた1820年代にいたって、アメリカ人(キャプテン)ジョン・クリーヴス・シムズによって受けつがれることになる。
p452
そのほか、この本には、最近の急な「地球空洞」説ブームを冷静に観察する上での、いくつかのヒントが書かれている。チャンスがあったら、後読しよう。
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