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☆彡 戦 場 の 月 ☆彡
約70kの行程を徒歩でもって踏破するのだった
厳しい行軍になることは、誰もが覚悟している。
行軍後の戦況は、一体どうなるのだろうか?
そのことについては誰も知らない。
小隊目標も行動等の説明も何ひとつない。
行き先不明の強行軍であった。
みんな不安がないと言えば嘘になる・・・
しかし小隊のなかに誰ひとりとして行き先を
教えてくれという兵士はいなかった。
そんなものである・・・不安はあっても
軍人とはそんなものである。。。
行き先も敵情も誰も知らないのだから
反面気が楽であるという心理効果はあった。
聞いたところでこの任務が変わる
わけでもなかった。
小隊全員が小隊長を信じ、命ぜられるまま
行動を共にするだけだ・・
みんなそう思っているのだろう。
小隊長の刈田はギラギラとした
眼で号令をかけた。
「いいかぁー!!私がこの小隊の
指揮をとる刈田少尉である。!」
「今夜20:00からわが小隊は
70kの夜間行軍を開始する。」
「全員準備はいいかあー
もう一度細部の点検を実施せよ!!」
「健康状態の悪い者はいないか?-」
「この行軍における敵の襲撃に
ついては、まず心配ない・・・」
「事前の偵察によれば、行軍の
経路上に敵はいないということだ!」
「みんな厳しい行軍だから、気をひきしめて
全員団結してこの任務を達成するのだ!!」
そう言って小隊に号令をかけた刈田少尉は、
国防大学卒の26才・小隊長としての指揮は
3度目であり、経験は浅かったが国防大学卒
という誇りと気力でどんなことでも体当たりで
任務を達成する若さと根性の持ち主であった。
いよいよ夜の闇が訪れた。
出発15分前になった。
刈田小隊長は部下の班長3名を呼び寄せた。
1班長・鰐淵、2班長・鬼川、3班長・鮫島
の各班長は、小隊長の前に集合した。
3名とも刈田より年上で新兵から
たたき上げた強靭な男たちである。
小隊は3個の班で1個班、班長以下10名の
編成であった。それに小隊長のもとに伝令が
1名ついた。伝令は小隊と班の連絡や小隊長
の世話役みたいな任務を帯びていた。
小隊長以下総員32名の編成であった。
呼び寄せた班長に対して苅田は次のように
指示をした。
「いいか今夜の行軍は暴風雨になるかも
知れないがみんな最後まで頑張ってくれ!!」
「どんな厳しい状況下でも泣き言は絶対に
許されない!!困難なときほど男としての
真価がわかるものだ!」
「わが小隊いや班長の真価が問われる
行軍になると思う。
負け犬にはなるな! いいなっ!!」
「5kごとに10分の休憩をとるが
落伍者をだすことなく全員が元気で
目的地に着くように・・・」
「班長は、自らの班員をよく掌握してケガを
しないよう十分注意するんだ!」
「新しい任務は目的地に着いてから伝達する。
とにかく目的地に向かって前進だ!」
「いいか最後までがんばるぞ! 健闘を祈る!!」
そういうと刈田は、行軍隊形31名の先頭に立った。
20:00になると刈田小隊長は、
右手の懐中電灯を闇に突き上げ、灯りをゆらし
「 小隊~出~発~ !! 」の合図をした。
小隊の者は全員迷彩服に鉄帽をかぶり、
重い装備を背負って銃器を携行している。
夜の闇が深くてそれぞれの顔はわからない。
しかし顔は見えなくとも男たちのかたい
絆だけは、闇の中でもはっきりと確認できた。
出発前から雲行きが悪くて心配されたが・・・
出発まもなくして雨がポツポツと降って来た。
しばらくするとザーザーと大雨になってしまった。
どしゃぶりの雨の中をただ一筋目的地に
向かって歩く男たちの勇者の群れ・・・
雷鳴が轟く中、その集団は、全員ポンチョを
着て、ただ黙々と真っ暗な山道や
とある川沿いの道を進んだ。
風雨は、だんだんと更に強くなって
全員が濡れ鼠となった。
またひとつ稲妻が走り遠くで雷鳴がした。
はい!! ストップ!!
苅田小隊長以下32名は、強い雨に
うたれて、約70kという行軍に出発した。
行き先は、わからないままである。
小隊長の指揮だけを信じ歩きはじめた男たち。
全員が無事、目的地に到達できるでしょうか?
この続きは、あなたが書いてくださいね。
お任せしますので約束してくれますかー??
よろしくお願いしま~す。 m(__)m
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