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BLUE ODYSSEY
未来都市に住む少年 act1~5
未来都市に住む少年 [act.1]
時計は西暦2150年3月9日を指していた。
ここは完全自動化され、雨、風、雪、寒さ等と言った気象や自然災害の影響から隔離された住み心地のいい場所だった。
この中の空間はいつも静かだ。
いや正確に言えば、空調システムのブーンというかすかな音と、スピーカーや音響システムから流される水や鳥の声といった自然音は鳴っていたが……。
基本的には耳障りのいい静かな空間と言えた。
ここには近未来的なデザインの長い長い通路が何十本も縦横無尽に走っていた。
その中を歩くと「カツーン!カツーン!」と言うブーツのかかとの音が通路内に反響して鳴り響いた。
ここは未来の「都市」。
全てが長い通路といくつもの広いスペースや部屋、区画で成り立っていた。
全体をまとめて見ると、かなり巨大な構造物だった。
その区画の一つ一つが大きくて、どのスペースにも充分な広さがある。
さらに白やクリーム色に塗られた通路等空間は、気持ちが落ち着くように考えられてデザインされていた。
しかし、”窓”はどこにもちゃんとした物が無かった。
代わりにダミーの窓は付いていた。窓の画面にはCGで自然の風景が映し出されていた。山や森や林といった心休まる風景がそこにあった。
それに太陽光をマネた温かい光がそこから発せられていた。
ここはいろんな区画がある。
もちろん工場などの生産施設はフルオートメーション化され、現在も休み無く動いているようだった。
また水の供給・循環システムも昼夜を問わず動いていた。
その他に、たくさんの居住スペースもあった。
それは全てまっさらの部屋で、マンションみたいにいくつも連なって設置されていた。かなりの人数が一度に暮らせそうである。
でも今は誰も住んでいない……。
後は、講堂・映画館・プール・遊園地・大浴場・ゲームセンター・カラオケボックス等の区画があった。
ここに1人の少年がいた。
最初、彼には名前が無かった。
だから自分で自分に名前を付けた。
「ガーナ」という名前にした。
特に意味はない。音の響きから取ったものだ。
彼はココアやチョコレート等、甘い物はけっこう好きだったので、その産地名から取った。
少年はある日、この都市で目が覚めたのだ。
いや正確に言うと、ある日突然物心付いて、自我が目覚めた。
そして、”自分がここにいる”という事実が認識出来た。
そう、彼は最初からここにいたのだ。
少年には物心付いた5歳ぐらいの時から記憶がある。
だがそれ以前の記憶は無い。
5歳より先の事は何も知らなかった。
ガーナはいつも、食堂の「キッチン」で、キューブ型や直方体型の冷凍食品を冷蔵庫から出して来て、それをレンジで温めて食べていた。
温めるとそれは、おいしいライスやシチューやカレー等になった。
フリーズパックされた物やレトルト食品もあった。
それらのパックはたくさん冷蔵庫の中に揃っていた。
また機械を操作すると、別の場所にある大きな食糧倉庫の方から、不足した分の食料が機械で運ばれて来て補充された。
それはガーナが持っていた「セキュリティー」と書かれたカードを機械に読み取らせる事によって出来た。
食料の在庫は無限に近いようだ。
1日に食べられる量には制限もあったが、空腹で困ると言う事はなかった。
とにかくいろんな食べ物があった。メニューは豊富だ。
パン・カレー・スパゲッティー・貝料理・鍋・フライ・焼き魚……。
デザートもいろいろ、ケーキ・シュークリーム・チョコレート・ビスケット・マシュマロ・和菓子・アイスクリーム・ドーナツ………。
ドリンクもコーヒー・紅茶・サイダー・ミルク・お茶・カフェオレ・ココア………。
どれも種類や銘柄が豊富で味が良い。
また調味料も豊富だった。
マヨネーズ・ケチャプ・からしバター・塩・にがり・醤油・ソース・バター・わさび・からし……。
