星祭



「おじいちゃん。お星さまがふっているよ」
人里離れた山のすそ、小さな小屋があったとさ
 小さな小屋には、おじいさんと小さな孫娘が住んでいた
「今日は星祭の日じゃよ」
おじいさんが紅茶のカップを傾けつつ言った
 薄く細く香りのよい湯気が、静かな部屋を舞っていた
「星祭? お星さまのお祭りなの?」
孫娘は窓から夜空を見上げて言った
「お祭り、あたしも行きたいな」
おじいさんは、静かにコップをテーブルに置くと、孫娘のそばに立ち夜空を見上げた
「お祭りには行けないけれど、一緒に遊ぶ事はできるよ」
そういうとおじいさんは、部屋の灯りを全て消したとさ
 それから窓を開けると、おじいさんは夜空を大きく仰いだ
「わー、お星さまだ」
孫娘が歓喜の声を上げた
 夜空からお星さまが3つ、窓に向かって飛んできた
 窓から家に飛び込んだお星さまは、部屋の中をグルグル回っていたとさ
「みんな、お星さまになれるんじゃ。ただ、いつなれるかは分らないけども...」
おじいさんはホッホッと笑いながら1つの星を大事そうに撫でていた
 1年で1度だけの星祭―――

 あれから、7年
 12歳になったあたしは、1人で古ぼけた小屋に住んでいる
 おじいちゃんは、2年前にお星さまになった
 今年の星祭まであと1週間、1年に1度だけこの世にいない大切な人に会える夜
 おじいちゃんはハーブの紅茶が大好きだっけ


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