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2007.12.28
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カテゴリ: 歴史
ある方から「日本が今の緯度になければどうなっていたか?」という問いがありました。

日本は今の緯度にあったので、文明が根付きました。
これは普通に考えると、当たり前だろうと思われます。朝鮮半島も近いですし。
しかし、大陸に近い台湾も、海南島にも文明は根付きませんでした。
この理由を学生時代に学びました。

ポイントは「北緯35度」にあるのだそうです。
中国の長安、新羅の首都慶州、そして天智天皇の都(大津)は北緯35度近くにあります。
この北緯35度以北は、大陸性気候の東北アジアで、狩猟、遊牧で生活している地域です。
また南は、亜熱帯性気候の東南アジアで、雨量も多く、水稲が育ちやすく、米と魚を常食にしていた海洋民族の地域でした。



ですから、日本が台湾や海南島と同様の位置にあるか、北海道(明治までは日本外でした。今でも津軽海峡から南は「内地」と言います。)と同じ位置にあれば、今の日本はなかったでしょう。

もうひとつは鉄です。
中国大陸では青銅と鉄が早くから使われました。当然朝鮮半島に伝わり、日本にも伝わりましたが、鉄の問題は燃料です。
「たたら製法」では一回の製鉄で山をひとつふたつ丸裸にするくらいの木が必要でした。
中国や朝鮮半島では木は一度切ると、なかなか育ちません。乾燥しているからです。
今でも北京周辺には森や林はありません。飛行機からみても、一面畑か荒地でした。
朝鮮半島もそうです。
(朝鮮半島の人々は秀吉の軍隊が木を切っていった、と言うそうです。とすると、その後の500年間で全く植林できないくらい、加藤清正達がひどい事をしたんでしょうねぇ。)
どうも中国や朝鮮半島では植林するとか、山を守るという考えが庶民にまでなかったようです。

ところが日本は雨季もあります。(梅雨のことです。私は梅雨は「雨季」だと思っています。)
ですから、山を渡り歩いて鉄を作っていくと、20年くらい経てば一番最初の山に戻って、木を切って製鉄ができます。

司馬良太郎先生が、戦争中に中国、朝鮮半島に行っていて、農家を尋ねると、その農具のなさに驚いたと書いていました。

室町時代だったか、日本の対明貿易の輸出商品に「日本刀」がありました。
高校生の頃はなんのことか分かりませんでした。
あれは、鉄が不足している中国で、刀としてだけでなく、刃物、鋳なおして農具などに使ったのでしょう。
輸出用のなまくら刀を全て武器に使ったとは思えません。


それは鉄をつくるための燃料が枯渇したからです。
英国でも鉄をつくるため木を切り倒し、危うく英国全土から森がなくなるところでした。
幸い石炭を使用するようになり、ところどころに木、森が残る美しい英国の風景ができました。

日本は木が育ちやすいのと、山を大事にする文化がありました。
おかげでたたら製鉄で鉄が豊富につくられ、経済発展やそれに伴う文化が育ちました。
そうでなかった中国では、洪水のたびに山が崩れ、河が氾濫し、田畑を流された人々が数十万人単位で流民化し、王朝交代に結びつきました。
朝鮮半島でも、社会が固定化し、流動性のある社会が出来ず、人々の頭も朱子学で固定化されてしまいました。

おかげさまで日本はそうならずに済みました。本当に幸いです。

日本が海南島やインドネシア、インド洋のどこかにあったら・・・どうなっていたでしょうか?
多分、人々はのんびり暮らしていたでしょうが、あちこちから侵略されて、自前の文化を持てない国になっていたかもしれません。
たとえ持てたとしても、帝国主義の時代にどこかの列強の植民地になっていたと思います。

すると、私の祖先は淡路島の貧乏農民(想像するに本百姓だったとは思えません)だったので、
ロシアのように「農奴」になっていたか、ポルトガル商人あたりに売り飛ばされていたかもしれません。
こう考えると、間違いなく私は生まれていませんね。
本当に日本がこの場所にあって幸いでした。(冷や汗がでます)







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Last updated  2007.12.28 21:50:05
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奇跡的な側面を文明はもつ  
八雲川 さん
 日本文明の底力が緯度に絡んでいるとは見事な洞察ですね。特に鉄の重要性は司馬遼太郎氏も指摘していたような気がします。鉄が世界全土で作られるようになった今ではなかなか認識されないのですが、緯度と森林と鉄生産はかつては密接した問題でした。さらに日本は砂鉄で製鉄するという世界で類例のない方法に特化して行きました。その発祥は出雲で、日本の建国にも関わっている話もあります。そして高度な刃物、日本刀を完成するに至ったのはその基盤が緯度にあったとしても奇跡的なことではないでしょうか。 (2008.11.23 23:40:07)

Re:奇跡的な側面を文明はもつ(12/28)  
八雲川さん

ここに書いたことは、私が見つけ出したことではなく、色々な先生たちの研究成果です。
私はそれを読んだだけですが、とりあえず、へんてこな質問「緯度」の問題でも、なんとか答えることができました。

鉄に加えて、私はやはり「米」が重要だと思います。
本来、日本の気候には向いていない南方植物の「稲」を日本に根付かせ、そして「米食」を中心とした食文化、それに稲を利用した様々な文化(米俵、わらじ等々、それに土と備前焼も)が日本人を、ある面で大変「賢く」したと思っています。
(2008.11.27 23:13:01)

ヤスキハガネ  
島根県人 さん
 出雲の鉄といえば安来鋼が有名ですね。故司馬遼太郎氏がいった和鋼博物館ってところに行きましたが、なかなか興味深い展示物がありました。故俵国一博士の日本刀の切断サンプルなんかは貴重なんでしょうね。 (2009.01.09 21:57:51)

Re:ヤスキハガネ(12/28)  
島根県人さん

コメントありがとうございます。
島根県には残念ながら行ったことがないのです。
出雲大社も行きたいし、和鋼博物館にも行きたいのですが・・・。
鉄のことを調べていくと、日本がなぜこんな文化になったのかが分かっていくと思います。
(2009.01.12 17:23:35)

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