これらを使うと無限に味の世界が広がる。
だから食事には飽きが来なかった。
とにかく、食べ物には不自由しない。
そうやってガーナが1人で食事をするようになってから、約11年が過ぎて現在に至っている。
今や彼は16歳である。
未来都市に住む少年 [act.2]
ガーナの生活空間はこの広々とした都市全てだった。彼は行ける場所ならどこへでも行った。
彼は探究心旺盛で、ここでの生活に退屈していなかった。
この都市では、ガーナは何でも独り占めに出来た。
「ゲームセンター」も、そこに置いてあるゲームマシンに自分のカードを読み取らせるとどんなものでもプレイ出来た。
またカードで両替機からメダルを出して、メダルゲームも遊べた。
「プール」は広々としていて3段ぐらいの高い飛び込み台があった。ここはスイッチ1つで温水プールに早変わりする事も出来た。
大きな「大浴場」もあり、部屋の中央に高さ5メートルの噴水の彫刻があった。ここはとても広いスペースだった。床面積はスケートリンクぐらいの広さがあって、そのスペース全体が湯気で雲っている様子は、見ていてなんともいえない風情があった。
「映画館」まで足を運ぶと、そこでは大スクリーンでの映画上映が観られた。音響も大迫力で実に楽しい。それに、ここにはガーナ以外いないので、好きな時に好きな映画を観る事が出来た。
この都市は広いが、他に動く者の姿は無く、あるとすれば鏡に映った自分の姿か、大型液晶スクリーンに映し出された映像データの画像の中にしか存在しなかった。
ガーナはこの都市の中を移動できるカートのようなミニカーに乗ろうとしていた。
するとそのミニカーのインパネに備え付けられたスピーカーから音声が流れた。女性の声だ。
「おはようございます。ガーナさん。」
ガーナ「おはよう”ベアトリーチェ”」
”ベアトリーチェ”はスピーカーから、いつもやさしい声で話しかけてくれた。”ベアトリーチェ”とはここの都市を管理するコンピューターの人工知能プログラムの名前だった。
ベアトリーチェ「それにお乗りになるのは構いませんが……、できるだけ”歩く”ようにしてくださいね。
貴方の健康維持のためです。」
スピーカーの横にモニターがある。今はここには何も映って無いが、希望があれば、ベアトリーチェの3DCGの映像を映し出す事も出来た。
だが、ガーナはその映像があまり好きではなかったので表示させていなかった。
”ベアトリーチェ嬢”を映し出すモニターは都市のいたる所に備え付けてあった。
プール、娯楽室、スポーツジム、図書館、大浴場、プライベートルーム……。
”ベアトリーチェ嬢”は、いつもガーナにいろいろな事をアドバイスしてくれた。
彼女は実に良い相棒だった。押し付けがましくないし、物忘れをする事もない。
口調は単調ではないし、正当性ばかりをうるさく口にしたりと言う事も無かった。
ガーナはベアトリーチェを気に入っていた。
彼女がいれば寂しさも紛らわせる。
”ベアトリーチェ”はもともとCG映像付だった。
しかし、CGの方には変化のパターンがあまり無いのか、やや単調で、しかもそんなに綺麗でもないので、ベアトリーチェのイメージを損ねた。
そこでガーナは早々にそれを非表示にしたのだった。
この間などは、彼女の声をいろんな音色に変化させられるスイッチを見つけた。簡単な操作で、好みの声に切り替えられた。
ガーナはしばらくそれをいろいろ切り替えて遊んだ。変化があって楽しい。
しかし、すぐに飽きてしまい、また最初の声に戻った。
やはり最初の声が一番女性的で優しそうだったから。
ガーナは今日もただっぴろい都市の中を歩いた。
ここは申し分の無い所。
商店街があったのでそこへ行く。
携帯サイズのコンピューターゲーム機が売られていた。
そこで目に付いた面白そうなゲームを手に取ってみる。
この店舗にレジはあるのだが、人の姿はやはり無い。
そこで自分でレジのキャスターにカードを読み込ませて、品物を買う。
