音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年08月20日
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テーマ: 洋楽(3408)

ベスト盤だけではもったいない、もっと評価されていいカーペンターズの名盤


 カーペンターズは曲単位で注目されることが多い(例えば、CMで使われるとか、ドラマなどで使われる、といった具合)。かといって、リアルタイムではないわけで、シングルが現在のチャートでヒットするわけでもない。なので、ついつい"ベスト盤聴き"がメインになるアーティストの代表格と言ってもいいかもしれない。

 けれども、ここでは敢えてカーペンターズのアルバム、それも超名盤(と筆者は思う)を紹介したい。アルバム・タイトルは『ナウ・アンド・ゼン』、つまり、日本語に訳せば、『今と昔』。1973年リリースのアルバムである。ジャケットには赤いフェラーリと、何の変哲もない家。実はこの家は、97年までカーペンター家が所有していた家で、70年代当時、カーペンターズの二人(兄リチャードと妹カレン)が両親とともに暮らしていた家だ。

 アルバム・タイトルの『今と昔』とは、今となっては非常にわかりづらいコンセプトで、LPならではのタイトルかつアルバム構成と言える。LP時代の"A面"は1曲目から5曲目まで。LPの頃であれば、ここで強制的にA面からB面へと盤をひっくり返すために一瞬の休憩を迫られる(余談だが、お金がなかった筆者にとっては、LPから録音したカセットテープをひっくり返す一瞬の間であった)。

 "B面"は、メドレーから成る(CDのトラックでは、6.と7.)。要するに、本アルバムは、LPのA面とB面の違いが織りなすコンセプトから『ナウ(今)&ゼン(昔)』のコントラストを示していたものである。

 A面は、当時のカーペンターズにとっての"今"であり、現在ではスタンダードとなったものの、当時は、1.「シング」や4.「ジャンバラヤ」といったヒットソング(ただし4.は日本でのみシングルカット)となった。他方、B面は、"昔"、すなわち、"懐かしきあの頃"をテーマとした、オールディーズ・メドレー。そのメドレーの出だし、および締めくくりという役割が、これまた有名曲の「イエスタデイ・ワンス・モア」である。

 それゆえ、シングルやベスト盤だけで、「イエスタデイ・ワンス・モア」を聴いても、実はこの曲の魅力の半分しか体験したことにならない。曲のフェイド・アウトに重なって聞こえるバイク音、それに続く「ファン・ファン・ファン」以降のラジオDJショー風メドレー。そして、その最後には、「イエスタデイ・ワンス・モア(リプライズ)」が収められている。ここまで通して聴いてはじめて、「イエスタデイ・ワンス・モア」という曲は完結すると言っていい。

 A面も魅力的ではあるが、本盤の最大の聴き所は、このメドレーにあると思う。シングル・ヴァージョンの「イエスタデイ・ワンス・モア」しか聴いたことがないという人は、ぜひこのアルバム収録ヴァージョンのメドレーを体験してもらいたい。メドレーの中に収められた曲は、どの曲も素晴らしいが、特に筆者のお気に入りなのは、「ファン・ファン・ファン」、「この世の果てまで(ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド)」、「ジョニー・エンジェル」、「燃ゆる瞳(ザ・ナイト・ハズ・ア・サウザンド・アイズ)」、「ワン・ファイン・デイ」といったところ。そして、最後の「イエスタデイ・ワンス・モア(リプライズ)」が、まだ終わらないで欲しい、という名残惜しさを醸し出す効果があり、これがあってこそ、B面メドレーの魅力が生まれているのだと感じる。皆さんは、メドレー内のどの曲をお気に入りであろうか。



[収録曲]

2. This Masquerade
3. Heather
4. Jambalaya (On The Bayou)
5. I Can't Make Music
6. Yesterday Once More
A. Fun, Fun, Fun
B. The End Of The World
C. Dan Doo Ron Ron
D. Deadman's Curve
E. Johnny Angel
F. The Night Has A Thousand Eyes

H. One Fine Day
7. Yesterday Once More (Reprise)


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Last updated  2011年11月02日 09時49分36秒
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Re:カーペンターズ 『ナウ&ゼン』(08/20)  
jamken さん
久しぶりです。カーペンターズのこの記事を見て思わず興奮。私もこのアルバムのB面ファンでありまして、小学校の6年の頃だったと思いますが、大金を支払って購入しました。わたしはデッドマンズカーブとファンファンファンが好きでした。いずれにしてもこのアルバムはB面が一番の聞き所というのは大賛成ですよ。 (2010年04月11日 18時12分46秒)

Re[1]:カーペンターズ 『ナウ&ゼン』(08/20)  
andale  さん
jamkenさん

お久しぶりです(そちらのブログ記事も時には拝見しておりますが)。

B面の魅力に同調してくださる方がいるとは嬉しいです。Yesterday Once Moreという曲を聴いたことがある人は多いでしょうが、このアルバムの形で楽しんでいる人はそれほど多くない気がします。だとすれば、何とももったいない話だし、ぜひもっと多くの人にこのアルバムの形でメドレー部分を含めて楽しんでもらいたいものです。




(2010年04月11日 20時12分01秒)

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