男のくせに

男のくせに

July 22, 2006
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仕事柄、検索キーワードなるものをじっくり見る機会がある。

検索される言葉というのは、誰かがそれに対して何かを欲している言葉である。
非常にプライベートな瞬間に行われる検索という行為において打ち込まれる言葉とは、言わば人々の欲求、心をうつす鏡だ。


検索キーワードの検索数を上から見ていくと、意外な言葉に出会うことがある。
例えば「ビタミン」という単語を含むキーワードを調べてみる。
当然、「ビタミンC」や「ビタミン サプリ」というものが上位に並ぶ。

しかし、その中に一つだけ毛色の違うキーワードがある。



「ビタミン 恋」



あっ、と思う。


パソコンに向かっている時でも、人間は人間なんだと気付かされる。




もう一つ、人間らしいキーワードを見つけた。

「くすり」で調べてみる。
病気への恐怖に取り憑かれ、健康への幻想に持て遊ばれている人々の心を表すような組み合わせのキーワードが並ぶ。

しかし、その中でも際立っているキーワードがある。


「絶望 効く 薬」



死に至る病の相談相手にしては、機械仕掛けの箱はあまりに弱い。


何でもなく過ぎていく毎日、何の関心を抱かせることもなく通り過ぎていく人々、目の前で微笑んでいる友達、鏡の中からこちらを見ている自分。

何気ない日常のすぐ裏側には、信じられないくらい深くて暗い闇がある。


人間は、氾濫寸前の狂気の川に挟まれた、細い細い堤防を歩いているということを改めて感じる。

常に決壊寸前のそれだが、人間は慣れという名の忘却を得意とする生き物だから、日常生活においてそれに対する警戒心はすっかり抜け落ちてしまう。


備え無ければ憂いのみ。

気付いたときには濁流に呑み込まれてしまっているのだ。






僕が自信をもって「人間が好きだ」と言えるのは、その脆さと鈍感さ、矛盾を矛盾のまま自分という一つのまとまりにおさめている不安定さに理由がある。


言葉を操る職業が性に合っているのは、言葉こそが、そんな不安定な人間の心を突き崩す武器だからだろう。
真正面から人間のグラつき具合について考えることを仕事と呼んでいいなら、これ以上嬉しいことはない。






だから、言葉を何かに乗せて、行き先を決定せずに送り出すことしか出来ない。
弱点は克服するものじゃなく、仲良く付き合っていくパートナーだと思っているから、僕はそれを仕事にした。

もっともっと言葉を送り出したい。

もっと欲が出て、その言葉をより自分色にしたい、リアクションを独り占めしたいと思うようになったら、僕は本を書こうと思う。

弱くてチグハグな人間を、そのまま描くような本を。

これでも僕は、自分が望んだことを全て実現してきた。

受かると言った大学に受かったし、付き合いたいと願った人と付き合ってきた。
次も、きっと出来る。自信があるのではなく、出来ないと考える理由を知らない。


実家のソファに横たわりながら、レスポンスの悪いSO902iで書いたこの日記は、これでおしまい。

おやすみなさい。
さようなら。





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Last updated  July 23, 2006 12:28:25 AM
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