このカードには「残高」の設定があるようなのだが……、ガーナはいつも気にしないで買っていた。
それからガーナは自分の『プライベートルーム』に戻って来た。ここは生活空間のある個室。大きな丸いベッドが部屋の真ん中にドンと置かれていた。その直径は4メートルぐらい。
そして大きなテレビモニターもあった。
後は備え付けの大型冷蔵庫等もある。
ガーナはプライベートルームをいったん出て、そこから少し離れた所にある『シアタールーム』に行く。
ここにはいろいろなAV機器が置かれ、テレビモニターがいくつも並んでいた。もちろん超大型の液晶スクリーンもあった。
ガーナは映画等を観るのが大好きで、いつもここにDVDやハードディスクを持ち込んでは映像作品を観ていた。
作品はネット上のライブラリに行けばたくさん置いてある。
また商店街のDVDショップに行けば、パッケージ販売されている商品もあった。どちらも一生かかっても見切れない分量だ。
またガーナは映画の中に出てくる大自然の姿が好きだった。それは特に印象的に目に映った。綺麗だった。
この都市にも緑は少し存在しているが、山や川は小さいものしかなかった。おそらくここに存在する物は皆人工的に造られたものだろう。
そして映画の中の世界ではいつも”いろんな人達”が行きかっていた。
街の中や学校、職場。
画面の中に映る世界には人がたくさん映っていた。ガーナにはそれが不思議でならなかった。
今、彼がいる都市には誰もいなかったから……。
ガーナは映画やテレビドラマから、言葉や習慣を学んだ。言わば映画やテレビドラマが彼の先生だった。
画面に映るものはほとんどが知らないものばかり。
でも、資料室やガレージに行けば、実際にその”いろんな物”の一部は見る事が出来た。
また飛行機や船。それらは玩具屋に行けばミニチュアが置いてある。
特別な倉庫に行けば、何隻かの船と、飛行機のような物の実物も見る事が出来た。
『ガレージ』にはネームプレートに”惑星探検車”と書かれている車両も置いてあった。それは6輪の物々しい外観の車両だった。まるで戦車のような姿。
またバギータイプの物やブルドーザータイプ、人員輸送車タイプの物もあった。
ガーナはいつも興味津々に、それらを見ていた。
さらに、この都市には他にもいろんな物があった。
工具類だけを保管している部屋。絵画、工芸品等が置いてある美術館。
いろんな薬品をストックしているドラッグストア等……。
未来都市に住む少年 [act.3]
そして……、
映画の中では……………、
なんと言っても「女性」の姿が綺麗だった。
ガーナにとって女性は未知の存在だった。
まだ実際に会った事が無かったから。
映画の中の女性はまるで芸術品のように美しい。
ガーナ「(本当にこんな美しい人間が存在するのだろうか?)」
ドラマの中で特に目を引く印象的な少女がいた。
16歳ぐらいの年齢で、ショートカットの髪型がなんとも愛らしかった。
その少女は他人に優しく、常に主人公の少年をいたわっていた。
ガーナはいつもその少女に注目して観ていた。
名前は「レイ」と言った。紺色のブレザーの制服を着けたその姿は清楚で可憐だった。
彼女は高校を舞台とした学園ドラマによく出ていた。
レイ 「どうしたの?元気無いね?」
レイ 「はい、お弁当作ってあげたよ。食べて」
レイ 「教室の掃除大変だね。手伝ってあげる。」
ガーナはドラマの中でその少女の姿を見るたび、彼女に吸い込まれそうになる感覚を覚えた。彼女の事を思うと胸が締め付けられるようになった。
彼女の声については、ベアトリーチェの方が優しくて女性らしいと思えた。
だが、この少女の声はリアルな感じで”現実感”というような、今まで感じた事のない感覚をガーナに味あわせてくれた。
日に日にこの「少女」に対する憧れが強くなっていった。
そして、ついにある日、ガーナは”女性”についてベアトリーチェに訪ねてみた。
ガーナ「ここには”女性”は存在しないの?」
ベアトリーチェ「存在する場所はあります」
ガーナ「えっ?本当!」
ガーナは喜んだ!
