音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2017年05月05日
XML
テーマ: 洋楽(3408)
バンド唯一のスタジオ作にしてクラプトンのキャリアを代表する1枚(後編)


 ( 前編 からの続き)
 それでは、A面から順に本盤の内容を見ていくことにしたい。まず、冒頭の1.「アイ・ルックト・アウェイ」。この曲をはじめウィットロックとの共作(または彼も貢献したとされる曲)がアルバムの中で大きな比重を占めている。軽快さと一歩引いた余裕、そしてギター一辺倒ではなくて歌にも目覚めたクラプトンといろんな魅力がぎゅっと詰まったオープニング・ナンバーである。続く2.「ベル・ボトム・ブルース」は、泣きのギターがうまく織り込まれたクラプトン作のスロー・ブルースの好曲。さらに3.「キープ・オン・グロウイング」では、音を少し厚くして勢いのある雰囲気を出していて、アルバムの聴き手はここまでを聴けばすっかりアルバムの雰囲気にのせられてしまう(逆説的になるが、この3曲を聴くだけでもデレク・アンド・ザ・ドミノスの魅力がある程度理解できるようにも思う)。ちなみにこれら3曲はバンド・メンバーによる録音で、ゲストのデュアン・オールマンは4.以降に登場ということになる。4.「だれも知らない」は再びスロー・テンポのブルース調であるが、この曲はジミー・コックス(1882 ~1925年)のナンバーのカバーである。

 5.「アイ・アム・ユアーズ」は小休止的なナンバーで、この静けさがあるからこそ、次の6.「エニイデイ」が映えるように思う。7.「ハイウェイへの関門」はスタンダード・ブルース曲で、1940年のチャーリー(チャールズ)・シーガーのナンバーである。LP時代のB面はここまでだが、6.「エニイデイ」のバンドらしさと7.「ハイウェイ~」のもろブルースとの対比が聴きどころだと思う。

 8.「テル・ザ・トゥルース」、9.「恋は悲しきもの」とクラプトンとウィットロックの共作が続くが、いい意味でこの時期のクラプトンの“迷い”が出ているように感じる。新しい方向性に傾きつつも以前からのスタイルを捨てられず、新たなバンドの音の方向性を定めたいがバンドはできたばかりで(といっても上述のようにこれだけで解散してしまうのだけれど)まだそれも模索しているといった感じである。10.「愛の経験」は再びブルース曲で、これ以降クラプトンのレパートリー(例えば こちらのライヴ盤 にも収録)として定着したので、この曲=クラプトンというイメージが強い人もいるかもしれない。けれど、もともとは1960年にフレディ・キングが吹き込んだビリー・マイルス作のブルース曲である。レコード時代のC面(2枚目表面)の3曲の中ではやはりこの「愛の経験」がいちばんの注目曲である。

 D面は、言わずと知れたジミ・ヘン曲の11.「リトル・ウィング」で幕を開ける。さらに続く12.「イッツ・トゥー・レイト」もカバー曲で、「C.C.ライダー」で知られるチャック・ウィリスの曲である。本作のカバー曲はブルース色が強い中、少し異色の選曲といってもよいかもしれない。13. 「レイラ」 は本作のハイライト。パティ・ボイドに捧げられたナンバーで、アルバム表題曲であるが、本盤の代表曲を選べと言われるとこの曲でよいのかどうか迷う。個人的には大のお気に入りナンバーで、聴きどころであることは間違いないのだけれど、本盤のことを批判する人たちはしばしばこの曲を含むラヴソング的な部分を批判の対象にする。そんなことを考えると、やっぱり冒頭の1.と2.の組み合わせの方が本盤の特徴をよく表しているかもしれないと思ってしまう。アルバムはホイットロック作の弾き語り風ナンバーの14.「庭の木」で締めくくられる。




[収録曲]

1. I Looked Away
2. Bell Bottom Blues
3. Keep On Growing
4. Nobody Knows You When You're Down and Out(以上LP時代のA面)
5. I Am Yours
6. Anyday
7. Key to the Highway(以上B面)
8. Tell the Truth
9. Why Does Love Got to Be So Sad?
10. Have You Ever Loved a Woman(以上C面)

12. It's Too Late
13. Layla
14. Thorn Tree in the Garden(以上D面)

1970年リリース。




 ​
いとしのレイラ [ デレク・アンド・ドミノス ]




  下記ランキングに参加しています。
  お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします!
        ↓           ↓ 

にほんブログ村 音楽ブログ ロックへ ブログランキング・にほんブログ村へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017年05月05日 05時21分07秒
コメントを書く
[洋ロック・ポップス] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: