CANDYあのね・・・

キャンディの指輪物語★



思い出話っていっても、楽しい話ではないけど・・・

指輪のお話です。

その指輪をわたしに買ってくれた人はもういなくて、この指輪はわたしの宝物です。

あれ以来ずっと毎日着けてます。(バイトとかではずす以外は)

確かあれは、わたしが16歳になる1ヶ月程前のこと。11月の終わり頃、

デビーママと出かけていたか何かで帰ってくると、ケイトがちょうど電話を置いたところでした。

ただならぬ空気を読んでデビーママが訳を聞くと、

おばあちゃんが階段から落ちて骨折と流血、

それを見たおじいちゃんが、どうして良いのかわからず電話をかけてきて、

ケイトがおじいちゃんに代わって救急車をよんであげたそうです。

デビーママとクラークパパは病院に直行。

おばあちゃんの骨折は酷く、骨が皮から出てしまっていた為、他の病院に搬送されることに。

この時、既にデビーママ(ナースです)おばあちゃんは大丈夫だって確信があって、

おじいちゃんのほうが心配だったそうです。

デビーママがおばあちゃんの搬送の準備を手伝っている間、クラークパパはおじいちゃんを落ち着かせようと、

病院のカフェテリアへ。

コーヒーとベーグルを注文して、食べているとおじいちゃんの様子がおかしくて、

ベーグルをうまく口に入れられなくなったかと思うと、手だけではなく体の(右か左の)半分が麻痺していき・・・

脳卒中でした。

おじいちゃんは、高血圧で、痙攣もしょっちゅうありました。

検査の結果、脳卒中はそれが初めてではなく、それから1週間程前の頭痛も実は脳卒中だったそうです。

おじいちゃんの脳は、2度以上の出血に耐えられず、もう手術をすることも不可能でした。

即行、入院。1週間程でした。

その頃わたしは、同じ病院の小児科病棟でボランティアスタッフとして、

毎週小児科病棟に通っていました。同じ病棟におじいちゃんがいる。どうか助かって!

って祈りながら、赤ん坊にミルクを飲ませたり子どもに本を読んだりしていたのを覚えています。

おじいちゃんが亡くなる前に、1度だけおじいちゃんに会いに行くことができました。

おじいちゃんは既に自力では呼吸さえもできなくなっていて、人工呼吸の管やら点滴?やら、

体中、管だらけの姿でした。

それまで毎日、毎日、折っていた千羽鶴、千羽は間に合わなかったけど、持って行きました。

そっと、ベッドサイドに置くつもりだったけど、デビーかおばあちゃんがおじいちゃんに持って行って、

もう目の見えないおじいちゃんの手を千羽鶴に持っていくと、

おじいちゃんはゆっくりそれを触って、声ももう出ないのに一生懸命わたしに何かを言おうとしてくれました。

「ありがとう」と言ったんだと思います。

あんな弱った体なのに、わたしの手を握ったおじいちゃんの手の力にはびっくりしました。

しっかりと握って、離そうとしませんでした。

これが、最後の生きたおじいちゃんの記憶です。

病室では泣きたくなくて、すぐに病室を出たので。

12月3日、おじいちゃんは1人で息を引き取りました。

1人で死なせたくない!と、デビーママが毎日、ほとんど徹夜状態で付き添っていたのに、

ちょっとデビーが家に帰ったすきに、おじいちゃんは逝ってしまいました。

デビーは、きっと1人で死にたかったんだよって言ってました。

ナースのデビーはたくさんの死を見てきたわけですが、そういうことって多いそうです。

家族が交代で付き添っていて、ちょうど交代の間の時間に亡くなるってこと。

おじいちゃんの棺の蓋の内側には、ケイトとゴードとわたしの写真が貼られました。

ちょうど、おじいちゃんの顔の前になるように。

始めから終わりまで、とてもきれいな葬儀でした。

そして、おばあちゃんが退院。

足を使うことができないので、しばらくうちに来て住むことになりました。

わたしの部屋をおばあちゃんに譲って、わたしはケイトと2人部屋に。

その年もクリスマスは祝うことになりました。(クリスチャンの家庭です)

クリスマスにカナダ人は、家族にものすごい数のプレゼントをお互いに買い合います。

この年も、クリスマスツリーの下はプレゼントが溢れかえり、クリスマスの朝、みんなで一つずつ開けていきました。

その中に、思いがけないプレゼントが!

小さな箱に入ったそれが、その指輪でした。

わたしの誕生石が真ん中に。両側にはダイヤモンドが一つずつ。

おばあちゃんが、それをわたしに渡して、

「わたしが階段から落ちた、その前の日におじいちゃんと選びに行ったんだよ。」

って。おじいちゃんが買った、最後のプレゼントということです。

これが、わたしのクリスマスの思い出です!!



その後、ずっと着けている指輪、年が明けてピアノのコンクールの時期になっても、

(普通は指輪をしたままピアノを弾くってタブーだけど)はずせず、

本番も、審査員に何を言われてもいいって覚悟で、結局指輪はしたままで弾きました。

何部門かに出て、結果はたしかどの部門も1位と2位。何かの賞ももらって、賞金とトロフィーをもらいました。

おじいちゃんありがとう!!って思い、

そして、生きているときに弾いて弾いてって言われても、

きっとわたしが喜ぶと思って言ってるんであって、本当はピアノなんて好きじゃないって思っていたわたしは、

あまりおじいちゃんの前で弾かなかったことを後悔―。

今はというと、ピアノ、全然弾けません・苦笑。

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