音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2019年06月28日
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テーマ: 洋楽(3408)
ニューオーリンズの音楽の深みに嵌る必聴盤(前編)


 本名マルコム・ジョン・レベナック・ジュニア(Malcolm John Rebennack Jr.)、アーティスト名はドクター・ジョン(Dr. John)。怪しげな衣装と怪しげな曲のモチーフ(特にヴードゥー教関係)、それらに伴う独特の存在感で知られたこの人物は、1941年ニューオーリンズ出身で、つい先頃(2019年6月6日)亡くなったアーティストである。個人的には、彼の代表盤である『ガンボ(Dr. John's Gumbo)』を取り上げようと長らく思っていながらも、そのままにしてしまっていて、先の訃報( 参考過去記事 )に接して後悔している。改めて追悼の意を込めて、今回はこの盤について少し考えてみたい。

 60年代~70年代にかけて、米国南部への音楽的探究なる動きがあった。ザ・バンド(参考過去記事 (1) (2) (3) )なんかがわかりやすい例だが、彼らは、米国音楽の深い境地に迫ろうと意識を合衆国南部へと向けていった。この方向の動きが、ある意味では“探索”や“探検”と呼べるものだったのに対して、では、ニューオーリンズの側において何が展開していたのだろうかという見方も同時に必要だろうと思う。喩えてみれば、“コロンブスが原住民を発見した”という時、“発見された側”にも主体性はあったはずなわけだから。

 そういう風に考えてみると、ドクター・ジョンの初期の音楽は、その“探求される側”の状況を如実に示していたのではないだろうか。つまるところ、多くの聴き手(さらには多くのミュージシャン)にとって“対象”となる側が、主体として繰り広げていた事柄をうまく伝わる形で外に出すことができたのが、その当時のドクター・ジョンだったのではないかと思うわけである。

 ドクター・ジョンの背景にあるのは、ひとことで言ってしまえば、ブルース、R&B、ジャズといったニューオーリンズの根深い音楽文化。そうしたバックグラウンドに、ヴードゥー教文化やサイケデリックといった要素が散りばめられたのが初期のドクター・ジョンの全般的な特徴と言えるだろうが、注目すべきはそのバックグラウンドの“雑種性”にあると思う。“雑種性”というのは聞こえがよくないかもしれないが、決して悪い意味ではない。言い換えれば、これぞ“ニューオーリンズ”という一つの確固たるものがあるというよりも、様々な要素が時にごった煮になりつつ深みのあるものとして存在する、という意味である。そして、そうした深みが本盤『ガンボ』の持ち味にもなっている。

後編 に掲載しています)。





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ガンボ [ ドクター・ジョン ]

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ガンボ/ドクター・ジョン[CD]【返品種別A】




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Last updated  2019年06月29日 17時30分59秒
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