1200字文芸帖(楽天出張所)

1200字文芸帖(楽天出張所)

解説 #1~5


 自称詩人レンはパリに滞在していた。ある飲み屋で知り合った美女「クレイラ」と意気投合し一夜を共にする。「私にもう一度会いたいなら○○のカフェに来て」と言われていたので、レンはその約束の場所に来ていた。約束の時間を過ぎてもクレイラは現れない。自暴自棄にも近い失恋状態になりかけた瞬間、そこの厨房で働くクレイラに気付く。部屋を引き払ってパリを去ろうと思っていたが、二人で一緒に生活したいと思い直し、部屋の鍵の確認をする。

第2回「残り香」
 カフェでクレイラと会うことができたレンはその夜にもう一度彼女を部屋へと誘った。部屋には昨夜の彼女の残り香が漂っている。その記憶と期待でうたた寝していたレンは13行の夢を見て夢精する。その瞬間、ドアをノックする音が聞こえた。多分、クレイラだろう、とレンは思った。

第3回「ふうせんガム」
 妄想文学会の大御所M.Rentax著の「妄想と自由」の引用から始まる。予想通り来客はクレイラだった。夢精直後の恥ずかしい姿をどうにかごまかそうと必死になるレン。しかし、その努力はやはり空回り。

第4回「悪いが何言ってるか分かんねえよ」
   「悪いが何言ってるか分かんねえよ 2」
 古代インドの妄想家レンダッルーダ著の「ブッダの妄想性」の引用から始まる。クレイラは部屋を訪れたが独りではなかった。実はレンは騙されていて、クレイラはパツキンに男をたぶらかすように指示されており金を脅し取る算段だった。パツキンは巨大マフィアの息子で本当は超金持ちだからこんな小金稼ぎはする必要が無いのだが、現場主義、というか、自分が暴力を振るいたいがためにこの脅しを続けていた。いつもなら事無くカツアゲできたパツキンだったが相手が悪かった。夢精して異常なテンションのレンに返り討ちにあう。
 レンはクレイラの手を取って逃げた。L・・・の街(おそらくリモージュ)まで辿り着くが、そこにはストリートマフィア「空虚な心」の追っ手が待ち構えていた。「空虚な心」のリーダー、スチュは「パツキンやられる」の情報を得てレンを仲間にしようと画策していた。しかし、必死のレンはスチュをも打ち倒してしまう。

第5回「あたしが生まれた日」
   「俺の生まれた日」
 クレイラの回想。元彼のスチュにパツキンに売られた悲しい記憶。スチュの「空虚な心」はパツキンの「カイザーファミリー」の攻撃で滅亡の危機をむかえていた。スチュはリーダーとしてクレイラよりも「空虚な心」の存続を決心し、目をつけられていたクレイラを売って一時の和解をした。
 レンの回想。幼き日の屈辱の記憶。レンはそういう過去から次第に卑屈になっていった。受動的で主体性のない生き様が身についていたが、しかし、今、クレイラとあって自らの意志で生きていくことを決意する。

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