ガーナ「どこに行けば会えるの?!」
ベアトリーチェ「どうしても会いたいのですか?」
ガーナ「うん!」
ベアトリーチェ「……………………。」
いつになくベアトリーチェの返答が間延びした。
そして、簡単な質問をガーナにしてきた。
現在の睡眠時間に満足してるかや、夜ぐっすり眠れているか、現在の生活で大きな不満点は無いか等………。
全て確認事項みたいな感じの質問だった。
それにガーナが全て答えると、ベアトリーチェは
「わかりました。」
と言って、1つの部屋を紹介した。
『コールドスリープルーム 女性 対象年齢 14~18』
ガーナ「”コールドスリープルーム”だって?!」
未来都市に住む少年 [act.4]
この都市には、実は”開かないシャッター”も数多く存在していた。
ガーナはそのシャッターの向こう側に行く事は出来なかった。
だから、実は彼はこの都市の一部の姿しか知らなかったのだ。
その扉の向こう側に存在する物の1つが、ここ『コールドスリープルーム』だった。
ガーナが普段閲覧できる地図上には、なぜかここの存在は載っていなかった。
この区画の入り口の所に控え室のような部屋があり、専用の防寒着が備え付けられていた。
ベアトリーチェに促されて、ガーナはそれを身に着けて、もっと先の部屋へと進んだ。
そこは体育館ほどの大きな部屋だった。中には無数の筒型のカプセルが並んでいた。
カプセルには『コールドスリープカプセル』と言うネームプレートが付けられていた。
その中を覗くと……。
スーツを着た女性が横たわって眠っていた。
1つのカプセルに1人づつ。
ガーナは驚愕した。
それは冷凍保存されているようで、皮膚の色は肌色だが霜が少しかかっていた。
その状態でも”女性が美しい存在”である事はすぐにわかった。
初めて見る女性の顔は、まるで作り物のように見えた。
そこには何百というカプセルが並んでいた。
ガーナは連なるカプセルの間の通路を走ってみたが、その中にはやはり何百人という少女が横たわっているのが確認出来た。
そこには、さまざまな顔があった。本当にいろいろと。
ガーナは初めて見る他の人間の顔の美しさと、そのバリエーションの多さに驚いた。
ガーナは興奮して、ドラマに出て来た「レイ」という名の少女を探した。
ガーナ「ここのどこかにいる筈だ!」
そう思って夢中で探した。
しかし、やはり眠った状態では、普段の時とかなり顔の印象が違う。
探すのは困難だった。
そこで、この部屋に備え付けのコンピュターがあったので、そこに行き、ここのデータベースを呼び出して検索をかけた。
すると、少女達の顔写真が名前入りで映し出された。
一つ一つ見ていくと……。
程なくしてドラマに出てきた少女とそっくりな顔を持つ女性が見つかった。
名前は 『川崎 レイ』 となっていた。
ガーナ「この人に違いない!」
そう確信した。髪型も同じショートカットだった。
カプセルの番号は「A-189」となっていた。
ガーナはすぐにそこに走った。
その中にはあの少女と思しき女性が静かに眠っていた。
本当に彫刻のような美しさ。ガーナは胸の高鳴りを覚えた。
ガーナはコンピューターの所に戻って、夢中でそのコールドスリープカプセルの中の少女を覚醒させようとした。
そこにベアトリーチェの声が語りかけた。
ベアトリーチェ「覚醒させるのはかまいませんが………、一度に”お一人”しかできませんよ」
ガーナ「え?それって、どういう意味?」
ベアトリーチェ「食料の問題がありますから、一度に後お一人しか覚醒させる事は出来ません。
それに、覚醒処置には多少の危険と身体的負担を伴います。
覚醒させた後に、その方の事が気に入らないような事態になりましても、”すぐに戻してまた別の方を”というのはあまり好ましい事ではありません」
ガーナ「……………………??」
ベアトリーチェ「本当にその方でよろしいのですか?」
ガーナ「?? ああ、もちろんだ!とにかく、この人を覚醒させてよ!」
ベアトリーチェ「いいのですか?
先ほど見ておられました検索データの中には、ここにいる女性お1人お1人のさまざまなデータが入っています。
それをよく見てから決められた方がいいと思うのですが。」
ガーナ「???、それって、どういう意味?」
ベアトリーチェ「先ほど言いました事と少し重なりますが……、
”コールドスリープ”から覚醒させるには大変な手間がかかります。
被験者の精神にとっても負担になります。
そう何回もひんぱんにコールドスリープ状態から”起こしたり・寝かしたり”はできないのです。
ですから、ご自分が”本当に望む方”を慎重にお選びになった方がいいと思います。」
ガーナ「????
わかったよ。
そうひんぱんには”呼び起こしたり、寝かせたり”ができないって事だよね?
でもさ、僕はこの少女が気に入ったんだよ!早く覚醒させてよ。会いたいんだ!」
ベアトリーチェ「私は人工知能にすぎませんので……、
これ以上の助言できません。貴方を止める権利もありません。
わかりました。
では、この方を覚醒させます。ここから退室してお待ちください。
3日後に覚醒が完了します。」
ガーナ「えっ?3日?!3日もかかるの?!」
ベアトリーチェ「はい。身体の細胞組織に負担がかからないようにゆっくりと覚醒させます。
女性の体は特にデリケートですので、男性の場合より半日程よけいに時間がかかります。」
ガーナ「ふうーーーーーー。
わかった。じゃあ、ここから出て待っているよ。」
ガーナは仕方なくその部屋を出た。
『川崎 レイ』のカプセルは、天井のレールを移動してやって来たクレーンアームにつかまれて、別の部屋へと運ばれて行った。
未来都市に住む少年 [act.5]
それからのガーナは毎日ウキウキしていた。3日後にあの待望の”レイ”という少女と会えるのだ。
ガーナ「待つ間、どうしようか?」
気持ちが高ぶって、またテレビドラマや映画のDVDを観た。
テレビドラマの中の少年も、そのレイという少女を自分の家に呼ぶ為に、家の中を片付けるシーンがあった。
ガーナ「そうだ、部屋を片付けなくっちゃ!」
ガーナはそう思った。
この「シアタールーム」は、今や半分ガーナの自室のようになっていた。
見ると……、
ここには食事をした後の食べ物の紙くずのゴミが散乱していた。
それは主にハンバーガーを食べた時の紙袋だった。
近頃のガーナのお気に入りは、このファーストフードだった。
何個も何個もハンバーガーとシェイクをセットで食べていた。
映画を観ながらそれらを食事として食べるのだ。ハンバーガーはスクリーンを観ながらでも食べやすい形をしている。それに映画を観ながら食べると、なぜかいつもよりおいしく感じられた。
また、ここの冷蔵庫に入っているハンバーガーは、安っぽい物ではない。
ちゃんとトマトの輪切りまで、完全に再現されていた。
しかし、今はそれらの紙くずの後片付けに専念すべきだった。
30分後、一応テーブル上やその周りから紙くずの山が消えた。
そしてそこに敷いてあった椅子代わりの大型クッション。
これはもはや弾力が無くなっていた。
そのクッションを、『太陽光ルーム』と呼ばれる部屋に持ち込み、そこに置いて干した。これで半日もすればすっかり元の大きさに戻るだろう。
さらに床を掃除機で丁寧に掃除した。その後、クリーナーで磨いた。
さらに他にも気になる場所はあった。
「食堂」。
ここも食器が出しっぱなしだった。
それを綺麗に片付けた。
そして、『プライベートルーム』。
ここには本棚や広々としたベッドも置いてあるし、おもちゃを飾った棚もある。ガーナが好きな携帯ゲームやパソコン、最近それらがいたる所に出しっぱなしの状態だった。ゲームや漫画本もあちこちにちらばっていた。
ガーナはここも綺麗に整頓した。
ガーナ「こんなに念入りに掃除するのは何年ぶりだろうか………?」
ドラマの中の少女は片付けられた部屋の中を見て、
「綺麗になったね」と微笑んでくれるのだった。
そう言ってもらえたら、どんなにうれしいだろう。
ガーナは彼女の笑顔を期待して、懸命に掃除をした。
それから、3日が経った。
ガーナは朝から「覚醒室」に飛んで行った。
そして、その覚醒室のスライドドアがゆっくりと開いて、さらにその向こうにある部屋が見えた。そこのベッドの上に”レイ”がこちらに背中を向けて腰掛けているのがわかった。
そこは病院の部屋にそっくりだった。
レイは全身に軽そうなスーツみたいな物を着ていた。
そして、入って来たガーナに気が付き、彼の方を振り返った。
レイの顔はテレビドラマの顔とそっくりで、極めて整った顔立ちだった。
分厚い真っ赤な唇。目はまつ毛がくっきりとしていて、瞳はとても大きかった。逆三角形の輪郭に、頬には卵のようななだらかな丸みがあった。
とにかく綺麗で美しい。
ガーナはしばし見とれた。
ドラマの中の少女の声は、小鳥が鳴く様に甘い優しく音色だった。
レイ 「……………………。」
ガーナ「こっ、こんにちは」
ガーナはテレビドラマのマネをして優しく声をかけた。
レイ 「……………………。」
ガーナ「こんにちは」
レイ 「誰だよ?アンタは?」
ガーナ「は?」
レイの発した声は無遠慮でぶっきら棒だった。
レイ 「”セキュリティー”か?」
ガーナ「”セキュリティー”????」
レイ 「他の保安要員は?」
ガーナ「”保安要員”???」
レイ 「”保安要員”だよ!他の保安要員はどうしたのさ?!それと”管理部”の人間は?」
レイの喋り方はことごとく”投げ付ける”ような感じだった。
ガーナ「”管理部”?」
レイ 「そうよ!”管理部”だよ!アンタ、トロいねえ~~~~!
いったいアンタ誰だよ???」
ガーナ「”誰”って……、僕は”ガーナ”」
レイ 「名前を聞いてるんじゃないわよ!!!!!!
いったい”どこ”の人間かと聞いているのよ?!」
ガーナ「”どこ”って………、ここだよ。ここの人間だよ。」
レイ 「”ここ”って?!アンタばかあ????”どこの所属”か聞いているのよ?!!」
彼女は怒っているようだった。
その声は少しも美しくなく、なにかやるせなさそうに発音している感じだった。
しかしそれにしても、ガーナが彼女に対して抱いていたイメージとまるで違い、彼女はとても気性が荒そうだった。
とにかくドラマの中では、彼女は他人に対して”決して”こんな口の聞き方はしない。
ガーナはショックを受けていた。
ガーナ「”所属”って?」
それを聞いてレイは血の気が引いたような表情になった。
レイ 「もう一度聞くわ。アンタ何者?」
ガーナ「さあ、”所属”なんて……、そんなの一度も聞いた事が無いよ。」
それを聞いたレイは、この部屋の扉を抜けて外へ飛び出して行った。
そして、なんと、どこから持ち出して来たのか”銃”を持って帰って来た。
その銃口をガーナに向けた。
レイ 「あんた何者なの?正直に言いなさい!」
レイはものすごい目付きでガーナをにらんだ。
銃の3つのセーフティーロックは全て外され、弾は発射できる状態になっていた。
レイのトリガーを握る指が震えていた。
もし、何らかの突発的な出来事が起これば、間違って銃のトリガーを引いてしまいそうな雰囲気だった。
続きます。
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