久しぶりに見た貴方は
その日焼けした肌の下にいつもの笑顔をたたえていた。
小さな口から発せられた言葉に
細い瞳の中に穏やかにたたずむ優しさに
春の香りとささやかな安らぎを感じていたあの瞬間を
僕は思い出してしまった。
描いた将来は青く染まり
架空のものへと姿を変えようとしていたあの時を
すべて貴方の人生のために費やそうと決意したあの一瞬を
僕は思い出してしまった。
貴方と離れて過ごしたこの期間が
嘘のように崩れる音を胸の中で感じながら
この生活を肯定するために精一杯の笑顔を貴方に返した。
貴方は気付いているのだろうか?
あの日あの瞬間に提示された至福への純粋な約束が
確かにそこに存在したことを・・・
この世の全ての至福から隔離された時
僕は貴方の残影をまた見るのだろう。
感情を持たぬその残影に僕は何かを探し、求め、感じ・・・
そしてまた
儚き幻の存在に生への憧れを抱くのだろう。


