第十四話【人 魂】



(+o+)ホントノハナシ!

第十四話【人 魂】





今日は我が愛しの母の話なぞ。

彼女は超現実主義者。当然私が好きな"河童が出た"だの"恐怖の心霊写真"だの"UFOを
捕らえた"なんつーネタは
「そんなもん、あるわけないでしょうが」
で終了。しかしそんな彼女がひとつだけ存在を認めるものが人魂。
だって彼女は日常的に人魂を見るんです。

【はじめての人魂体験】

ある夏の日、母(11才)は従妹(10才)と縁側に座り涼んでいました。家の庭は祖父(母の父)の
好みで几帳面に剪定された木々と、その間に大小の石が並んでいます。

と、突然青緑色に発光する人魂が、隣家との境にある蔵を超え、ふぅわりふわりと飛んで
きました。「飛ぶ」というより、波間に浮かぶくらげの如く「漂う」という感じです。
もう50年も前な上、田舎のことですから、街灯も家の明かりもほとんどなく、闇の中を
人魂は散歩でもするかの如くふぅわりと飛んでいきます。

母と叔母は、まるで夢でも見ているような心持ちで、声も出せずみつめていました。

その時!人魂は母達の目前にある一本の松の幹に ごんっ とぶつかり、そのまま落下。
母と叔母は急いで庭に飛び出しましたが、庭石の陰になった木の根元部分には何も残って
いませんでした。

ちょうどその時間帯にお隣のおじいさんが亡くなっていたことを、ふたりは後に知らされ
ます。最後の散歩に出かけたおじいさんの魂だったんだろうと母達は思ったそうです。


【母の人魂体験】

それ以来我が母は日常的に人魂を見ながら大人になりました。あまり日常的なので特に
誰にそのことを話すでもなかったそうですが、ある日私が仕事をしている彼女にまとわり
つきながら本で読んだ怖い話やら人魂の話などをしたところ、

「あんた、人魂なんかそこらへん飛び回りよるわ」
「あたしゃ昨日の昼も見たわ。『あー また飛びよる』ってなもんよ」
「あんなもん珍しくもなんともないわね」

と!うひー母ちゃんなんでもっと早よ話してくれんかったん(+o+)/ 私そーゆーの大好き♪

母曰く、昼間は明るいので人魂の青緑白っぽい色に気付く人はほとんどいないだろうと。
自分の場合なんとなく気配がしてふっと見上げると実際ふわふわ飛んでいるんだと。
そのままどこまでも飛んでいくこともあれば、自分と目が合った(!)瞬間スッと消えることも。
大きさは大体大人の手のひらくらいかなぁ。やっぱり夜見るほうがきれいなよ、だって。

当時(15年程前)で2週間に1回くらい見るって言ってたけど、今はどうだろう。聞いてみよう。


【母との人魂体験】

そんな話をして間もなくのこと。私も人魂を見たのです。

夏の夜は山から吹く涼しい風に吹かれながら家の屋上で晩御飯を食べ、その後みんなで
寝転んで話をしたり星を見たりウトウトするのが我が家のおきまりでした。

その日もそうで、ご飯の後みんなで昼寝布団にゴロゴロしながら家族団らんしていた時、
母が「ほら」と ある方向を指差しました。
ふっと見たその先(5m程の距離)には、ほのほのと浮かぶ人魂が。しかし私が「アッ!」と
小さく叫んだ瞬間、シャラシャラシャラシャラ~と金色の砂が散らばるかの如く消えてしまったのです。

妹達が「何?ナニ?」と言った時にはもう跡形もなく、母は呆然とする私を「ね♪」という
表情で見ていました。あれ以来人魂は見ていないけれど、確かなのは、"私は見た"ってこと。
映画のCG のような見事な消えっぷりでした。


【母と妹の人魂体験】

そしてまた間もなくのこと。今度は妹が母と一緒に人魂を見ました。

ある夜、窓から外を見ながら歯を磨いていた二人が同時に
「うわあっっ」
と叫びました。私達家族が「何っ?!」と顔を上げると、二人は
「謎の光が飛んできて網戸にぶつかった」
と言います。よくよく聞いたところ、我が家の窓から見える山には高速道路が通っていて
夜間は走っている車のライトが小さく見えるのですが、その小さなライトのひとつが突然
ブワーッと目前に迫り(飛んできた)、網戸にぶつかるあたりでフイッと消えてしまったとのこと。

蛍? いや、あんな速く飛ばないし、光が小さ過ぎる。(最終的に窓一杯に広がったらしい)
UFO? いやいや、UFOなら金属の乗り物だから窓にぶつかってただろう。速さは納得だけど。

なぜだか母を含めうちの家族はそれ以上その話をせず、あっという間に話題は変わって
しまいました。私が思うに、それは人魂で、うちの窓に近づき過ぎたんでないかと。。。
残念、私も見たかった。


※文中の「私」(語り手)は、bittersweetだったりババだったりT子だったりします。
 私や周囲の不思議体験をごっちゃに紹介しているので。ご了承ください。





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