物置


あたしは自作の看板を軒先に立てかけながら、隣に立つ黒尽くめの男を見上げて、はしゃいだ。
 男は「何でもお仕事請け負います! クレール魔法屋」と青いペンキでデカデカと書かれた看板とご満悦顔のあたしを交互に見比べた。

「南墓地の奥から5番目の墓石下から魔法のオルゴールを取ってきて欲しい......だと?」

 ここは物置
 偶然覗いてしまったキミはとても不幸だ
 何故ならここには、何も無いからだ
 何故無くなってしまったのだろう?
 管理人のミスで消滅してしまったのだろうか?
 ミッシングリンクというヤツが発生したためであろうか?
 否
 原因は簡単だ
 バラバラに飛び散っていたカテゴリを集約、編纂し直した為だ
 では、ここにあった『蛇が這うワケ』は何処に消えてしまったのだろう?
 それを探すのはキミ達、トレジャーに課せられた任務である
 これを成し得た時、キミは一人前のトレジャーとなるであろう
 はたして一人前のトレジャーとなる事に意義はあるのか
 あるのだ
 一人前のトレジャーになったキミの感性は研ぎ澄まされ、10km彼方で落した針の音すら聞き分けられるのだ
 すなわちキミは森の人になるわけだ
 別に山の人でも町の人でも愛に溢れる人だって構わない
 何故ならキミはキミであるからだ
 何者にも変える事は出来ない
 それが一人前のトレジャーであるキミなのだから
 ボクはもう行かねばならない
 あとは自分で見つけるんだ
 進むべき道を......

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: