いしい しんじ


いしい しんじ歴


一昨年、娘に勧められて彼の作品を初めて読んだんですが・・・初読の「ぶらんこ乗り」で完璧にノックアウト~☆ これまで読んだ、どの作家さんともクロスしない彼独自の世界観が とても新鮮で、一気にのめりこんでしまいました。

既読の作品
「 麦ふみクーツェ」「ポーの話」「シーラカンス」「アムステルダムの犬」 「 絵描きの植田さん」 「プラネタリウムのふたご」「 トリツカレ男」

一番好きなのは、やっぱり「ぶらんこ乗り」です。 お次は圧倒的な存在感のある「ポーの話」 圧倒的な物語の深さ・重量感に打ちのめされるほど感動してしまいました! プイグやマルケスのようなラテンアメリカ文学の匂いを、ほのかに 感じて素晴らしい作品です☆ 他には、アッケラカ~ンとした語り口が絶妙な「シーラカンス」や「アムステルダムの犬」、 そして抱腹絶倒・毒満載の中島らもさんとの対談「その辺の問題」が私のお気に入りです♪

ちなみに、昨年、娘の大学の文化祭のイベントととして、いしいしんじさん の講演会が開催! もっちろん、はせ参じましたよ~☆

当日、憧れのいしいさんは白いジャケット姿で登場! お顔は雑誌のフォトなどで見慣れていたけど、この時は黒っぽいメガネを かけてて、ちょっと分別クサイおじさん風でしたヾ(^o^;) もうちょっとフワフワムードの方かと思ってたのに、わりあい落ち着いた 方だったので、少々意表をつかれちゃったかも~(笑)

でも、トークのほうは作品同様、飄々としたペースで、自分の生活や 体調、最近起こった驚くべき出来事、などなどユッタリとお話してくれました。

なにしろ愛読書の作家さんの実物を目前にしたのは始めての体験! その輝かしい初体験が「いしいしんじさん」だなんて……大感激~(//∇//)

講演会会場は当然のことながら、若い学生さんばかり。 私のようなオバサンは、数えるほど^^; 明らかに、少々浮いてたと思うんだけど、そんなことも気にならない ほど話に集中して、いしいさんワールドに浸った2時間でした。

トーク内容は・・・あまりにポーっと見とれてたんで話の内容、うろ覚え~(爆) 作品についての解説の他「小説とはなんぞや」などの観念的な話が 多かったです。 後半は、「聴衆からの質問に答える」という形だったんですが、「トリツカレ男」 についての質問で、「あのトリツカレ男は、まさしく自分です。奥さんと知り合った 時の自分の姿!」という答えを、ちょっと照れながら話す姿がとっても キュートでした(*v.v)
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『ぶらんこ乗り』

【内容】
ぶらんこが上手で、指を鳴らすのが得意な男の子。 声を失い、でも動物と話ができる、つくり話の天才。 もういない、わたしの弟。―天使みたいだった少年が、 この世につかまろうと必死でのばしていた小さな手。 残された古いノートには、痛いほどの真実が記されていた。 物語作家いしいしんじの誕生を告げる奇跡的に愛おしい 第一長篇。 (「BOOK」データベースより)


読み始めた当初は、あまりにファンタジックな内容に 少々違和感を感じて、入り込めなかったんですが、 途中からグイグイと惹きこまれて、中盤からはもう夢中~☆ 終盤は感動の波におぼれそうになるくらいハマりこんでしまいました!!

たぶん、好き嫌いがはっきり分かれる作家さんだと思いますが、 私にとっては久々に「惚れちゃったよぉ~(>|0|<) 」と叫びたいほど愛すべき作家さんです。

宮沢賢治の再来?と思えるほど、賢治の世界に近いかも。 でも、清らかすぎる賢治と違って、作品のそこかしこに感じる 「痛さ」みたいなものが、心をえぐります。 そこが、たまらない~(≧∇≦*)

特に、声を失ってしまった弟がノートに、ひらがなで 綴った物語「ぶらんこ」は、とても切なくて涙涙~(T_T) 動物園の象の話には、ギョッとさせられますが・・^^;

いやはや、こんな凄い作家さんが現れてたことを 全く知らなかったなんて・・・悔しい思いです
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『麦ふみクーツェ』

【内容】 のちに街をおそった災難、用務員さんの事故、それに 「ねずみ男」の最期を予言したときにさえ、クーツェの 足音はしごく無表情だった。ぼくにしかきこえない かわいた声でクーツェはさまざまなことをぼくだけに 告げた。淡々と麦をふみつづけながら。音楽家を目指した 少年のビルドゥングスロマン。(「BOOK」データベースより)

坪田譲治文学賞を受賞した作品というだけあって、 『ぶらんこ乗り』以上に童話っぽい話です。

♪とん たたん とん♪と黄金色の砂埃をあげながら 麦を踏むクーツェ・・・・もぉ、このイメージだけで、 涙腺が緩んでしまいます!!

『ぶらんこ乗り』で感じた「宮沢賢治の世界に近いもの」 をこの作品では一段と強く感じました。 音楽を通して、さまざまなキャラクターが集う不思議な世界。 ページをめくるたびに広がる「いしいワールド」に、どんどんと惹き込まれていきます

話が進むにつれ、楽しいことより悲しいことのほうが多く なってくるんですが・・・それでも「前へ進むことの 素晴らしさ」が、温かな優しさとともに心に伝わってきます。

「私なんて(`ε´)」と、ついつい、自分の小ささに、後ろを 向いてしまいがちな方には、ぜひとも一読していただきたい一冊です。
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「雪屋のロッスさん」 

【内容】 雪屋のロッスさん、大泥棒の前田さん、似顔絵描きのローばあさん、 サラリーマンの斉藤さん...。物語作家の著者が描く、さまざまな人 たち、それぞれの営み。あなたは、何をする人ですか? (「MARC」データベースより)

彼お得意の童話っぽいお話の数々・・・・ちょっと胸キュンの ものやクスリと笑える話やら、なんともアトクチの苦い話やら 30の不思議な物語集です。

彼のファンである私は、口の中の飴玉が早くなくなってしまうのが 惜しくてチビチビと舐めるかのように、ページをユックリとめくりながら 毎晩少しずつ楽しんで読みました

もっとも、理屈っぽい人にとっては、あまりにも手ごたえのない 話ばかり並んでるから「なんじゃこれは!?」と渋面になるかも~(笑) 読む人を選ぶ本かもしれません、ハイ^^

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