音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2017年10月22日
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テーマ: 洋楽(3573)
稀代のシンガーソングライターによる唯一の“80年代盤”


 1960年代にソングライターとして花開き、1970年の 『ワーズ・アンド・ミュージック』 以降、自らがパフォーマーとしてアルバム制作を重ねていったジミー・ウェッブ(Jimmy Webb;ジミー・ウェブとも表記される)。結局、1982年の本盤『エンジェル・ハート(Angel Heart)』を発表した後、しばし鳴りを潜めることになった(10年後にミュージカルを発表後、再びソロ作品を制作するようになる)。

 でもって、この『エンジェル・ハート』は、AOR系のファンの受けはよいものの、商業的にも成功せず、当時の批評家筋からの評判もいまひとつだった。後になって日本盤CDのライナーで披露されている話なのだけれど、どうやらこの盤は早い段階(1978年)に録音されていたとのこと。前作となるソロアルバムが『エル・ミラージュ』(1977年リリース)だから、その少し後には次の作品を手掛けていたことになる。つまりは、3年ほど“寝かされて”から日の目を見た盤というわけだ。

 前作のプロデュースは、かのジョージ・マーティンだったが、この盤では若い世代のマッシュー・マッコーリーとフレッド・モーリンに交代している。ゲスト人も豪華で、8.「ナスティ・ラヴ」ではダリル・ホール、9.「美しき若葉の頃」ではスティーヴン・ビショップがヴォーカルで参加している。他にも、ケニー・ロギンス、グラハム・ナッシュ、マイケル・マクドナルド(いずれもバッキングヴォーカル)、デヴィッド・フォスター(ピアノ)、スティーヴ・ルカサー(ギター)、ジェフ・ポーカロ(ドラムス)などの名が目に付く。

 上で述べたように、本作はレコーディングからリリースまで数年の間隔が空いた。このことを考えると、アート・ガーファンクルが“先に”発表した4.「シザーズ・カット」(ガーファンクルのアルバム表題にもなった)や9.「美しき若葉の頃(イン・カーズ)」の出来をとやかく言うのは的外れなのかもしれない。そもそもジミー・ウェッブは、アート・ガーファンクルによるカバーの前に録音をしていたからというわけだ。さらに、全体を通して言えると思うのだけれど、AORをある種“先取り”していたと言えそうな内容である。1982年というリリース年から、80年代のAOR全盛期の幕開けをイメージする向きも多いと思う。けれども、1978年頃にこれを吹き込んでいたというのは、いま思えば“時代の先取り”でもあった。

 冒頭の表題曲1.「エンジェル・ハート」、4.「シザーズ・カット」、7.「想い出のシーン(アワ・ムーヴィー)」、9.「美しき若葉の頃(イン・カーズ)」などがジミー・ウェブらしさのよく出たナンバーだと思う。その一方、個人的には、5.「ワーク・フォー・ア・ダラー」なんかもいい。それから、2.「神の贈り物(ゴッズ・ギフト)」は80年代AORの文脈で考えるとなかなか見事な出来だと思うのだけれど、いかがだろうか。


[収録曲]

1. Angel Heart

3. One of the Few
4. Scissors Cut
5. Work for a Dollar
6. His World
7. Our Movie
8. Nasty Love
9. In Cars
10. Old Wing Mouth

1982年リリース。





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エンジェル・ハート [ ジミー・ウェッブ ]





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Last updated  2017年10月22日 13時10分38秒
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