ママンさんあなたはボン君の何を抑えようとしているのですか。私には診えないのです。私は母の子どもを見る目、誰にも叶わないと思っています。時にして医師にも劣らない事があります。
ボン君は今イロイロな事を体で学ぶ時です、本や母の教え家庭のなかで、学校と友達と良い事悪い事、を自分の体で経験するべきなのです。これらのことは今、充分に経験するべきなのです。経験の中からどうするのかを子どもは体で覚えていくのです。もちろんその導く役目は母親、父親なのです。
男の子です、母親がビックリするような出来事ももあります。わたしも近所の子で見ています。でもそれは、人間誰しもあることで、むしろ子どものうちに発散させないといけない事、経験する前に抑えるのではなく事が起きた時に導いてください。
ママンさんボン君とバブちゃんに時間を下さい。長い時空で育ててください。ボン君の素晴らしさをたいせつに守ってやってください。
私の心からのお願いです。
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涙が出た。
ああ、この人も私をそういう目で見ているのか・・と。
手紙に書いてあることは全て正しい。私もその気持ちのままに子育てをしてきたつもりだから。それでもどうにもならなかったことを、この人はしらない。
出さなかったけれど、私の返事はこんな感じ。
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理想の子ども像ではないから、自分の思う通りに育てたいからと服薬を決めたのではありません。そのままのボンでよいと思っていますが残念ながら、現在の社会背景を考えるとこのままのボンでは社会に受け入れてはもらえないのです。どこへ(定型発達の世界でも、同じ障害の人の集まりに)行っても、いつもはじかれてしまうのですよ。本当に辛い思いをしているのは本人なのです。
お薬が「抑えつける」ものがあるとしたら、それは本人の持っている能力を発揮するのを、いつも邪魔をしているものをです。それは「強迫神経」だったり「感覚過敏」だったり、不安感から来る攻撃性です。決してボンの人格を抑えつける物ではないのです。
不安感不快感からくる他害行動を避け、お薬の効いている時間に「ボン本来の力」で様々な事が学べるようになるのです。 誰かに良い行動を押し付けられるのでなく、本人の意思でよい行動を取れるのです。そして、たくさんの人に認められて、褒められて自尊心が向上してきます。
これは飲ませてみてはじめて解った事です。飲ませる前は医師に説明されても、本を読んでも納得行きませんでした。お薬なんか大嫌いです。飲ませている保護者に対しても冷たい視線でいました。恥ずかしい限りです。
どのような問題も、経験も当事者にしかわからない事があり、より深く理解していただくためにも、自ら説明したり教えていかなくてはならないのですが、残念ながら私たちには時間がありません。
ですから、私のしていることを途中から口を挟むのではなく最後まで見守って欲しいのです。それと一冊でいいから発達障害の本を読んで頂きたいのです。読んで頂いたら、私のしていることがボンを抑えつけているとはお思いにならないと思います。
叔母様がおっしゃるとおり子どもは自分の経験から学びます。定型発達の子は、良い経験ばかりではなく悪い経験も通して成長します。自分で修正したり、悪い事をした自分だけど、もうしなければいいのだ、と自尊心を保持していけます。
ですが、障害のある子どもにとっては難しいことなのです。一度体験した事を消す作業にとても時間を要します。解り易く言うと、一度インプットしたことはなかなか消去できないのです。一度許可した事は際限なくしてしまいますし、一度傷つくと長期に渡って引きずり、苦しむのです。思春期以降心の病という二次障害を起こさないよう、端からみたら過干渉に見られるような事も言わなくてはなりません。
大学病院の先生に「過保護、過干渉」と「適切な対応」の違いをお聞きした事があります。
「本人が出来ることに口出しをするのが過干渉」
「本人が出来ないことに助言をするのが適切な対応」
と言われました。

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