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ももちゃん


                       ◎ももちゃん◎



ちっちゃな島にちっちゃい女の子が生まれた。

ほっぺたが透き通るような薄いピンクだったから、なまえはもも。

ちっちゃな島ではみんなが家族みたいだった。

ももちゃんが生まれたのをみんなが喜んだ。

ももちゃんが生まれてから2年。

ももちゃんは風邪をひいた。

ちっちゃな島のちっちゃな病院で見てもらって、薬をもらった。

ももちゃんの風邪はなかなか治らない。

ももちゃんの透き通るようなほっぺが、やせていく。

ちっちゃな島には大きな病院もない。

今までにはないような病気にかかった。

ももちゃんが病気になったことはすぐに、ちっちゃな島に広がった。

みんな、心配してももちゃんの家にきた。

ももちゃんは変わったけど、島の人が手をふるとももちゃんも真似して手をふった。

ももちゃんが病気になって1年後ももちゃんが音に反応しなくなった。

立ち上がったり、寝返りをうったりもしなくなった。

島のみんなは毎日ももちゃんに会いにきた。

ももちゃんは大きな病院へ行くことになった。

ちっちゃな島の人が大きな島へ行くのは、はじめてのこと。

ももちゃんと家族は大きな町についた。

みんな、とても早くあるいている。

ここの空気はとても臭い。

みんなは、生きているけど目は死んでいた。

みんな誰かを憎んでいるのに、それを隠している。

ちっちゃな島では憎むなんてことはなかった。

嫌ながら大きな病院にいった。

待っている間も、他の人のささるような視線を感じる。

ももちゃんの変わってしまった、顔を見ている。

みんなとても静かだけど、心の中ではいろんなことを考えているのがわかる。

時計の針が進むのがとても遅い。

やっと順番がきた。

お医者さんに見てもらう。

お医者さんは、顔色ひとつ変えない。

「もってあと1年です。」

お医者さんはいった。

母親はその場にひざをついて泣いた。

父親はぼー然としているだけ、ばぁちゃんはハンカチで目を押さえながら泣いた。

ばぁちゃんの曲がった腰がとても見ていてつらかった。

「アメリカのいい医者にいけば、治るかもしれません」

医者はいった。

みんな一緒に顔をあげた。

「でも、1億円かかります。」

医者はいった。

ちっちゃな島ではみんなお金なんてほとんどつかわない。

隣の人と自分の畑でつくった野菜を交換したりして生活していた。

1億円なんて聞いたこともないような数字だった。

母親は何時間も医者に頼んだ。

医者はお金がなければ無理といった。

医者の分厚いめがねから見える目から、涙があふれた。

医者は自分が何もできないことをとても悔やんだ。

医者はどうすることもできなかった。

みんなが、診察室をゆっくり出た。

さらに、他の人の視線が強くなっていたが、そんなのは気にもならなかった。

ももちゃんをつれてちっちゃな島に帰ることにした。

ももちゃんは日に日に体調が悪くなる。

家族もそれにつられてやせていく。

でも、ももちゃんは笑う。

上手く喋れないのに、何かをつぶやいて笑う。

それを見た島の人たちも笑う。

ももちゃんは1年後笑いながらこの世をさった。

みんな、なぜか心がはれた気分だった。

それから10年。

島に新しい命が誕生した。

ももちゃんみたいにほっぺが透き通るピンク色をしていた。

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