第五話【狐憑き】

(д|||)

第五話【狐憑き】


パートさんの友人の話。

彼女の老母は長く病の床につき、自力で立ち上がることも、話や食事もできない程
弱っていました。それがある日突然すさまじい勢いでモノを食べ始め運んでも運んでも
もっと欲しがり出し、がっつきながらモノを食べる老母の顔は、以前の柔和さを失い、
口は大きくなり目つきが鋭く、まるで別人の顔だったそうです。

そして老母が「もっと食べるものを持ってこい!」と叫んだとき、友人も堪えきれず
叫び返しました。
「誰か憑いているんでしょ?!」
その言葉を聞いた老母はニヤリと笑いながら言ったそうです。

「わかったか・・・」

その後数日間モノを食べつづけ、気に食わなければ娘を殴り、近所を徘徊した老母(に
憑いた何か)は、ある夜友人に向かって
「自分は空腹でたまらなかったが、この(老母の)体は3日後の朝に終わってしまうから、
もう出て行ってやる」
と言い、言葉の通り、依然のような弱々しい状態に戻った彼女の母は3日後の朝に
亡くなったそうです。

その友人はこういった類の話を全く信じない人間なのですが、自分の身に降りかかった
この事件をきっかけに、非科学的で不可解なものの存在にも少し理解を示すようになった
という話です。


※文中の「私」(語り手)は、bittersweetだったりババだったりT子だったりします。
 私や周囲の不思議体験をごっちゃに紹介しているので。ご了承ください。



© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: