ボヤキ・ツブヤキ・ヒトリゴト

ボヤキ・ツブヤキ・ヒトリゴト

August 17, 2004
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数日前の日記に、むのたけじ氏の詞を引用させて頂きましたが、まさに今、アテネの地にいる女子バレーチームは、“嵐の夜”の真っ只中にいるようです。

まるでサイドアウト制の試合を観ているかのような点差。
まるで「ここに落としてください」と言わんばかりの、コートの真中にぽっかり穴の空いたレシーブフォーメーション。
肝心どころでのサーブミス。
選手たちの、あと一歩動かない足。

イタリアのIDバレーの術中に見事はまってしまった、と言う事なのでしょう。OQTでの勝利で、選手も私たちも歓喜に酔いしれましたが、それもすべて五輪に照準を合わせたイタリアの作戦だったのかもしれません。
OQTであれだけ決まっていた大友選手のブロードをはじめとしたセンター線の攻撃が、文字通り『全く』機能しなかった、と言う事はすなわち、OQTでしっかりデータを取られてしまったということでしょう。でも、あれから日本にも同じ時間が経っているわけですから、読まれている事を計算して、なにか新しい打つ手を考えるべきだったんじゃないかと思います。
確かアトランタの最終予選もそうだったような覚えがあります。
神がかり的といわれた吉原選手のセンター攻撃。今回の大友選手同様、大会を通して高い決定率を誇った彼女でしたが、アトランタの本番ではライバル国に計算され尽くしてしまいましたよね。



あと少しの集中が足りない。あと一歩、足が出ない。
いいトスがあがらない。センターが使えない。
攻撃がサイド一辺倒になる。おっかなびっくり打っているからなかなか決まらない。
たまにいいトスがあがると『センターが来る』と読まれてしまう。
シャットを食らう。

これの繰り返し。

去年から、柳本JAPANの試合を観戦しつづけて、初めて観続けるのが辛くなりました。第3セット中盤に、またもや点差が離れてきた時に、ビデオには録ってあるんだし、風呂にでも入ってこようか・・・そう思いました。本当に、目を覆いたくなりました。
このチームの応援をしてきて、こんな気持ちになる時が来ようなんて思ったこともありませんでした。
まさに悪い夢をみているようでした。

それでも最後まで観続けたのは、吉原選手の速攻が決まったからだったような気がします。
速攻が決まったから嬉しかったのではありません。第3セット中盤になってはじめて決まったセンター攻撃です。遅すぎます。もう間に合わない。

そしてそのあとすぐ、トグットのバックアタックを1枚でシャット。
さっき、アトランタ最終予選を引き合いに出しましたが、あの瞬間、イエリッチのバックアタックをやはり1枚で止めたイタリア帰りのセンタープレーヤーの事を思い出しました。

「最後まで諦めるのは絶対嫌。諦めるくらいだったらはじめからやらないほうがいい」と語っていた吉原選手。
この人は諦めていない。諦めるつもりすらこれっぽっちもない。
じゃあ、ファンが諦めてどうする。まだ終わっていないのに。


シャットを食らったあとのトグットがちらりと映りましたが、まるでなぶり殺しにしようと思っていた小さな獲物に、鼻先を血の出るほど引っ掻かれた猫のような表情をしていました。
でも、小さな獲物が引っ掻いたのはあくまで鼻先で、致命傷にはほど遠く、小さな獲物は完全に仕留められてしまいました。

それでも、たとえ小さくても、爪も牙も声も失われたわけではない、小さくても、これがある限り戦うんだ。
・・・そんな思いがダイレクトに伝わってくるような、速攻とスパイクでした。

さあ、明日はギリシャ戦です。
今の日本の状態からして、決して楽な戦いではないでしょう。

これが若いチームのリスクと言う事なのかもしれません。
一度五輪の切符を逃すと言う事は、こういう自体を招くと言う事なのかもしれません。
若手にとって、アテネのコートは夢の舞台になるはずでした。
中堅にとっては、栄光と歓喜に満ちた場所になるはずでした。
でも、きっと今は、足を踏み入れるのに躊躇・・・いや恐怖すら感じられる場所になっているかもしれません。

そして、吉原選手は、そうなる事をすべてわかっていたのかもしれません。試合後の彼女の静かな表情が物語っているような気がします。五輪の切符を逃すと言う事の、そして初めての五輪に潜む魔物の恐ろしさをこの人は誰よりも・・・もしかしたら監督よりも、知っていたかもしれません。きっと知っていたはずです。
そして、その恐怖に打ち勝つものは、選手それぞれの精神力以外にはありえないんだ、ということも、彼女は身に沁みて知っていることでしょう。

チームメイトのミスをフォローするどころか、顔を歪めてしまうような選手たち。
脇から入ってきた栗原選手と衝突してレシーブをミスしてしまい、
怒りを露わにする竹下選手。
スパイクをミスしたあと、チームメイトに声をかけ・・・なにかあったのか映っていなかったのでわかりませんが、ムッとした表情で一瞬黙ってしまう佐々木選手。
レシーブがあがって二段トスを打つ時、「え?あたし?あたしが上げるの?」とでも言うように顔を見合わせているような成田選手や栗原選手。

そんなあなたたちは初めてみた。
そんなあなたたちはみたくなかった。

そして、いつも強気な竹下選手が、コートに入る時、吉原選手の手を両手でしっかり握り締めていた映像が目の裏に貼り付いて、しょっちゅう視神経を刺激してきます。
8歳も歳の離れたコンビなのに、コートの中でプレーする時はいつも対等で、その強気さが、強気なトスが魅力の竹下選手なのに、まるで別人のようでした。
まるで不安げな子どものようでした。

竹下選手ですらそうなんです。いつものように、鬼の形相で叱咤激励するなんてできるわけがありません。吉原“キャプテン”にできることは、手を握って笑ってあげること。

明日からの試合は・・・結果はともかく、OQTの時のような試合が観たい。がむしゃらに頭からボールに突っ込んでいくような選手たちが観たい。ワールドカップの中国戦のように、負けていても貪欲に相手コートを睨み付けている選手たちが観たい。
そして、鬼神のようだと評される吉原選手のあの表情を、もっともっと観たい。

もう、「秘策」も「手の内隠し」もたくさんです。いや、そもそもそんなものが本当にあったのかすらもうわからない。
今の彼女たちは、バレーボールが大好きで、バレーボールをやっているようには見えない。
少なくとも、ワールドカップやOQTのときの彼女たちは、必死だったけど楽しそうでした。
私は、そんな彼女たちのプレーに惹かれて、ファンになったんです。

『キッズ・リターン』という映画のラストで、自転車に二人乗りをしながら、少年が言います。
「俺たちもう終わっちゃったのかな」
もうひとりが答えます。
「バーカ、まだ始まってもいねえよ」

どうかもう一度立ち上がってください。もう一度始めてください。
仲間を信じてください。バレーを楽しんでください。
日本代表の誇りを取り戻してください。
「諦めない」というキャプテンがいる限り、私も絶対、諦めません。

『ネバー ネバー ネバーサレンダー』
元・阪神、星野監督が、チームを建て直す時のスローガンだったそうです。






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Last updated  August 17, 2004 07:43:17 PM
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ネバーギブアップ  
素敵な日記でした。
読んでて涙がでそうになりました。
まだまだ諦めてはいけません。
ギリシャ戦で本来の日本の姿が見れる事を願っています。 (August 17, 2004 08:17:14 PM)

Re:ネバーギブアップ(08/17)  
チルエ  さん
ハッピースマイル777さん
こんばんは。
いよいよ正念場ですね。あと2時間で試合開始。
心の底から応援したいような、逃げ出したいような微妙な気分です。
今日こそ、トルコの監督に「ウォーリア」と称えられた選手たちの姿を観れる事を願って、TVの前にスタンバイです。

(August 18, 2004 07:59:56 PM)

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